“言葉、そして日本語の劇であること”にこだわって、文学座有志が2本立て公演開催
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文学座有志による自主企画公演「宮城野」「ひまわり」チラシ表
文学座有志による自主企画公演「宮城野」「ひまわり」が、11月17日から19日まで東京・文学座アトリエで上演される。
この企画では、“言葉、そして日本語の劇であること”にこだわって選ばれた2作が上演される。矢代静一が1966年に発表した戯曲「宮城野」の舞台は、天保8年秋の夕暮れ、江戸麻布の色街のとある座敷。あるとき娼婦・宮城野のもとに、浮世絵師・東洲斎写楽の弟子だという矢太郎が訪れ……。今回は飯嶋佳保の演出、目黒未奈と稲岡良純の出演でリーディング上演される。
1988年に初演された「ひまわり」は竹内銃一郎による戯曲。本公演では演出を西本由香が担い、廣田高志、高橋克明、石井麗子、奥山美代子、太田しづか、武田知久、山岡隆之介、比嘉崇貴が出演する。「ひまわり」演出の西本と、企画公演の発起人であり「ひまわり」出演者の石井、奥山からのコメントは以下の通り。
西本由香コメント
今作の中には、「三人姉妹」や「リア王」のセリフがたびたび登場しますが、そうやって劇を重ね合わせることで、現実の中に虚構があるのではなく、虚と実の両方がお互いに影響し合い、支え合って存在しているという「劇」の構造を強く意識させる作品です。80年代に書かれた作品ですが、ここに描かれている問題は決して古びることがありません。この舞台を観劇することで、普段とは違う角度からこの世界を見ることができるのではないかな、と思います。
石井麗子コメント
この芝居をやりながら、実際に家族の中には役割分担があるな、と思いました。私自身、親の前では“娘”ですが、家に帰れば“妻”であり“母親”です。そうやって現実でも、みんなそれぞれに様々な役を演じているものなんだな、ということが感じられる作品だと思います。一見不思議な人たちの集まりですが、人はなぜ生きるのか、人はなぜひとりでは生きられないのか、といったことを笑いながら見つつ感じてもらえる作品だと思いますので、ぜひ気軽に見に来てください。
奥山美代子コメント
竹内さんの書く不条理劇は、他の不条理劇と比べて湿度が少し高いような、決して乾いた印象ではないように思います。子を捨てた親、親に捨てられた子が登場し、どれほど自分が愛されていたのか、もしくは愛されているのかを知りたいという根源的な人間の欲求が強烈に胸に迫るような芝居です。作品全体に流れているものは決して楽しいものではないかもしれませんが、お客様には喜んで見ていただけるものになると思います。
文学座有志による自主企画公演「宮城野」「ひまわり」
2023年11月17日(金)~19日(日)
東京都 文学座アトリエ
「宮城野」(リーディング公演)
作:矢代静一
演出:飯嶋佳保
出演:目黒未奈、稲岡良純
「ひまわり」
作:竹内銃一郎
演出:西本由香
出演:廣田高志、高橋克明、石井麗子、奥山美代子、太田しづか、武田知久、山岡隆之介、比嘉崇貴