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佐倉綾音が感じた“声をあてること”の難しさ「ホラーというジャンルの間口になれたら」

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インタビュー

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佐倉綾音 撮影:小川遼

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映画『死霊館のシスター 呪いの秘密』の“吹替版”が11月17日(金) にプレミア配信で初公開となる。全世界興行収入3,000億円超えの大ヒットを記録した「死霊館」「アナベル」シリーズの最新作となる。字幕版は10月13日(金) の公開から3日で前作の興行を超えるなど、驚異的な記録をたたき出している。そんな本作で“シスターヴァラク”に狙われる、寄宿学校に通う少女・ソフィー役の声を佐倉綾音が務める。本作の魅力、多くのアニメ作品で活躍する佐倉だからこそ感じる「声をあてること」の難しさを聞いた。

一番怖いのは人間の想像力

──どういった経緯で今回の役が決まったのでしょう?

ホラー作品って人によって得手不得手があるものなので、まず「佐倉さん怖いのは大丈夫でしたっけ?」から始まったのですが、「死霊館」は数年前にスタッフさんから「これ私が一番好きなホラー作品なんだよね」と言われて、1作目の『死霊館』を観た覚えがあったんです。だから「死霊館のシスター」と聞いてピンときまして。これまであまりホラー作品に関わったことはなかったのですが、せっかくのご縁なのでぜひ演じさせてください、とお返事をしました。

──『死霊館』へはどのような感想を持たれたか覚えていらっしゃいますか?

基本的にホラーは苦手ですが、海外ホラーの方がまだ得意で。日本の静かな怖さよりも、わかりやすく大きい音とアクションと……そういった海外ホラーの方が得意だな、というのは『死霊館』を観て思ったことでしたね。実際に自分の身に起こりそうだと思わされるのが一番恐怖なので、「まあこんなことは起こらないだろう」と思えるような現実と乖離した現象が起こるものの方が楽しめるんだ、ということに気がつきました。

──家にひとりでいてもあまり怖さに引きずられないような。

はい。やっぱり一番怖いのは想像力だなと思っていて。実際に怖い作品を観たときに、何が自分の平和を阻害するかというと、自分の想像力なんですよね。そこを切り離して考えられる人がホラーを楽しめるんだろうな、と分析しました。

感情や経験をよく考えて演じた

──今回の『死霊館のシスター』を観られたときの印象はいかがでしたか?

実はまだ小さな画面でしか見たことがなくて。基本的に画面がわりと暗いところでお話が進んでいくんですよね。なので「これは映画館で観たら臨場感があるんだろうな」と。まず映画館で観ていただくことを想定して作られているのかな、と感じました。ただただ怖がらせる仕掛けのために作った作品もあると思うのですが、この作品に関しては、説得力のある形で物語が進んでいくので、怖がらせる描写目的じゃない人にも見ていただけたら嬉しい作品なのかな、と。

──実際にソフィーを演じるときには、どのようなことを意識されたんでしょうか。

学校でも基本的にはあまり目立たず、人がずっと周りにいるタイプの子じゃないので、耳障りに聞こえない若い女の子として演じたいなと思いました。声のトーンも今のマイクの精度を信じて(笑)、ひそめるところは本当にひそめて演じたり、繊細な音作りは意識しました。お芝居の良さにも多分いろんな種類があって、わかりやすく伝えるお芝居もあれば、想像の余地を残した、解釈を委ねる形の組み立て方のお芝居もあると思うのですが、今回はどちらかというと後者を意識して演じました。

──ソフィー役はどのように作り込まれていったんでしょうか。

この子が果たしてどのぐらい自立しているのか、というところがちょっと気になっていて。とはいえ、まだまだ幼いんですよね。でもこの作品の中でソフィーは最終的にとても成長するんですよ。最後にモリースに投げかける言葉はかなり大人だなと思っていて。実はラストシーンが一番難しかったですね。そこまでにソフィーが至った感情や経験というものの流れをかなり考えました。

──最後はソフィーの成長が入ることを踏まえて最初から演技を組み立てていったんですね。

そうですね。ただ、途中で逃げ惑ったり、感情を解放するシーンが続いたので……。彼女の中では数時間経っているものの、私は1分で気持ちを切り替えないといけないので少し苦戦したところではあったのですが。なるべくシームレスに繋がるようにと意識して演じました。

感情を解放するお芝居は好き

──叫びだったり、息遣いだったり、特殊なシーンが多かったと思うんですが、収録の際に印象的なエピソードがありましたら教えてください。

私は普段アニメーション畑で声優の仕事をさせていただいているんですけど、吹き替えでの芝居はかなりアニメーションとはアプローチが自分の中では違うなと感じていて。もちろん、同じアプローチでしっかりと演じこなす方もいらっしゃると思うんですけど、私は少し分けて考えています。特に生身の人に声を当てるのは、かなり自分の中でプレッシャーが大きいんですよね。声も含めて100%のお芝居だと思うので、その中で声を代替して演じさせてもらうのは技術面でも感情面でもかなり気を使っています。

──やっぱり普段と準備も違うものなんでしょうか。

この作品に限って言うと、普段とは明らかに違うのは日が昇っているときに映像のチェックをすることですね。夜に観るとちょっと怖いので(笑)。万が一眠れなくなったら嫌だな、というところで、なるべく明るいうちに。それから、海外映画作品は厳しくセキュリティがかかっているので、暗い画面の上にさらにセキュリティ的な文字がかかっていて画面がクリアに見えないんです。そういうものも含めて、現場でかなりサポートしていただいて組み立ていることもあるので、逆に家で固めすぎないようにしました。このシーンが例えどういうシーンだったとしても、自分の中で柔軟に演技をちゃんと求められているベクトルに向けられるように。

──吹き替えであるということと、ホラーであるということで難しい要素が重なっているかと思うんですけど、逆に演じられて面白かった部分や楽しかった点はありますか?

思いっきり声をひそめたり、という繊細な音が許される現場は少ないんですよね。「もう少しわかりやすく演じてください」と言われることも多いので、そこは今回の面白さだったかな、と思います。あと、思いっきり叫び倒して逃げ惑うことも、なかなかホラー作品以外で体感できることがないですよね。実際にこういう目に遭ったら、どれぐらい声で怖さを発散するのかなと考えたりして。もちろん、声に出さずに逃げ惑う人もいるだろうけど、この子は声を出しているということは、怖さの発散を手加減せず演じてあげたいなとか、そういうことを考えながら、楽しみながら演じていました。

──叫び声のチューニングってすぐにできるものなんです?

たった今自分が襲われたら、と想像すると実はやりやすいですね。いつでもそういうことができる準備はしておかねばな、と思っているので、感情を解放するお芝居は個人的には好きです。

佐倉綾音が信じている2つのこと

──いろんなジャンルにチャレンジされているイメージがあるんですけど、新しいことに挑戦されるときの佐倉さんなりの勇気の出し方などはあるのでしょうか。

私自身はあまり新しい環境が好きじゃないタイプなんです。実は毎回ドキドキしながら、なんですよ。うまくいくのかな、とネガティブになったり、準備段階でかなり心折られてしまったりすることが多いので、自分のコントロールの仕方はここ数年で習得したなと思います。

──ぜひそのコントロール方法をお聞きしたいです!

私が信じられる普遍的なものは「時間」と「死」しかないと思っていて。「時間」と「死」だけが全員に平等に訪れるもので、たとえば今自分がつらい思いしていて時間が経つのが遅いのは、非常に主観的だと解釈することにしたんです。今とても楽しい時間を過ごしている人は、私と同じ時間軸でも全く体感時間が違います。そういうふうに、今自分がどういう状況に置かれているかを分析することで、少し気持ちが楽になりますね。しんどいから時間が長く感じるけど、時間は実は本当に平等。それを忘れないようにすることと、心が不安定なときは絶対に行動を起こさないことを心がけて過ごしてます。

──それはずっとお仕事をされている中で少しずつ習得されたこと?

私はあるときに突然気づいたりするんですよね。「正解だ!」と思ったものに対してのアプローチは早い方なので、善は急げ精神で思い浮かんだ次の瞬間から実行することを心がけてはいます。

──何か気がついたきっかけはあるんですか?

考えることや分析することが好きなので、分析や計算をしていくうちに、ふとたどり着く瞬間があるんですよね。それは意外と自分の中から出てくるものだったり、反面教師にするものだったり。人間観察が好きなので、「どうしてこの人はこういう行動をとってるんだろう」とか、「どうしてこういう思考に陥ったまま抜け出せないんだろう」とか、そういうところを突き詰めて考える癖は、もしかしたら役者としての職業病かもしれない、と思ったりします。

──そういった普段の考えがあるから役へのアプローチも変化しているんですね。

吹き替えだと、まだ若い女の子をやらせていただける機会が多くて。ただ、最近は自分の中でも、演じる役どころに変化が出てきたなというのは少し感じています。かわいいだけじゃなくてクセが強かったり、男の子だったりお姉さんだったり、幅が広がってきていることを実感していて。それもある意味、いろんなところに視野を向けていないと乗りこなせないと感じるんですよね。人間観察にさらに精が出るなと思い、日々お仕事をさせていただいています。

──今後チャレンジされてみたいことはありますか。

それが、目標を立てたことがなくて。どちらかというと信頼する方に、「次はこの役をやってほしい」とか「こういう仕事に挑戦してほしい」とか「こういう視野を鍛えてほしい」と言われて、自分の中でその是非を考えて臨む方が、私は向いているかなと思っています。これからも、どちらかというとそういうアプローチでお仕事をしていきたいですね。

──出会いを大事にしていくスタンスで。

そうですね。「この仕事をしたら自分にどんな影響が出るのかな」と考えるのは、難しいけれど楽しいことだなと思います。

──ホラーが苦手ということでしたが、佐倉さんなりのホラーの楽しみ方をご提案していただけると嬉しいです。

エンターテインメントを私たちが求める理由って、現実では起こり得ないことを追体験できるところが大きいと思うんですけど、それの最たるがホラーや、この作品の中にもあるような現実離れした事象に関する作品だと思います。周りでも感受性を揺さぶられることに飢えている人が意外と多くて。だからこそジェットコースターに乗る方がいたり、それこそホラーを見るのが好き、お化け屋敷が好き、という方がいると思うんですよね。ホラーはそういう飢えへの栄養になるものだったりもするもの。それが人生にとって必要かどうかは人それぞれだと思うのですが、ホラーが大丈夫な人生に興味を持ってみるのも楽しいのかな、なんて思ったりしています。ずっと好きなものばかりを摂取していてもつまらない、と思うタイプなので、たまには少し味見してみるのもいいですよね。

──最後に吹き替え版を楽しみにされている方々に向けてメッセージをお願いします。

ホラーというジャンルへの間口になれたら光栄ですし、一緒に私もいっぱい叫んだので、みなさんも同じ気持ちになって、心の中で叫んでもらえたら少しは怖さが解消されるのかな、という期待も込めつつ、精一杯演じさせていただきました。どんなきっかけであれ、人が愛情を持って作ったエンタメ作品には、いろんな方に触れてほしいという思いは私自身とても強いので、ぜひこれを機に、ホラー、そして死霊館シリーズに興味を持っていただける方が増えたら本望です。

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取材・文=ふくだりょうこ
撮影=小川遼
ヘアメイク=福田まい(addmix BG)

<配信情報>
『死霊館のシスター 呪いの秘密』

11月17日(金) よりプレミア配信(吹替版・字幕版)
発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

公式サイト:
https://wwws.warnerbros.co.jp/shiryoukan-himitsu/home_entertainment.html

※『死霊館のシスター 呪いの秘密』プレミア配信プラットホーム一覧(50音順)
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