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鈴木拡樹×本田礼生×矢崎広が語る役者にとっての30代「この分野は自信を持っていいんだという確信が持てるようになった」

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インタビュー

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左から)本田礼生、鈴木拡樹、矢崎広 (撮影:古川義高)

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2.5次元舞台の牽引役のひとりとして、数々の舞台を手がける毛利亘宏。彼の薫陶を受け、演劇の楽しさを知ったという俳優は多い。

そんな毛利のベースキャンプとなる少年社中もついに結成25周年。アニバーサリーイヤーのフィナーレを締め括るのが、第42回公演『テンペスト』だ。

苦楽を共にした劇団員に加え、客演には鈴木拡樹、本田礼生、そして矢崎広ら毛利と縁の深い俳優が名を連ねた。25周年記念のファイナルにふさわしい演劇の嵐が、今、巻き起ころうとしている。

20周年は華麗にスルーされたので、今回呼んでいただけてよかったです(笑)

――少年社中の25周年記念ファイナル公演を飾れることに、どんな思いがありますか。

鈴木 僕の演劇の原点は、毛利さんであり少年社中のみなさん。25周年という節目に呼んでいただけたことがうれしいですし、ここからまた30年40年と少年社中が続いていくように、この公演を成功させたいなという思いです。

矢崎 15周年のときに呼んでいただいて。そのときからまた周年公演をやるときはデカいことがやりたいんでぜひ呼んでくださいという話を毛利さんにしていたんですね。まあ、なぜか20周年は華麗にスルーされたんですけど(笑)。

一同 (笑)。

矢崎 25周年にこうして呼んでいただけて。きっと毛利さんの中でも、ここで矢崎だという感じで呼んでくださったと思うので、その期待に応えられるように頑張りたいです。

鈴木 ビジュアル撮影のときに毛利さんにお会いしたら、また一緒にやれることをすごく喜んでくださっていて。少年社中へのお祝いの気持ちも込めて参加させていただければと思います。

本田 そうなんですよね。お祝いなんですよね。ちょっと今言われるまでそのことを忘れていました(笑)。

矢崎 どういうこと?(笑)

本田 僕は今回が少年社中初参加なんです。だから、この貴重なタイミングに毛利さんに呼んでいただけたという事実に頭がいっぱいで、お祝いの気持ちを完全に忘れていました(笑)。僕にとっては、呼んでいただけて光栄という気持ちがいちばん先にきていました。大変失礼いたしました(苦笑)。

――初参加の本田さんに、少年社中の取扱注意事項を伝えるとしたら?

矢崎 やっぱり田辺(幸太郎)さんかなあ。

鈴木 わかる(笑)。

矢崎 面倒くさい人とか、そういうことではなくて。マスコットキャラクターとして、すごく面白い人だから、期待していてほしい。

鈴木 あんまりいいフレーズに思えないかもしれないけど、静かな暗殺者みたいな人(笑)。突然すごいものをぶっ込んでくる。それも完全なアドリブではなくて、稽古場で形づくったものにバーンッと入れてくるタイプの人で。発想が奇想天外すぎて、どうやってそこに辿り着いたのか全然わからない(笑)。

矢崎 ちゃんとした真面目な人なんだけど、俺が警官だったら職質するなって(笑)。

鈴木 愛のある職質をね(笑)。

矢崎 そう。「何をされている人ですか?」って愛のある職質を(笑)。

鈴木 あとはやっぱり看板俳優の井俣(太良)さんのパワーがすごい。特に今回は、井俣さんのパワーが光る役どころ。あの狂気じみた少年心を井俣さんがどうぶつけてくるのか。予想しきれないけど、すごいものが来るんだろうなという予感がしています。

――今回の作品に対する感想を聞かせてください。

鈴木 原作の『テンペスト』を調べはしたんですけど、再度もうちょっと調べていかなきゃなっていうのは真っ先に思いましたね。少年社中の贋作モノは、題材にした作品をちゃんと噛み砕いた上で取り組んでいくべきだと思うので、そこをまずは深めていけたら。

矢崎 最初にプロットを読んだとき、どうなっちゃうんだこれと思いました。で、現在もどうなっちゃうんだこれと思っているんですけど(笑)。はたしてこの物語はどう収まっていくのか。僕らは演じる側ではありますが、お客さんと一緒に楽しみながら観ていただける作品になるんじゃないかと思っています。

本田 本当、どうなっちゃうんだろうっていう感じですよね。しかも、僕は広さんと違って、少年社中の世界観をまだ完璧に把握できているわけではないので、このプロットからどう少年社中の雰囲気が溢れ出すのか、まったくの未知です。さらに付け加えるなら、拡樹さんとも広さんとも密に演劇をするのは初めて。稽古場でお二方ががっつり芝居されているのを見ることができるのも楽しみのひとつです。

広さんは可愛いにまみれています

――鈴木さんと矢崎さんは久々の共演です。先日、矢崎さんは遥か昔につぶやいた「拡樹君とクリスマスしたい!!!!!」というポストを掘り起こし、「9年越しに叶いそうです」とX(旧Twitter)でデカい釣り針を垂らしていましたが…(笑)。

矢崎 釣り針に引っかかればいいなと思ってつぶやいたら、ここ最近では一番バズったツイートになりました(笑)。

――久々の共演に向けて、今どんな思いでしょうか。

矢崎 一緒にやったときは、こんなに会えなくなる存在だと思わなかったんですよ。同じ界隈にいるし、同世代だし、またすぐやるだろうなと思っていたら、なかなかご一緒する機会がなく。

鈴木 一緒にやった作品も結構ありますけど、そこまで絡みがあるという感じではなくて。

矢崎 『贋作・好色一代男』ぐらいですよね。

鈴木 でもそれも同じ出番がそんなに多くはなかったので、今回ほど絡めるチャンスは初めてだなと。

矢崎 去年、拡樹くんがやっている『2.5次元男子推しTV』で久々に会って。お互いの演劇に対する思いを話すという、すごく深い回になりまして。ぜひまた拡樹くんとやってみたいなと思っていたところに、このお話が来た。久々に拡樹くんと芝居ができるのが楽しみです。

――本田さんからすると先輩にあたりますが、あえてここではそんな先輩の可愛いところを教えてもらえますか。

本田 広さんは、意外と言ったら失礼かもしれないですけど、最初の印象と違って、可愛いにまみれてます(笑)。

矢崎 バカって言いたいんでしょ(笑)?

本田 違います違います! バカでは決してないです。お茶目なところがたくさんあって。ポップコーンをひと掴みするたびに落とすみたいな(笑)。

矢崎 バカって言いたいんじゃん(笑)!

本田 で、みんなに怒られて、ひとりだけ全然違う大きい器を渡されていました(笑)。拡樹さんとはまだ密にやらせてもらっていないので、これから探していきたいです。

鈴木 変なところはたくさんあるので、どこをチョイスしてもらえるか楽しみにしています(笑)。

矢崎 じゃあ代わりに僕が言うと、『2.5次元男子推しTV』に出たときに、ハンバーガーをみんなでつくるというコーナーがあって。ゲテモノみたいな具材もいっぱいあったから、ご自身の番組だし、てっきり率先して面白いハンバーガーをつくるのかなと思っていたんですね。そしたら、いちばんまともなハンバーガーをつくりました(笑)。

鈴木 チーズバーガーをつくりました(笑)。

矢崎 こんなに具材がいろいろあるのに、チーズバーガー!?って。

鈴木 ハンバーガー屋さんに行っても僕はチーズバーガーしか頼まないので。

矢崎 めっちゃ無難。気を遣って僕は変なハンバーガーをつくったのに(笑)。

劇団に入ったら違ったのかなという思いはありました

――本作は劇団を舞台にした愛憎渦巻く復讐劇です。お三方は復讐心ってありますか。

鈴木 僕はないですね。そんなの持って生きていても疲れそうだなと(笑)。しかも復讐なんてものは1日でなし遂げられるものではないじゃないですか。

矢崎 確かに。

――ただ、そうした復讐心が原動力になることはあります。

鈴木 僕はそっちの原動力はないかな。それよりも明るい力の方が好きで。復讐心とは縁遠いかもしれない。でも、だからこそ演劇でできると刺激があるのかなとも思います。

矢崎 僕はありますよ。復讐心とか嫉妬心とか日頃の不満とか(笑)。

本田 僕も復讐心にまみれてますね。なんならそれが原動力かもしれない(笑)。

矢崎 同じだ。やっぱりそうだった(笑)。

本田 もちろん陽の方が好きですけど、陰の方が強い気がするなあ。それこそ長きにわたる復讐心で言うと、あのときああ言われたから、よし次の芝居で見返してやろういうのは結構あるかもしれないです。

矢崎 役者はあると思いますよ、演出家に言われた言葉とか。

本田 ドロドロとした復讐心というより、次へのバネみたいなもので。負けん気半分、あとは尊敬している演出家さんだからこそ、その人が思っているものを体現したいという気持ちが半分という感じです。

――本作は、劇団内での人間模様が軸になっています。本田さんはTHE CONVOYの公演に若手メンバーとして出演していますが、その中で感じるものはありますか。

本田 THE CONVOYの公演に出演するようになって強く思ったのが、師匠と呼べる人が明確にいることが自分の芯になるんだということですね。芝居に対する向き合い方とか、精神的な面で教わるものが多くて、救われた部分がたくさんあります。THE CONVOYに出会わなかったら、まるっきり違う自分になっていたと思います。

――鈴木さんと矢崎さんは劇団というものに所属せずにここまで来ました。劇団という場への憧れはありますか。

鈴木 この仕事を始めて真っ先に思ったのが、劇団に入ったら違っていたのかなということだったんですね。子どもの頃からやってきている人と、劇団出身の人ばかりの中に、いきなり右も左もわからない僕がポンッと放り込まれて。バックグラウンドが何もないことへのコンプレックスはありました。

矢崎 僕も憧れはありますよ。これまでたくさん演劇に携わってきた中で、魅力的だなと思う役者さんって、少年社中をはじめ劇団出身の方が多かったし、演出を受けてきた方々もどこかの劇団を出て…という人たちがたくさんいて。劇団に入ったらもっとわかることがあるんじゃないかなという憧れがあったし、そういう人たちに負けないようにという思いは今もずっとあります。

――では、自分で劇団を立ち上げてみたいという思いも?

鈴木 今というタイミングではないですけど、常に憧れは持っています。僕自身、劇団というものに入らずキャリアを積んできて、今となってはその道で良かったと思っていますが、いずれ自分で劇団を立ち上げるのか、あるいは今ある劇団に所属するのかという流れは、ご褒美に近い今後の展望ではあります。

矢崎 僕も何度も考えました。それこそ「なかやざき」というユニットを組んだときもそうだったし。自分が母体になって何かをつくりたいなとはずっと思っていました。ただ、難しいですよね。劇団の大変さというのもあるから、軽々しくは言えないんだけど、いつか自分の劇団を持ちたいなという思いは憧れとして今もずっとあります。

20代の頃より30代の方が壁が多かった気がする

――では最後に。お三方とも30代です。役者にとって30代はどんな時期か、同じ30代の役者同士で語り合っていただけますか。

鈴木 人によって感触が違うのかな。

矢崎 確かに。

鈴木 僕は20代の頃よりも30代の方が壁が多かった気がする。それは、20代の頃の自分の認識が甘かったと言えるのかもしれないけど。

矢崎 すごく難しい年齢だと思うんですよ、30代って。責任ある役を任されることも増えていく中で、30代前半は今までの貯金や引き出しをずっと試されている感じがしました。それを乗り越えてようやく自分が何を持っているのかとか、この分野においては自信を持っていいんだということが一つ一つ確信になってくる。足りないものと足りているものが見えてきたというのが30代後半ですね。

鈴木 インタビューをしていただく場が多かったこともあると思うんですけど、一つのコンテンツについて考える時間がめちゃくちゃ長かったというのはありますね。

矢崎 そうだ。それ言ってたね。

鈴木 20代後半から30代前半はそれが結構メインになりつつもあって。作品のためになるし、全体としての成長ではあるけれども、もっと自分の成長をしっかり考えたいのになと悩んでいた時期があったのは確かです。

――大きな作品を背負うことが多かったですからね。

鈴木 この間、『最遊記歌劇伝』というシリーズが無事完結を迎えまして。僕を含め、15年間同じ役を演じた俳優もいて。シリーズ作品が15年続くこともそうですし、一つの役を同じ人が一貫して演じるというのもなかなかないケースだったと思うんですね。

矢崎 すごいと思うよ、本当に。

鈴木 そういう事例をつくれたことで、シリーズ作品の一つのサンプルができたというか。スケジュール含め、どういう問題が起きるのか情報として一つでも残せたらという思いがありました。そういうことにエネルギーを費やしてきたのが、僕の20代後半から30代前半だった気がします。

本田 広さんがおっしゃる貯金というワードは20代のときにすごく感じていました。僕の20代は本当に貯金というか、ひたすらインプットという感じでした。で、30代に突入したタイミングで、ここからは力を入れずにやろうということを一つの目標にしました。今、31歳になったばかりなんですが、それが実現できているのかなという手応えはあります。僕がやってるダンスにしてもアクロバットにしても演劇にしても、20代前半より今の方がインプットは確実に遅くなっている。だからこそ、30代はなるべくずっと柔軟にいたいということを意識しています。

矢崎 演劇を観てくれるお客さんの世代も、30代になるとまた変わるんですよ。今まで僕を見続けてきてくれた人は僕を知っているけど、そこに自分のことをまったく知らない層が増えてくる。その人たちに対して、どう自分のアピールポイントを提示できるかということをよく考えていましたね。

――そういう意味では、30代は楽しい? しんどい?

矢崎 僕はしんどかったかもしれないですね、特に30代前半は。

鈴木 僕も同じかもしれないですね。もちろん楽しいが完全になくなっていたら辞めているので、やりがいもあったけど、苦しい時期が多かったかなという印象です。

――本田さんは、自分の少し前を歩く先輩にこの場を借りて何か聞きたいことはありますか。

本田 え〜、なんだろう…。

矢崎 でも役者って気づきのタイミングがみんな違うんですよ。僕たちが気づいていないことを礼生くんはもうとっくに気づいているかもしれないし、逆に僕たちの知っていることを知らないこともあるかもしれない。しかも、その気づきがはたして正解なのかもわからないのが役者の難しさ。だから、僕らがアドバイスも言っても、「いやいや、もう知ってるわ」みたいな可能性は全然あると思いますよ。

本田 そういうことも一緒に稽古をすると見えてくるというか。お二方のお芝居を僕は大尊敬しているので、そのルーツを知る意味でも早く稽古がしたいです。そしたら、聞きたいことがどんどん溢れてくると思うので、そのときにまたお話を聞かせてください!そして今回、稽古で得たことを作品に落とし込んでみたいと思いますので、ぜひ劇場に見に来てください!(笑)。

取材・文:横川良明 撮影:古川義高

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