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初期作品から新作まで400点近くを一堂に公開『豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表』12月9日より開催

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《鉛筆》1996年 東京都現代美術館蔵 撮影:椎木静寧

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1990年より30年以上にわたって、社会に存在する様々な制度や価値観、約束事に対して独自の手法で対峙してきた現代美術家・豊嶋康子の、美術館では初となる大規模個展が、東京都現代美術館で12月9日(土)から2024年3月10日(日)まで開催される。

東京藝術大学在学中の1990 年に、東京の田村画廊と軽井沢の西武高輪美術館で作品を発表し、そのコンセプチュアルな作風が注目を浴びた豊嶋康子(1967-)。1990年の《エンドレス・ソロバン》や《鉛筆》など、物や道具の使用法や構造に着目して、その機能を宙づりにするような作品制作からキャリアを始めた豊嶋は、90年代後半には「表現」の領域を広げ、銀行での口座開設や株式購入、生命保険への加入といった社会・経済活動を素材とした作品を発表。2000年代からは、一般的に共有される色彩の体系を自身の設定で塗り替える作品や、表と裏、支持体と図、天と地などのように二項対立するものをずらし、重ね、反転させることで、複数の見方を可能とする作品など、多彩な創作活動を展開してきた。

だが、その多彩さの根底には一貫して、既成の仕組みや枠組みなどに対して自らが感じる違和感や関心を梃(てこ)として、それらを独自のやり方で読み替え、捉え返すことで別の見方を挿入し、人の思考の型の形成や、社会と自己の成り立ちの在り様を問う姿勢があるのだという。

同展は、その豊嶋の制作の全貌を、初期作から新作まで約400 点を一堂に集めて検証する初の試みだ。展示構成も豊嶋自身の構想に基づいて行われ、作品同士の関係性を見ることができる展観となっている。デビューを飾った2作品が、全面修復のうえで 33 年ぶりに公開されるのも話題となろう。

「コンセプチュアル・アート」は難解なイメージもあるが、「表現」を万人の行為と捉えている豊嶋の作品は、美術の専門家だけではなく、様々な人に向けられており、「考えさせる」だけではなく、「見る」楽しみや「作ること」への誘惑も感じさせるものだという。ときにユーモアも感じられるその作品群を通じ、「天地」や「左右」はどう決まるのか、あるいは裏と表をひっくり返すとどうなるのか、観る者それぞれが既存の約束事を問い直す機会となるに違いない。

<開催概要>
『豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表』

会期:2023年12月9日(土)~2024年3月10日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F
休館日:月曜(1月8日、2月12日は開館)、12月28日(木)~1月1日(月・祝)、9日(火)、2月13日(火)
開館時間:10:00~18:00(入室は17:30まで)
観覧料:一般1,400 円、大学・65 歳以上1,000円、高中600円
展覧会公式サイト:
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/toyoshima_yasuko/

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