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松下優也&有澤樟太郎×長谷川寧、ミュージカル“ジョジョ”は「かなり面白いことになっている」

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左から)長谷川寧、松下優也、有澤樟太郎 (撮影:You Ishii)

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1986年に「週刊少年ジャンプ」で連載を開始、その後掲載誌を移して現在も連載中、単行本の累計発行部数は1億2000万部超とワールドワイドな人気を誇る『ジョジョの奇妙な冒険』。その原点である「第1部 ファントムブラッド」をミュージカル化するという、最高にワクワクする試みが行われる。2024年2月の帝国劇場公演を皮切りに、3月に北海道・札幌、4月に兵庫と巡る公演で、19世紀末のイギリスに生きる主人公、ジョナサン・ジョースターを演じるのは松下優也と有澤樟太郎。そして、演出・振付は海外でも多くの舞台に関わり、日本では2023年のミュージカル『ピーター・パン』を担当し注目を集めた長谷川寧。既にワークショップに参加しているふたりと、着々とクリエイティブワークを引っ張っている長谷川。彼らが思うジョナサン、そしてミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険』について語ってもらった。

タイプの違うふたりが演じるジョナサン・ジョースター

――おふたりが演じるジョナサン・ジョースターは、英国貴族ジョースター家の息子で〈謎の石仮面〉をめぐってディオ・ブランドーと宿命の闘いを繰り広げます。ジョナサンについて、どのようにとらえていますか?

松下 「ファントムブラッド」のラストシーンでジョナサンがディオに対して言うせりふが、すごく大事じゃないかと思っていて。ジョナサンは圧倒的な光で、正義感が強くて、真面目でピュア。でもそういう風になっていくのは、ディオがいるからなんですよね。ディオあってのジョナサン、ジョナサンがいるからこそのディオ、ということが自分が演じるうえでのヒントだと思っています。

有澤 ジョナサンは物語の後半になればなるほど、磨かれ、研ぎ澄まされ、洗練されていくじゃないですか。そんなジョナサンとディオとのぶつかり合いに、ワクワクするんですよね。ジョナサンの内面は突き抜けて真面目だったり正義感が強かったりしますけど、マンガを見ると肉体的にもどんどん洗練されていく。そういうところがジョナサンの魅力だと思います。たぶん稽古は大変でしょうけど、稽古を通してジョナサンと自分の近いところを探していきたいし、ジョナサンのように洗練された人になっていけるんじゃないかなって思います。

長谷川 物語の構造的な部分を見ると、基本には社会的格差がある。ジョナサンは貴族の生まれで、一方には貧民街から来たディオがいるという対比構造になっているんです。(原作者の)荒木飛呂彦先生もジョナサンだけでなくディオにも強い思い入れがあるようですが、そんなふたりの格差の中で何を描くかというと、最初はゾンビ1体を倒す行為にも痛みを覚えていたジョナサンが、やがてそれを乗越えてちゃんと意識的に敵を倒すようになってディオに向かっていく。その成長が、僕は一番面白いと思うんです。割とポンコツだった最初のジョナサンがぐんぐん伸びていく、キャラクターの飛距離に魅力を感じますね。

――そのジョナサンを演じるおふたりですが、お互いの、そして長谷川さんから見たふたりの印象は?

長谷川 ふたりはタイプがまったく違うから面白いですね。髪色も全然違うけど(笑)、実は近いところはあるんだよね?

松下 地元(兵庫県)がめちゃくちゃ近いんです。

有澤 そうなんです。

長谷川 そんなに近い所で育って、こんな風に違う感じになるんだっていうのが興味深い。しかも今回はツアー公演も。

松下 兵庫県があって。

有澤 地元で大千穐楽ですもんね。

長谷川 ふたりの出演作品は最近観に伺っていて、最近だと音楽劇『浅草キッド』は「松下優也」らしく舞台に存在しているな、と思った。その場にその人のままでいるって実は一番難しいことだし、そういられるのは、すごく魅力的ですよね。有澤くんはこの前ミュージカル『のだめカンタービレ』を観たけど、毎回「元気だな」と思う。こういったまっすぐな陽のエネルギーを発することができるって、今回の“ジョジョ”の世界観にとっても、とてもいいこと。反対に屈折した人間であるという自覚がある僕からすると、僕にはないものを持っていてとても魅力的に映ります。『キングダム』もそうだけど、『のだめカンタービレ』も先に映像で演じた方がいらっしゃるし、どう演じるかはとても難しいだろうけど、有澤くんはすごく自分らしく演じていた。それがとても良かったです。

有澤 ありがとうございます! 僕は松下さんはすごくカリスマ性のある方だと思っていて。ミュージカル『花より男子』の道明寺司がイメージ的にぴったり。ああいうちょっとキザな役が嫌味なくはまっていて、本当にすごいと思いました。こうやってお話していても、言葉に説得力があるし、もっている雰囲気も素敵だし。

松下 僕はまだ実際に舞台で有澤くんの芝居を観てはいないけど、映像では観ていて。さっきの寧さんの話とちょっと似ているかもしれないけど、いい意味でフラットな人だと思った。自分もどっちかというとフラットなタイプだけど、また違った意味で。お芝居はしているけど、人に「こう見せなきゃ 」っていうフィルターがなくて、ちゃんと自分としてそこに存在している。純粋さというか、ピュアさを感じました。

この作品で新しい試みを

――おふたりは初めて長谷川さんの演出作品に参加するわけですよね。

松下 めちゃくちゃ興味深いですよ。僕がこれまでやってきたダンスは動き、形が先にある。でも寧さんはお芝居的というか、創っていく時の始め方がまったく違うんです。例えば水を飲むっていう動きにしても。

長谷川 「水が欲しい」という欲求が、動きの起因になる。それを振付化して行きたいんです。逆に言えば僕は、例えば役者さんにいきなりジャズの決まったステップで踊りださせる、みたいな振付の仕方がわからないんです。

松下 流れとして、すべてに無理がないっていうことですかね。ダンスの動きなどもそういう演劇的なところが面白いし、自分にとっても新しい発見がたくさんあるんじゃないかと思います。

有澤 寧さんのワークショップに何度か参加させていただいて、『ピーター・パン』も観ました。観終わった後、物語を超えて「ピーター・パンとは何か」みたいな本質的な部分を突いているように感じたんです。今回の“ジョジョ”でもきっと、もちろんエンタテインメントとして楽しいけれどそれだけじゃなく、演劇として“寧さんがやる意味”のある “ジョジョ”が創りあげられると思います。寧さんのワークショップはだいたい2~3時間なんですけど、頭も体も声も使って、毎回“全部使い果たした感”と充実感がすごいんですよ。本当にていねいに言葉で教えてくださるし、発見がたくさんあります。

――事前のワークショップがこれだけ充実しているということは、本編の稽古も期待できますね。

長谷川 僕はミュージカルの中で、『ウエスト・サイド・ストーリー』がすごく好きなんですよ。フィジカルと演技とが素晴らしく融合されているので。“ジョジョ”も、役者の欲求にそって、どこまでがお芝居なのかダンスなのかアクションなのかわからない、みたいな感じになったら面白いですね。ある意味、しっかり汗をかく泥臭い稽古になると思う。でもそこがふたりと一緒にやる面白さであり、大変さでもあり、ふたりにとってもちょっと新しい試みになるんじゃないでしょうか。

「めちゃくちゃかっこいい」UKロック風の音楽も注目

――役者さんたちの身体表現への期待が大きいわけですね。もうひとつ大きな要素として音楽がありますが、今回音楽を担当されているのは『1789 -バスティーユの恋人たち-』や『LUPIN~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』のドーヴ・アチアさん。既にデモ曲が到着しているそうですが、どう感じました?

長谷川 今回ドーヴと密にミーティングをさせてもらって、スタンダードなミュージカルのクラシカルな感じとはちょっと違う音楽になってきているのが面白いなと思います。イメージとしては、僕、それから松下くんもその世代かもしれないけど、以前オアシスやレディオヘッドのようなUKロックが大ヒットした時代があって。あの辺りのイメージの、耳に残る楽曲が多いですね。デモ曲は英語やフランス語で仮の歌詞が入っているんだけど、普通にノリの良い洋楽として聴いていられる。

有澤 ビジュアル撮影の時に流れていたんですよね。すごく耳に残るめちゃくちゃかっこいい曲で、洋楽が流れてきたなと思ったら「ジョナサンのテーマだよ」と言われてびっくりしました。

松下 もともとブラックミュージックやポップス、ブルースを歌って、聴いて、育ってきてるし、今回の曲は自分のフィールドに近くてすごく楽しみ。あとはジョナサンとして、どこをどうセリフとして歌うのか。日本語になっても、のっぺりしてしまわないようにリズムにはこだわっていきたいと思います。

長谷川 今回、アレンジメント・バンドマスターの蔡忠浩さんが(元・バンド「bonobos」の)ボーカリストでもあるので、歌詞検討会にも参加してもらっているんですよ。例えば「ここは小さいツが入るように歌ったら、もっとグルーヴが出るよね」といった話をしながら、こだわって歌詞を創っています。ちょっと新しいものになるんじゃないかな。

松下 素晴らしい! そういうことを、世界で活躍されているクリエイティブスタッフの方たちが高い次元で創ってくださっているところに安心感がありますよね。

有澤 めちゃくちゃ、楽しみです。

長谷川 ミュージカルは総合芸術だと僕は思っていますけど、いろいろなスタッフの力、もちろんキャストの皆さんの力も加わってかなり面白いことになっていると思います。ぜひ楽しみにしていていただきたいですね。

ぴあアプリでは松下優也さん、有澤樟太郎さんのアプリ限定カットをご覧いただけます。ぴあアプリをダウンロードすると、この記事内に掲載されています。

取材・文:金井まゆみ 撮影:You Ishii
ヘアメイク:(松下)ASUKA(a-pro.)/(有澤)田中紫央
スタイリスト:(松下) YAMAMOTO TAKASHI(style³)/(有澤)山田安莉沙

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<公演情報>
ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』

原作:荒木飛呂彦(集英社ジャンプ コミックス刊)
演出・振付:長谷川寧
音楽:ドーヴ・アチア
脚本・歌詞:元吉庸泰

出演:
松下優也/有澤樟太郎(Wキャスト)、宮野真守、清水美依紗、YOUNG DAIS、東山義久/廣瀬友祐(Wキャスト)、河内大和、島田惇平、コング桑田、別所哲也 ほか

バンド:
蔡忠浩 吉田省念 小池龍平 田中佑司 梅本浩亘 高橋飛夢

【東京公演】
2024年2月6日(火)~2月28日(水)
会場:帝国劇場

【北海道公演】
2024年3月26日(火)~3月30日(土)
会場:札幌文化芸術劇場hitaru

【兵庫公演】
2024年4月9日(火)~4月14日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/jojo-musical/

公式サイト:
https://www.tohostage.com/jojo/

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