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クリスマスシーズンにぴったりの5曲入りEPをリリース 竹渕慶インタビュー「自分に授かったものがあるなら存分に使って、役割を担いたい」

音楽

インタビュー

ぴあ

竹渕慶 撮影:吉田圭子

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Goose houseでの活動からソロデビューし、洋楽とJ-POPのハイブリッド的なセンスを感じる音楽を発信してきた竹渕慶。1年3カ月ぶりの新作「The Rose」などスタンダードナンバーのカバー4曲にオリジナル曲を加えたEP『Songs for You』を12月8日(金) に配信リリースする。12月23日(土) にはクリスマスライブも開催。幸せな記憶の箱を開ける、温かい夜が届けられそうだ。

――慶さんというお名前には、どんな由来があるんですか?

竹渕 みんながハッピーで“よろこばしい”という意味で、父が付けました。実は母が竹内まりやさんの大ファンで、せっかく名字が似ているからと“竹渕まりや”と名付けたがったのを、父が必死に止めたそうです(笑)。

――小3から小6までロスで暮らしたそうですが、お父さんは最初からインターナショナルな観点もお持ちだったり?

竹渕 KEIって海外でも呼びやすい名前というのは、若干意識したみたいです。

――EPの先行で配信された「The Rose」が1年3カ月ぶりの新作となりました。このタイミングでこの曲というのは、どういう想いからだったんですか?

竹渕 「The Rose」は高校生の頃、母とDVDで観た映画の主題歌ですけど、32歳の大人の女性として、体制も新しくなったところで、今後は何を歌っていくか。自分のバックグラウンドから今に至る経緯を改めて見返したとき、小さい頃にアメリカに住んでいた、英語に馴染みがある、Goose houseでカバー中心に活動して知っていただいた……ということと全部合致して、洋楽のスタンダードを今の声で歌うのがいいかなと思いました。

――その中で「The Rose」が真っ先に浮かんだわけですか。

竹渕 映画の『The Rose』が女性シンガーのジャニス・ジョプリンをモデルにしていたのと、今年亡くなった祖父の告別式で、ワンフレーズを歌ったんですね。母が祖父に毎年バラを送っていて、群馬の生家の庭で今も咲いている。「The Rose」を告別式で歌ったのも母の提案でした。そんな今年のエピソードと愛にまつわる思い入れがある曲です。

――高校生で観た『The Rose』は衝撃的だったのでは?

竹渕 大きかったです。芸能界やアーティストはキラキラしたイメージで、えげつない部分は知らなかったので。でも、とてつもないプレッシャーの下でボロボロになりながらも歌い続けて、最後は孤独だったけど愛を探し求めたシンガーの生き様にも、ドーンという衝撃がありました。

――ベッド・ミドラーが演じた主人公がステージで倒れて、エンディングで流れた「The Rose」をどんな気持ちで聴いていたかは、覚えていますか?

竹渕 号泣していた記憶があります。そのときは歌詞をちゃんと聴いていたわけではなくて、ベッド・ミドラーの声に胸を打たれていた感じです。大人になってから歌詞を読み返して、こんなに深いことを歌っていたのかと思いました。あれから15年以上経って、私もいろいろな経験をして、これまでの出来事が浮かんだり。32歳になった今だから歌えると思いました。

――たくさんのシンガーがカバーしてきた曲ですが、自分なりのアプローチも考えました?

竹渕 この曲に限らず、カバーをさせていただくときにずっと意識してきたのが、考えすぎない、作り込みすぎないことです。オリジナルのアーティストさんへのリスペクトはありつつ、特に今回のEPはありのままの自分を飾らず出すのがコンセプトだったので。

――それもあって、鶴谷崇さんのピアノとの一発録りに?

竹渕 そうですね。確か2~3テイクをツルッと録って、結局は(サウンドチェックを兼ねた)テイク0を収録しました。毎回決まった歌い方はしてなくて、細かいところが違っていましたけど、逆に言えば、そんな形で歌うことを意識したかもしれません。

――キャリアのあるシンガーさんだと、レコーディング前の練習はするものですか?

竹渕 することはしますけど、個人的にはしすぎると変化がなくて、つまらなくなってしまう気がします。何回もスタジオに入って声出しをするのでなく、どう感情を持っていくか、どこでダイナミクスを作るか、頭の中でイメージすることに割く時間が多いです。

――「The Rose」について、32歳の今だから感じたのは、どんなことですか?

竹渕 中高生の頃は「愛って何だろう?」と考えたとき、明るくポジティブなイメージでした。今になると、陰があっての光ということもわかってきて、死があって初めて知る愛もあると思います。「The Rose」の歌詞ではloveを陰のものに例えながら、最後には温かい希望だと歌っていて。そこが深いなと感じました。

――EPの他のカバー曲にも、それぞれ思い入れがあるわけですか?

竹渕 サイモン&ガーファンクルは小さい頃からずっと聴いてましたし、「Hallelujah」も両親がクリスマス時期に流す洋楽クラシック集に入っていました。今回のEPでは誰かに向けて歌っている曲を集めて、タイトルも『Songs for You』にしましたけど、好きだなと思っていた曲ばかりです。

――愛や希望を語り掛ける歌が揃いました。

竹渕 時代を考えて選曲したわけではないですけど、70年代、80年代のアメリカはベトナム戦争の影響がまだあって、オイルショックで景気もすごく悪くて。みんなが辛かった時代に、作者がどこまで加味したかはともかく、そんな背景から生まれたメッセージは少なからずあるのかなと。今も世界で戦争が起こっていて、日本でも若い人たちが経済的に苦しんでいる。この時代に歌うことに意味がある曲だと思ったところもあります。

――「The Rose」以外の曲もピアノとの一発録りで?

竹渕 「The Rose」は頭から最後まで歌ったテイクをそのまま使っていて、他の曲は部分的に入れ替えたりもしていますけど、全部ピアノと歌を同時に録りました。

――「A Song for You」では低音が耳を引きます。

竹渕 私は高い声をトレードマークにしてきましたけど、だんだん自分の声も変わってきて。大人のシンガーソングライターになっていく中で、今まで出してこなかった低音も聴かせていこうという想いもあります。

――技術的に難しさもありました?

竹渕 確かに今回のEPで、テクニック的には「A Song for You」が一番難しかったです。高低差がすごくあって、メロディが動いて、低音がしっかり出ていないと説得力がない。一発録りということもあって、緊張感がありました。

――「Hallelujah」は歌詞が難解ですよね。ダビデが出てきたり。

竹渕 歌詞にちゃんと着目したことは正直なくて、旧約聖書からの引用もあって、クリスチャンでない私が賛美歌を歌っていいものかと、ちょっとよぎりました。でも、調べたらレナード・コーエンさんも「賛美歌ではない」と明言されていて。大きな愛の歌として作ったということだったので、自分なりに歌えたらと思いました。

――オリジナル曲の「Voice of an Angel」はリリース直前に出来上がったとか。

竹渕 ギリギリで完成しました(笑)。カバー曲を選ぼうと自分のバックグラウンドを辿っていた中で、小さい頃に教会で歌ったときの、トラウマに近い悔しい思い出があったんですね。自分が今も歌い続けている原点のエピソードなので、それを曲にしようとテーマから決まった感じです。

――小さい頃というのは、何歳のときですか?

竹渕 9歳から12歳までロスに住んでいて、帰国の3カ月前になって「やり残しことはないか?」と親に聞かれたんです。近所にゴスペル教室があって、大柄な黒人のおじさんが教えていて、そこに行ってみたくて連れていってもらいました。2回くらいレッスンを受けて、声の出し方とかを学んだら、先生に「クリスマスイブに教会でミサがあるから、「Silent Night」を独唱しないか」と言われたんです。

――ひとりで歌ったんですか。

竹渕 聖歌隊とかも歌ってましたけど、独唱を任されました。でも、めちゃくちゃ練習して挑んだのに、もうボロボロ。知らない人たちの前で歌うのが初めてで、声を出そうとしているのに、ノドでつっかえて出ない。2番はまるまる歌えませんでした。

――うまく歌う以前に、声が出なかったと。

竹渕 2番は頭の1行目だけ。それも声が震えて音に全然当てられない。動揺して声が出なくなって、オルガンの音だけで曲が終わって。本当にトラウマになりました。

――でも、乗り越えたんですよね?

竹渕 トラウマのままで終わっていたら、「もう歌うのはイヤだ」となっていたと思います。けど、歌い終わったら、ミサに来ていた十何人かの方たちが寄ってきて、「素晴らしかった。きれいな声だった。天使の歌声だった」と言ってくれたんです。

――まさに「Voice of an Angel」だったと。

竹渕 そうなんです。励ましてくれたんだと思いますけど、ウソの言葉ではない感じがして。その経験があって、うまい・ヘタとは別のところで伝わるものがあるんだと、子供ながらに知りました。幸せな経験になって、以後も歌うことができました。

――竹渕さんはインディーズでのソロデビューからだと10年になりますが、作品を量産するタイプではないようですね。

竹渕 そうですね。ソロではフルアルバム1枚、ミニアルバム1枚。グループを抜けてからは5年で、スモールチームで探り探り、今できることをコツコツやる方針でした。

――発表してなくても、曲は日頃から作っているんですか?

竹渕 ちょこちょこやっています。ムラはあるんですけど(笑)。

――「作るぞ」という感じで籠るわけではなく?

竹渕 作ろうと思ってピアノに向かうと、出てこないことが多くて。身の周りで起きたこと、人が話していたことから想いが巡って、自分の感情が溢れたら作る、みたいなパターンが多いです。今回の「Voice of an Angel」はEPのために作りましたけど、ずっと自分の根っこにあった想いだったので、わりとスッと出てきました。

――曲と詞が一緒に出るんですか?

竹渕 そうなんです。1行目のメロと詞がポンと出てきて、そこから組み立てることが多いです。

――カフェとかで詞を書いたりはしませんか?

竹渕 グループ時代はずっと、そういう作り方をしていました。いろいろなパターンがありますけど、やっぱりメロと詞が同時に出たときのほうが相性が良くて。型にハメず、字数をあまり考えなくても、できたときにしっくりきます。

――曲を作っていて煮詰まることもありますか?

竹渕 めちゃめちゃあります(笑)。途中で「私は何を言おうとしていたんだっけ?」となったり、どんなメロをハメてもしっくりこなかったり。

――そういうときは、どうするんですか?

竹渕 寝ます(笑)。「もう、やーめた」って。あるいは全然違うことをやったり、一回記憶を飛ばします。無理に続けるより、寝るのが一番ですね。

――12月23日にクリスマスライブがありますが、竹渕さんのオリジナル曲「クリスマスの話」は、意表を突くお母さんの歌でした。

竹渕 母目線で書きました。クリスマスは毎年、家族と過ごしています。

――大人になってからも?

竹渕 そうです。実家に帰って。たいしたことをするわけでなく、ケーキを食べるくらいですけど。

――「クリスマスの話」のように、お寿司も出たり?

竹渕 お寿司は最近は出ないかな(笑)。母の実家にクリスマスに行くと、お寿司とイチゴのケーキがありました。母にとってのクリスマスごはんのイメージですね。

――特に印象的なクリスマスの思い出はありますか?

竹渕 アメリカにいたときのクリスマスが一番思い出深いかな。広い一軒家で暖炉があって、火をくべてクリスマスソングが掛かって、ツリーもあって。25日の朝はプレゼントも楽しみ。あのワクワク感、多幸感は忘れられません。

――クリスマスにディズニーランドに行ったり、オシャレなホテルでパーティーを開いたりはしませんか?

竹渕 ないですね。クリスマスは街に出るより、大切な人たちと過ごす時間というイメージが強いです。アメリカ的かもしれません。

――今回のライブで歌うかは別にして、好きなクリスマスソングもありますか?

竹渕 あります。小さいときにずっと流れていたナット・キング・コールの「ザ・クリスマス・ソング」とか、フランク・シナトラのクリスマスアルバムの歌とか、スタンダードな曲が好きです。好きというか馴染みすぎていて、幼少の頃の記憶が蘇ったり、聴いているだけで温かくなる感じがします。

――今回のクリスマスライブの選曲は悩みどころですか?

竹渕 はい。クリスマスソングがメインになりますけど、自分の思い出だけでなく、来てくれる方の記憶の箱を開けるセットリストにしたくて。その場にいるみんなで共有できる時間になるように、曲を選びたいと思っています。

――さっきの「クリスマスの話」の「お寿司」とか、竹渕さんの曲は洋楽っぽかったり洗練されたメロディに、率直なフレーズが出てきますよね。「あなたへ」は全編そうだったり。

竹渕 誰かの視点に乗り移った感じで書いた曲なんです。「クリスマスの話」は母、「あなたへ」はおばあちゃん。生活を想像しながら書いていくと、日常の中にある言葉が出てきます。

――「Torch」では「ふざけんな」とも歌っています(笑)。

竹渕 あれはソロになって半年後くらいに作った曲で、わりとメラメラしていて(笑)、そのまま書きました。

――詞に関しては、スタイリッシュにしようとかは考えないですか?

竹渕 意識したことはないかな。英語で書くとまた別ですけど、日本語では率直な言葉、泥くさい言葉が多くなります。

――まだEPの配信やクリスマスライブの前ではありますが、今年は前の事務所を離れて、転機の年になりました?

竹渕 自分の想いや軸は変わっていません。環境も変えようとしたというより、必然という感覚です。出会うべき人たちと出会うべきときに巡り合って、同じ志で「じゃあ、やろうか」という自然な流れでした。今までもそう。ありがたいことに、常に周りに私の可能性を信じてくださる人たちがいて、支えてもらって。穏やかな波がずっと続いている感じですね。

――穏やかという体感ですか。

竹渕 自分の中では、あの年はキツかったとか激動だったとか、振り返って思うことはないです。周りからは大変に見えるようですけど。自分の精神面やモチベーションにアップダウンはあまりありません。違う世界への扉を開くのでなく、新しい窓をひとつ開けるというか。年齢は重ねていて、その時々で歌うべきことは違うので、窓から見える景色は全然変わります。でも、自分にとって荒波ではないですね。

――メンタルも安定しているんですね。

竹渕 コロナ禍のときは不安でしたし、大学3年で就活をするかとか、大きな決断に悩んだりはしました。でも、「もうダメだ」みたいなことはなくて。頭のネジが1コ飛んでいるのかもしれません(笑)。自分でも楽天的だなと思います。

――『The Rose』みたいな波乱はないと。

竹渕 全然掛け離れた感じですね(笑)。

――少し早いですが、来年に向けて考えていることもありますか?

竹渕 わりとローペースで作品をポツポツとリリースしてきたので、待ってくれている人たちのために、今までよりはハイペースで届けたい想いはあります。

――2枚目のフルアルバムも出そうですか?

竹渕 出るかな? 出るんじゃないかな? 出したいです(笑)。来年はライブで皆さんの前に立つ機会も、多くなると予想しています。

――売れたいとか、野心的なものはないですか?

竹渕 そういうモチベーションより、自分の歌が誰かの命を救うことが、大げさでなくあるかもしれない。実際にDMでそういうコメントは少なからずいただくので、歌うことで貢献できている感覚は、ありがたいことに持っています。だから、やめたくない。自分に授かったものがあるなら存分に使って、役割を担いたい。それが広まって、より多くの人に触れられたら、私にも幸せなこと。このサイクルを大きくしていきたい気持ちです。

――海外進出は考えていませんか?

竹渕 したいです! インドネシアやマレーシアで歌ったことはあって、日本語の詞の意味は絶対わかってないのに、目をキラキラ輝かせて聴いてくれて、声を出して一緒に歌ってくれたのが忘れられません。歌で言葉の壁を越えた感覚がありました。コミュニケーションツールとしての音楽の可能性をすごく感じて、私は英語も使えるので、海外にはとても行きたいです。

――それも「世界のタケブチケイになる」という野心からではなくて。

竹渕 そういうことより、もっと繋がれる人が世界中にいるなら、リーチしたいと思っています。

Text:斉藤貴志 Photo:吉田圭子

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<ライブ情報>
竹渕慶ワンマンライブ “Kei's Attic 2023 Christmas” 〜屋根裏部屋からメリークリスマス〜

■追加公演
2023年12月23日(土) 14:30開場/15:00開演
会場:渋谷duo MUSIC EXCHANGE
※12月9日(土)からチケット一般発売スタート
https://w.pia.jp/t/kei-takebuchi-t/


■本公演
2023年12月23日(土) 18:30開場/19:00開演
会場:渋谷duo MUSIC EXCHANGE
チケットは予定枚数終了

<リリース情報>
Digital EP『Songs for You』

2023年12月8日(金) 配信リリース

配信リンク:
https://virginmusic.lnk.to/SongsforYou_pre

【収録曲】
1. The Rose(ローズ)
2. A Song for You(ア ソング フォー ユー)
3. Bridge Over Troubled Water(ブリッジ オーバー トラブルド ウォーター)
4. Hallelujah(ハレルヤ)
5. Voice of an Angel(ボイス オブ アン エンジェル)

関連リンク:
https://twitter.com/keibambooty

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