由来を教えて!劇団名50 その35 突劇金魚
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突劇金魚の山田蟲男(左)とサリngROCK(右)。
次々と新たな作り手が頭角を表す演劇界。数ある劇団の中から、ジャケ買いならぬ“劇団名買い”で観劇に行った経験はないだろうか。チラシやニュース、SNSなどで目にする劇団名は、シンプルなものから不思議な音の響きを持つもの、「どういう意味?」と目を引くものまでさまざまだが、それには名づけ主の希望や願い、さらには演劇的活動戦略が込められているはず。このコラムでは多彩な個性を放つ若手劇団たちの、劇団名の由来に迫る。劇団名が持つ秘密と共に、未来の演劇界を担う彼らの活動の軸を紐解いていく。
35番目に登場するのは、演劇を軸に多彩な活動を行っている関西の劇団・突劇金魚。劇作家・演出家・俳優のサリngROCKと俳優の山田蟲男が生み出す、“ちょっとホラーな、大人の絵本”的世界観は、OMS戯曲賞やAAF戯曲賞でも高く評価されてきた。12月に大阪の新劇場・扇町ミュージアムキューブにて、公募で集められたメンバーと共に人気作「墓場のオサムと機嫌のいい幽霊」を再演する彼らに、改めて劇団名の由来を教えてもらった。
突劇金魚(トツゲキキンギョ)
Q. 劇団名の由来、劇団名に込めた思いを教えてください。
長い名前じゃなく漢字4文字ぐらいの名前にしたく、また、“劇団〇〇”というものは避けたく、でも“劇”という字を入れたく、「電撃……攻撃……突撃……」などと“ゲキ”の音が付くワードを探しました。その中で勢いがありつつあんまり攻撃っぽくない“突ゲキ”を選びました。そのあとに続く2文字……と考えていたその日、たまたまTSUTAYAに返却しようとしていたDVD(VHSだったかも……!)を持っていて、それが「運動靴と赤い金魚」という映画で、「金魚ってなんかええなー」と思って、“突劇金魚”としました。金魚は、小さくて庶民的で、でも赤くて目立っていて、名前から“金色”のイメージもあって、なかなか気に入っています。“突劇金魚”は、周りからは“突金”と略されることが多いですが、自分達では“金魚”と略して呼んでいます。
Q. 劇団の一番の特徴は?
今は、山田蟲男とサリngROCKが2人でやっているということだと思います。劇団と言いつつコンビです。作品の特徴としては、白塗りしている人と、被り物が出てくることが多いです。また、現実の設定だったとしても、どこかには虚構の世界のシーンを入れるようにしています。現実と虚構をできる限り軽やかに行き来したいと思っています! 虚構を現実だと思えるように、現実が虚構にも見えるように。
Q. 今後の目標や観客に向けたメッセージをお願いします。
今後も、できることを楽しくやっていきたいです。突劇金魚の二人芝居も作ってみたいです。周りの価値観に振り回されないように、自分達で考えて生きていきたいです。楽しんで生きている姿をガンガン見てもらおうと思います!
プロフィール
関西学院大学の演劇サークルに所属していたサリngROCKを中心に2002年に旗揚げ。その後、2007年に山田蟲男が参加。“現代を生きることで感じる、不安や憤り”を作品の下敷きに、ストーリー性と身体性豊かな作品を生み出す。これまでに第15回OMS戯曲賞、第9回AAF戯曲賞最優秀賞などを受賞。