眞栄田郷敦、池内博之は父・千葉真一に似ている？「彼方の閃光」初日舞台挨拶

眞栄田郷敦が12月8日、東京・TOHOシネマズ 日比谷で初主演映画「彼方の閃光」の初日舞台挨拶に登壇。主人公がいまだ戦争の傷痕に苦しまされる人々と出会う同作だが、くしくも初日はかつて日本軍が米英に宣戦布告をした日と重なった。

舞台挨拶の冒頭、監督の半野喜弘は「僕たちの長い歴史の中で、今もなお戦争がなくならずに、続いていて。その中でたくさんの方が命を落としています。まずはその方々に対して黙祷をさせてください」と語りかける。そして登壇者たち全員で30秒の黙祷を捧げ、平和への思いを改めて誓った。

「彼方の閃光」は色彩を感じることができない主人公の光が写真家・東松照明（とうまつしょうめい）の作品に惹かれ、長崎・沖縄の戦争の記憶をたどっていくロードムービー。舞台挨拶には眞栄田と半野のほか、池内博之、尚玄、伊藤正之、加藤雅也も登壇した。

映画の完成当初は配給会社も決まっておらず、劇場公開されるまでには紆余曲折があった。眞栄田は「この映画が無事に公開されて、そしてこうやってたくさんの方に観ていただけること、すごくうれしいです」と挨拶。制作当初に監督から「公開できないかもしれないけど、どうですか？」とオファーがあったという加藤は「確かに（公開まで）2年近く経ったんですけど、こんな大きな劇場でかけてもらって。しかも若い方もたくさん観に来てくださっているところに、日本の映画界の将来が見えたような気がします」と明かす。

加藤の発言を受け、半野は「実現するかどうかも、それこそ公開できるかどうかもわからない。撮影で1日でもトラブルがあったら、たぶんこの映画はその場で終わっていた。それくらい綱渡りの企画だったので、ここにいる全員、いないスタッフも含めて、みんなが協力してくれてスタートできました。まず映画制作を走らせることができるかどうかも、なんの補償もなかったんです」と述懐。最初に映画の雰囲気が表現された白黒の映像を観たという眞栄田は「監督の感覚が面白いなと思って、まずそこに惹かれました。そして脚本を読み終わったあと、なんとも言えない、言葉にできない余韻に浸りながら、この光という役を演じられたらいいなと思ったのがスタートですね」と振り返った。

池内は光と一緒にドキュメンタリー映画を作る旅をする自称革命家・友部を演じた。心の底に情熱と激しさを内包するキャラクターで、眞栄田は撮影を通じて池内に父親である故・千葉真一と似ているところを感じたとか。眞栄田は「今日も思いましたね。やっぱり雰囲気が似ているなと思った」としみじみした様子で、池内も「自慢していいですか？」とうれしそうな顔を見せた。

最後に眞栄田は「ほかの作品でも舞台挨拶はやらせてもらいますが、今回の舞台挨拶はずいぶん空気感が違う。やはりこの作品の余韻や力なのかなと思います。1人ひとりが何かを感じていただいたかなと思いますが、そういう人が1人でも増えてくれたら。この作品が長く世の中に残っていくことを願っています、そのために皆様の力を貸してください。よろしくお願いします」と呼びかけ、イベントの幕を閉じた。

「彼方の閃光」はTOHOシネマズ 日比谷ほか全国で順次公開。

(c)彼方の閃光 製作パートナーズ