Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 千葉雄大「やみつきになって」 舞台『ジャズ大名』開幕

千葉雄大「やみつきになって」 舞台『ジャズ大名』開幕

ステージ

ニュース

ぴあ

舞台『ジャズ大名』ゲネプロより (撮影:五月女菜穂)

続きを読む

フォトギャラリー(16件)

すべて見る

舞台『ジャズ大名』が2023年12月9日(土)、KAAT神奈川芸術劇場で開幕した。本作は筒井康隆の同名小説を原作としつつも、舞台を原作の九州から、実在した神奈川・小田原藩の支藩、荻野山中藩に置き換えて、新たに脚本を書き起こしている。初日を前にゲネプロ(総通し舞台稽古)と初日前会見が行われた。

舞台『ジャズ大名』初日前会見より、左から出演の富田望生 、千葉雄大、藤井隆、上演台本・演出の福原充則

維新の風が吹き荒れる江戸末期、アメリカの南北戦争が終結し、解放された黒人奴隷たちが故郷のアフリカを目指して船に乗り込むが、日本の小藩に流れ着いてしまう。鎖国の世、外国人の取り扱いに困る藩の役人らは、彼らを座敷牢に閉じ込めておくが、好奇心旺盛な藩主・大久保教義(千葉雄大)は、彼らの奏でる楽器の音に夢中になり、家老・石出九郎左衛門(藤井隆)の制止も聞かず、次第に城中を巻き込んでジャム・セッションを繰り広げていく......というあらすじ。

会見で初日を迎える心境を問われた、大久保教義役の千葉雄大は「お稽古を皆さんで紡いできたので、それをちゃんとやりつつ、そのときに起きたことにも反応しつつ。お客様がどう観てくださるか分かりませんが、どう観ていただいても、わっ!とやるので(笑)、何かしらでも(感じるものが)あったらいいなと思います」とテンション高め。「幕が開いてから降りるまで、こんなに汗をかいている舞台は初めて。僕は今、音がなったら自然と体が揺れ動くような状態になっているので、劇場を揺らしていきたいですし、それがやみつきになって、お客様がまた来たいなと思ってくれたら嬉しいです。寒い冬でも熱くお届けしたいと思います」とも語っていた。

藤井隆「のびのびやらせていただいています」

石出九郎左衛門役の藤井隆は見どころについて「(演出の福原さんが)まずはこちらが好きなようにやらせてくださって。もしかしたら福原さんの思いと違うことをやっているかもしれないけれど、僕がやった方を優先しようと調整してくださったりして......のびのびやらせていただいています」と語る。そして「1年の中で華やかで賑やかな12月と1月に『ジャズ大名』ができることを嬉しく思っています。出演者、スタッフ一同万全の状態でお客様をお迎えできるようにしておりますし、楽しい気持ちで観ていただける舞台。ぜひ劇場にお越しください」と呼びかけた。

「つむじから足の爪までぞわぞわと熱く燃え上がる作品になっていると思います」と語るのは、やこ役の富田望生。複数の役を演じ分けながら狂言回しの役割を担う富田は「裏で気持ちを作ってから舞台に出ていくタイプだったので、今回はそういった時間がなくて稽古序盤は混乱みたいなものはあったのですが、楽しい新しい発見が多い稽古の時間で。やこという人間がすべてに化けているんだという芯をつかめたら、理解できたような気がします」と役について話し、「劇中、何度も出てくる音楽があります。帰りの電車の中、車の中、歩いている時間が、その音楽がぐるぐるとまとわりつく時間になればいいなと」とも話していた。

上演台本・演出の福原充則は「いろいろ蠢く感情を最終的に吹っ飛ばす芝居です。基本的に全部楽しかったですし、本番も楽しくなるんだろうと思います。舞台上で起こることは誇張していますけど、観ているお客さんの中にあるものを増幅して見せている。お客様が入って完成すると思うので、完成のタイミングが楽しみです」などとコメントしていた。

まるで祭りのような舞台。人々の生のジャム・セッションに圧倒されて

ゲネプロを観た。舞台は下手側を頂にして階段状になっており、富士山や松の装飾などから“和風”な仕上がりで、まるで荻野山中藩の城のよう。“城”には劇中の楽曲を奏でるバンド隊がおり、作品に欠かせない音楽たちを聞かせてくれる。

俳優に関して言えば、福原の演出らしいが、いわゆるメインとアンサンブルの区別はほぼなく、それぞれの俳優の個性がギュッと詰まっている印象。とりわけ千葉は天性の無邪気さが光り、「藩主」という立場ながら音楽に酔いしれてハメを外していく姿が実に爽快だったし、藤井は「家老」という立場をわきまえて基本的に厳しく真面目に動いているのだが、所々で遊び心を感じる芝居だった。

「タタラ、タタラ、タタ、タタッター♪」という黒人奴隷のジョー・サム・ルイらが奏でる音楽は劇中何度も出てくるのだが、これがどうも耳から離れないし、衝撃のエンディングも含めて祭りのような舞台。歴史上あったかもしれない出来事に思いを馳せながら、人々の生のジャム・セッションに圧倒されよう。

上演時間は約2時間(休憩なし)。公演は12月24日(日)まで。

取材・文・撮影:五月女菜穂

★千葉雄大さんのインタビューを掲載中!
千葉雄大が“憧れ”の藤井隆と共演 舞台『ジャズ大名』は「テンション高く行こうと思います」

<公演情報>
『ジャズ大名』

原作:筒井康隆
上演台本:福原充則 山西竜矢
演出:福原充則
音楽:関島岳郎
振付:北尾亘

出演:千葉雄大 / 藤井隆
大鶴佐助 / 山根和馬 / 富田望生 / 大堀こういち
板橋駿谷 / 北尾亘 / 永島敬三 / 福原冠 / 今國雅彦 / 佐久間麻由
ダンテ・カーヴァー / イサナ / モーゼス夢  ほか

2023年12月9日(土)~2023年12月24日(日)
会場:KAAT神奈川芸術劇場<ホール>

ツアー公演
【兵庫公演】
2024年1月7日(日)・8日(月・祝)
会場:神戸文化ホール

【愛知公演】
2024年1月13日(土)・14日(日)
会場:刈谷市総合文化センター

【大阪公演】
2024年1月20日(土)・21日(日)
会場:高槻城公園芸術文化劇場

チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2345703

公式サイト
https://www.kaat.jp/d/jazz_daimyo

フォトギャラリー(16件)

すべて見る