「ファースト・カウ」三宅唱がケリー・ライカートにインタビュー、影響を受けた監督は
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映画「ファースト・カウ」のリモート対談の様子。左からケリー・ライカート、三宅唱。
映画「ファースト・カウ」の公開を12月22日に控えるケリー・ライカートに、「ケイコ 目を澄ませて」で知られる映画監督の三宅唱がインタビュー。リモートで行われた対談の模様がYouTubeにて公開された。
本作は西部開拓時代の米オレゴン州を舞台に、アメリカンドリームを求めて未開の地にやってきた料理人のクッキーと、中国人移民のキング・ルーの姿を描いた物語。意気投合した2人は“富の象徴”である牛からミルクを盗み、ドーナツで一攫千金を狙う。ジョン・マガロがクッキー、オリオン・リーがルーを演じた。
かねてからライカートの映画が好きだったという三宅は、「ファースト・カウ」の冒頭の船の音や、自身がその編集に魅了されたシーン、クッキーとキング・ルーが育む友情などについて質問。ライカートの映画作りの方法論や核心に迫っていく。いつどのようにして最初のショットを決めたのか聞かれると、ライカートは自身のメンターであり、2016年に亡くなった実験映像作家ピーター・ハットンへのオマージュであることを明かした。
三宅が本作を「泥棒の映画」と語ったことに喜び、ライカートが「サムライ」「仁義」などで知られるフレンチノワールの巨匠ジャン=ピエール・メルヴィルの影響下にあることを語る場面も。さらに溝口健二の「雨月物語」についても「かなり意識しました」と付け加えた。さらに三宅が映画評論家の蓮實重彦からもらったというジョン・フォードの写真を、ライカートが映画を撮影中の三宅本人と勘違いするほほえましい一幕もある。
最後にライカートは観客に期待することとして「物語に入り込んで主人公たちと驚いたり発見したりするのが好きです。でも作り手が意図して何かを見せようとすると物語以外の部分が気になってしまうんですね」「理想としては自分の作品を映画館で観たあと、それぞれがまったく違う解釈や意見を持ってくれると面白いですね」と語った。
「ファースト・カウ」は東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国で公開。
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