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ザック・スナイダーが語る新作『REBEL MOON』。「『スター・ウォーズ』ではできないことをやっている」

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ザック・スナイダー監督

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『300<スリーハンドレッド>』や『マン・オブ・スティール』で知られる監督ザック・スナイダーが、Netflixで配信が開始された最新作『REBEL MOON』のプロモーションで久々の来日を果たした。

彼自身のオリジナル脚本による『REBEL MOON』は銀河宇宙を舞台にしたSFアクション映画。マザームーンと呼ばれる巨大帝国に支配された銀河の辺境の星で農業を営む村に帝国の邪悪な使者が訪れ、無理難題を突きつける。もし、それができなかったから村を殲滅すると宣言され、ひとりの農民が立ち上がる。その女性こそ、かつてマザームーンの最強の戦士だったコラ。彼女は、戦いとは無縁の農夫を連れ、村のために戦ってくれる仲間を探す旅に出る。

このストーリーからも分かるように『スター・ウォーズ』×『七人の侍』の物語&世界観。『スター・ウォーズ』と黒澤明を愛するザックにとっては「構想20年」という念願の作品だ。

『REBEL MOON — パート1: 炎の子』予告編 - Netflix

ザック・スナイダー監督『REBEL MOON — パート1: 炎の子』予告編を解説 #7

――本作のアイデアが生まれた経緯を教えてください。

ザック きっかけは1977年にまで遡る。11歳だったオレは『スター・ウォーズ』を観て「こういう素晴らしい作品、オレにも作れるかもしれない」と思ったんだ。そして大学生のときある授業で、映画を1本選び、それを別の舞台に置き換えて新しい企画として売り込むという課題を出された。そのときオレが選んだのはロバート・アルドリッチの『特攻大作戦』だった。それを宇宙舞台で翻案したら面白いんじゃないかと思ったんだ。

担当の教授には「いいね。でも、どうやって形にするんだい?」と言われたのを覚えている。確かにコンセプトとしては野心的すぎるし、学生が実現するには壮大すぎるアイデアだった。でも、手ごたえは感じた。オレなら、こういう作品も作れるし、実際に実現できるはずだって。

『REBEL MOON』

――『スター・ウォーズ』の影響が大きい作品ですが、もっとも感銘を受けたのはどの部分ですか?

ザック 野心的な作風とビジョンだね。それは神話性の強い題材を映画へと昇華させる上で欠かせない要素だとオレは思っている。

『スター・ウォーズ』や『ロード・オブ・ザ・リング』という神話性にあふれた作品がどうやって映画に落とし込まれるのか、その手腕にオレはいつも刺激を受けてきた。自分だけの神話を作り出すというアイデアがある一方で、先達が生み出した壮大な物語がある。このふたつがあったからこそオレは『REBEL MOON』の世界を生み出し、構築できたんだと思っている。

『REBEL MOON』

――『スター・ウォーズ』を創造したジョージ・ルーカスは黒澤明から多大な影響を受けています。あなたは本作を、その『スター・ウォーズ』と黒澤の影響を受けて作ったというのは面白いと思うんですが。

ザック クリエーターとしてのオレの土台を作ってくれたのは『スター・ウォーズ』と、『七人の侍』や『蜘蛛巣城』といったクロサワ作品だから、それを融合させるのはオレの中で必然でもあるんだ。

で、壮大な哲学的な観点から言えば、『スター・ウォーズ』を解体している作品が『REBEL MOON』になると思う。オリジナルのソースに戻って解体しているという感覚がオレにはある。

今回、ストリーミングされるバージョンとは別にR指定バージョン(日本では配信未定)もあるんだけど、こっちはもっと解体が進んでいて、トーンもテーマもより大人向けになっている。ある意味、『スター・ウォーズ』じゃ絶対できないことをやっている『スター・ウォーズ』、といえるんじゃないかな。

もちろん、今回のバージョンは気に入っているし誇らしくも思っているけれど、R指定の方は商業的ニーズを一切無視して作った。マーケットなんてどうでもいい、自分の好きなように作ったイカレちゃった作品なんだ(笑)。

『REBEL MOON』

――それはぜひ、観たいですね! ところで、本編の売春宿のシーンは『スター・ウォーズ』のカンティーナ(酒場)のシークェンスっぽかったですが、もしかしてそのシーンが好き?

ザック そうそう。オレは『スター・ウォーズ』のカンティーナシーンが好きで本作にも入れたんだけれど、オレの場合はそれがバーじゃなく売春宿になる(笑)。ルークだってカンティーナに行ったとき、誰かを見て「コイツと寝てみたい」なんて思ったはずなんだよ。もしかしたら、そういうことに気づいて「ルーク、大丈夫か!?」なんて思った人だっていたかもしれないだろ?(笑)

つまり、そういう絶対に本家本元ではできないことを、R指定の『REBEL MOON』ではやっているということだ。

『REBEL MOON』撮影中のザック・スナイダー

――あなたはDCコミックでずっとヒーローを描いてきました。その経験が本作で活かされた部分はありますか? 反対にDCでは断念していたけれど本作ではできた部分は?

ザック DCではできないことが今回はできたのは確かだよ。当然だけれどDCにはカノン(正史)があって、そこから離れることはできない。でも、今回はできるから、ヒロインのコラは暗くてちょっと気難しいキャラクターにしたかった。「こんなこともやんなきゃダメ?」という感じを出しているつもりだ。そういうのは絶対DCではできないから。

コラのそういう性格は『パート2』でより鮮明になるし、R指定バージョンだと際立っている。オレがコラというキャラクターをギリギリまで追い詰めているからだ。

2023年12月にプロモーションで来日した『REBEL MOON』一行。左から、エド・スクレイン、ペ・ドゥナ、ソフィア・ブテラ、プロデューサーのデボラ・スナイダー、ザック・スナイダー、ゲスト登壇したINIの池﨑理人

――監督としてストリーミングと劇場映画の違いについてどういうふうに考えていますか。

ザック オレは配信と劇場映画は共存できると考えている。どちらかがなくなるなんてことはないよ、たぶん。オレの場合は、Netflixとオレが信頼し合って作っているんだ。『REBEL MOON』は劇場用には作ってないが、米国では70ミリバージョンがあって、それは劇場で公開される。そのバージョンで楽しいのは、よりレトロ感が出ているところかな。

とにかく『パート2』を楽しみにしてほしい。劇場映画のように1年、2年待たなきゃいけないということはなくて、来年(2024年)の4月に配信予定だから。その頃にはみなさんにキャラクターを理解してもらっていて、より受け入れられるんじゃないかと思っているよ!

取材・文:渡辺麻紀

Netflix映画
『REBEL MOON:パート1 炎の子』配信中
『REBEL MOON:パート2 傷跡を刻む者』2024年4月19日(金) 世界独占配信

公式サイト:
https://www.netflix.com/title/81464239