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本格ミステリーをダンスで成立させる梅棒の意欲作

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梅棒 17th Mystery『花婿は迷探偵 -THE FINAL-』 (撮影:飯野高拓)

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ダンスエンターテインメント集団「梅棒」の新作が、12月22日(金)、東京・本多劇場で開幕。年をまたぎ、大阪、愛知でも上演される。本作は梅棒 17th Mystery『花婿は迷探偵-THE FINAL-』と題した、梅棒初となるミステリー。そこで初日前に行われた、公開リハーサルの模様をレポートする。

難事件を解決した見返りとして、話題の秘宝を手に入れた“迷”探偵。すっかり有名人となった彼のもと、恋愛リアリティショーへの出演オファーが舞い込む。撮影場所は雪深い山荘。迷探偵(とその秘宝)を求め、数人の花嫁候補たちの意地とプライドがぶつかり合う。だがそんな中、思いもよらない恐ろしい事件が起きてしまい……。

パワフルなダンスはもちろんのこと、壮大かつ深みのあるストーリー性も高く評価された前作『曇天ガエシ』。本作ではそのストーリー性にさらなる磨きをかけ、本格ミステリーとして十分満足し得る作品へと仕上げている。とはいえ梅棒はダンスエンターテインメント集団。ほぼ台詞なしで展開するステージで、ミステリーならではの会話のやり取りや謎解きは、非常に相性が悪いと言える。だがメンバーそれぞれの表現力、さらに絶妙な音楽の使い方など、梅棒ならではの手法を駆使し、この難題を見事にクリアして見せた。

主軸はミステリーだが、それだけにとどまらないのが梅棒の底力。とあるアニメをモチーフに、笑いどころ満載のコメディとしての一面はもちろん、サスペンスにアクションなど、あらゆるエンターテインメント要素をギュッと盛り込んでいる。しかもそれぞれのキャラクターが非常に強烈かつ重層的で、味つけとしては少々濃いめながら、人間ドラマとしても見応えのあるものになっている。

今回は8人の梅棒メンバー、さらに4人のゲスト陣もすべて男性。パワーで押し切るようなダンスがひとつの魅力である梅棒だが、本作では圧倒的に女性役が多く、キャラクター作りや振りに、これまでにない柔らかさやかわいらしさが必要となってくる。それらを新たな魅力へと繋げ、しかもオールメールで実現しているという点に、集団としての表現の幅の広がり、そして個々の演技力の飛躍を感じさせた。

主役を務めるのは、メンバーの楢木和也。今回が初の主役ながら、まるでチャップリン時代のスラップスティックから抜け出してきたようなコメディアンぶりを発揮。もちろんトップレベルのダンススキルを誇るだけに、ソロダンスシーンは圧巻のひと言だ。さらに目を引いたのは、舞台『千と千尋の神隠し』のカオナシ役でも注目を集める、客演の山野光。その長身から繰り出されるパワフルかつキレのあるダンスは、巧者だらけの梅棒公演の中でも群を抜いていた。また梅棒ファンとしては、とあるシーンの梅澤裕介のクドさにたまらないものを感じるはずだ。

取材・文:野上瑠美子
撮影:飯野高拓

【公演情報】
梅棒 17th Mystery『花婿は迷探偵 -THE FINAL-』

公演日程:2023年12月22日(金)~12月31日(日)
会場:本多劇場

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/hanamukohameitantei/

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