高城れに、三浦直之(ロロ)作『最高の家出』で単独初主演「遊園地みたいな作品だったね」と思ってもらえるように」
ステージ
インタビュー
高城れに (撮影:荒川潤)
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すべて見る劇団「ロロ」を主宰する三浦直之が、パルコ・プロデュースに初登場。ももいろクローバーZの高城れにを主演に迎え、新作『最高の家出』を上演する。高城が演じるのは、結婚生活に疑問を抱き、夫のもとから家出する女性・立花箒。そこで現在執筆中の三浦と、初の単独主演に挑む高城に、現在の胸の内を語り合ってもらった。
最後にふさわしい、ハッピーな笑顔を見せてくれるはず
――高城れにさんを主演に迎えた書き下ろしとなります。創作の経緯を教えてください。
三浦 もともとは高城さん演じる主人公の“箒”が、現実から虚構に家出する物語を書こう、と思ったのが始まりです。現実の生活に疲れた箒が、家出した先で物語という虚構に出会い、それによって変化し、また違うどこかへと帰って行く。あと今回初めてパルコ・プロデュースのオリジナル作品をやらせてもらうということで、これまで10年以上自分が作ってきた演劇に対する想い、みたいなものも一緒に乗せられたらなと思いながら書き進めているところです。
――高城れにさんを主演に迎えた書き下ろしとなります。創作の経緯を教えてください。
高城 すごく面白かったです! 私自身、箒ちゃんと真逆なところもありますし、一方で同じようなところもある。なんで私の幼少期に抱いていた気持ちを、三浦さんは知っているんだろう? と驚いたくらい(笑)。読み進めていくうちに、箒ちゃんのことがどんどん好きになっていきました。内容的にはファンタジーな部分もありつつ、一つひとつのワードはどれも生活に近しいものばかり。きっと観に来てくださる方にとっても、身近に感じられるような作品になるんじゃないかな、とすごくワクワクしています。
――箒は高城さんへの当て書きになるのでしょうか?
三浦 書き始めた段階では、まだキャスティングは決まっていなかったんです。だから高城さんにやっていただけることが決まり、そこから「高城さんならどんなふうにこの台詞を言うんだろう?」と想像しながらリライトしていった感じです。
――ちなみに“箒”という名前が非常にユニークですが、そこに込めた想いとは?
高城 あっ、聞きたい!
三浦 実は特に意味はないんですよ。「箒」って口にした時の響きが好きだったっていうのが一番の理由で。ただ『魔女の宅急便』のキキが、箒に乗って生まれ故郷を出て行きますよね? そのイメージはなんとなくあったのかもしれません。
――その箒を高城さんに演じてもらうからこそ、期待していることとは?
三浦 自分のそれまでの生活に疑問を持って家出した主人公が、最終的にどんなふうに笑えるか、みたいなことを考えながら作っている作品です。高城さんって笑っていたり、楽しそうにしている姿が、周りを幸福感に包んでいくような人だなと思っていて。そんな高城さんなら、きっと最後にふさわしい、めちゃめちゃハッピーな笑顔を舞台上で見せてくれるんじゃないか。そこをすごく楽しみにしています。
家出は子供がするもの、そのイメージをこの作品で変えたい
――近年はショーアップされた舞台への出演が多かったですが、今回のような会話劇ならではの面白さをどんなところに感じていますか?
高城 やっぱり歌や踊りがない分、目の前の会話に集中して見る、一つひとつのワードに重みがあるっていうのが会話劇だと思うんです。それってつまり、演じる側にとってはプレッシャーでもあるんですが……(苦笑)。その会話が伝わらなければ、なにも伝わらなくなってしまいますから。だからこそ台詞の一つひとつにどんな意味を持たせ、発信出来るのか。今回それが、自分にとっての大きな課題だなと思っています。
――執筆していく中で、その会話や登場人物のやり取りとして心がけているのはどんなことですか?
三浦 箒と、箒が家出先で出会う女性の“アハハ”。このふたりの関係が魅力的に見えるといいなってことは、ひとつ心がけていることです。箒が周りの人に振り回される、その姿が楽しく見えるってことが大事な作品なので、箒はもちろん、箒を振り回す側の人たちも魅力的に見せたいなと。そこは非常に意識して書いているところですね。
――高城さんにとっては、本作が初の舞台単独主演となります。
高城 ももいろクローバーZとしてはもちろん、高城れにとしてお芝居に触れたい、とはずっと思っていました。だからすごく嬉しいですし、自信があるとは言い切れませんが、精一杯頑張りたいなって気持ちはとても強くて。昨年はグループが15周年、自分が30歳を迎える節目の年だったので、そこを経て挑戦するこの舞台で、またひと皮剥けたらいいなと。自分の人生においてこの作品が、宝物のような経験になるんじゃないかと思っています。
――この作品を通して、お客様にどんなものをお届け出来たらいいなと思いますか?
高城 自分の居場所ってどこだろう? とか、本当の自分ってなんだろう? と思うことが、私自身今までたくさんありました。きっと多くの方も考えることだと思うので、そんな時にふとこの作品を思い出してもらえたらいいなと。そして観終わったあと、「遊園地みたいな作品だったね」って思ってもらえるような、そんな作品になったら嬉しいです。
三浦 僕も“遊園地”ってすごくいい言葉だなと思ったので、まずはそこを目指して作っていきたいと思いました。あと“家出”って言うと、子供がやること、みたいなイメージが強いと思うんですけど、僕はそのイメージが変わるといいなと思っていて。30歳になっても、40歳になっても、50歳になっても、何歳になったって家出していい。ここじゃない場所に逃げていいってことを、観に来てくれた人が思えるような作品になるといいなと思います。
取材・文:野上瑠美子 撮影(高城れに):荒川潤
ヘアメイク:竹内美紀代(KIND) スタイリスト:寄森久美子(WONDER STYLE)
<公演情報>
パルコ・プロデュース2024
『最高の家出』
作・演出:三浦直之(ロロ)
出演:高城れに(ももいろクローバーZ)
祷キララ / 東島京
板橋駿谷 / 亀島一徳 / 篠崎大悟 / 島田桃子 / 重岡漠
尾上寛之
【東京公演】
2024年2月4日(日)~24日(土)
会場:紀伊國屋ホール
【高知公演】
2024年3月6日(水)
会場:高知県立県民文化ホール オレンジホール
【大阪公演】
2024年3月9日(土)
会場:森ノ宮ピロティホール
【香川公演】
2024年3月14日(木)
会場:レクザムホール(香川県県民ホール) 小ホール
【宮城公演】
2024年3月20日(水・祝)
会場:電力ホール
【北九州公演】
2024年3月23日(土)
会場:J:COM北九州芸術劇場 中劇場
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/iede/
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