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市川染五郎、1月の歌舞伎座『息子』での祖父、父と3人芝居に喜び

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歌舞伎界の新世代を担う存在として注目を集める市川染五郎。2023年も1月の歌舞伎座から12月の南座まで毎月のように役をつとめ上げたが、2024年も忙しい日々が続きそうだ。1月の歌舞伎座での「壽 初春大歌舞伎」では、『狐狸狐狸ばなし』、『鶴亀』、そして祖父・松本白鸚、父・幸四郎との3人芝居による『息子』に出演する。

『狐狸狐狸ばなし』は人々の愛と欲望が交錯する騙し合いを描いたコメディ。染五郎が演じるのは、主人公の伊之助(幸四郎)の雇人でちょっと頭が弱そうに見えて、実は騙す側にいるという役どころ。既に何度か稽古をつけてもらったそうだが、幸四郎から特に指摘されたのは、又市のふたつの顔の見せ方。
「正気に戻っている部分とのギャップをしっかり見せること。それから『アホのフリをしている芝居ではなく、お客さまも騙すつもりで、正気に戻るところで初めてそうではないとわかるように演じればいい』と言われました」

『狐狸狐狸ばなし』特別ビジュアル
『狐狸狐狸ばなし』特別ビジュアル

これまで演じたことのないタイプの役で「難しい」と語りつつ「去年から今年にかけて、たくさんの舞台に立たせていただいて、一つひとつ全く違う色の役をやらせていただいているので、こうやってまた新境地というか、経験したことのない役柄をやらせていただけるのが嬉しいです」と充実した表情を見せる。

『息子』はお尋ね者となって大坂から逃げてきた若い男(幸四郎)と火の番の老爺(白鸚)の会話を中心に展開。互いの身の上を語る中で、実はふたりが親子であることがわかってくるという人間ドラマで、染五郎はお尋ね者の金次郎を探す捕吏を演じる。

祖父、父との競演について染五郎は「3人だけの作品というのは踊りならありますけど、こういうセリフ劇ではなかなかないので、それを祖父と父とやらせていただけるというのは嬉しいですね」と語る。

こちらも既に稽古が始まっているが(12月下旬取材時)、「日常会話を自然に、本当に日常で会話しているようなラフな感じで、生活感みたいなものを見せられたらと言われています。何度も繰り返し稽古をして、意識しなくても言えるくらいのところまでやっていかないと生活感というのは出せないと思っていて、時代物のセリフともまた違って、普段から喋っている感じ、普通の会話がすごく難しかったりします」とも。

物語についても「金次郎が、いつ火の番が自分の父親であると気づくのかという部分もいろんな解釈があるみたいで、実は最後までわからないという解釈もあるそうです。父がどう演じるのかわかりませんが、(白鸚と幸四郎が)実際の親子という部分をお客さまが重ねて見るというのもこの作品の楽しみ方かなと思っています」と見どころを明かしてくれた。

2023年はさまざまな役を演じた1年となったが、最も印象に残った作品、役柄を尋ねると第39回俳優祭(国立劇場)での『菅原伝授手習鑑』の吉田社頭車引の場における松王丸の役を挙げた。

「お客さまにとってもそうだと思いますが、高麗屋というと『勧進帳』の弁慶、や『菅原伝授手習鑑』の松王丸、『伽羅先代萩』の仁木弾正など、スケールの大きな立役のイメージがあるので、THE 高麗屋と言える役をやらせていただけたのがすごく嬉しかったです。祖父に役を教わることも最近はなかなかなかったのですが、松王丸は祖父に見てもらって、声の出し方から決まりの形、小道具の扱い方というところから教わりました。やはり僕は、役者として目標というか、そこに行き着きたいと思っている存在が祖父なので、直接、教わることができて嬉しかったですし、早いうちから祖父にいろんなことを教わっておきたいと改めて思いました」

2024年は1月の歌舞伎座に始まり、2月には博多座、そして4月には四国こんぴら歌舞伎(旧金毘羅大芝居)に出演することが発表されている。
「2月の博多座では江戸川乱歩の『人間豹』という小説を祖父と父で歌舞伎化した作品を再演します。ずっと憧れてきた作品で『いつかは……』と思っていたので、こんなに早く叶って嬉しいです。既に打ち合わせを重ねて、自分もアイディアを出させていただいていて、前回から変わる部分もありますし、進化させた作品にしたいと思っています」

取材・文:黒豆直樹

<公演情報>
歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」

【昼の部】11:00~
一、 當辰歳歌舞伎賑 五人三番叟 英獅子
二、 赤穂義士外伝の内 荒川十太夫
三、 江戸みやげ 狐狸狐狸ばなし

【夜の部】16:00~
一、 鶴亀
二、 寿曽我対面
三、 息子
四、 京鹿子娘道成寺 鐘供養の場

2024年1月2日(水)~27日(土)
※休演9日(火)、18日(木)
会場:東京・歌舞伎座

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2347960

公式サイト:
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/851

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