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加藤雅也×牧瀬里穂が『まんぷく』の拠り所に? 朝ドラにおける“喫茶店”の役割

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 「もはや戦後ではない」。そんな言葉が世に出てきた後の日本では、人々の暮らしが目まぐるしく変わっていた。『まんぷく』(NHK総合)の世界もまたそれにあわせて、実に様々な変化を遂げていた。

 例えば、萬平(長谷川博己)は信用組合の理事長職に就いた一方、福子(安藤サクラ)は喫茶店・パーラー白薔薇でウェイトレスの仕事を始めるようになった。しのぶ(牧瀬里穂)とアキラ(加藤雅也)というかなり個性的な2人によるパーラーの存在は、『まんぷく』の世界をより一層明るくしてくれる。アキラはかつて俳優志望だったものの、オーディションで審査員に認められず、しのぶ曰く、“俳優諦めた田舎の美少年のなれの果て”なのだとか。オーダー確認の際には、「You are coffee, OK!」のような独特の英語を使う。一方、しのぶは一時宝塚の道に進んだものの、あまり成功を収めることができなかった過去を持っている。

 コテコテの関西弁を話す2人のやり取りは、夫婦漫才さながら。観ているだけで朝からほっこりとした気持ちになる。ただ、2人の役割は単に和やかな雰囲気を届けるだけではなく、きっと福子たちを“見守る”という重要な役割を担っていくに違いない。喫茶店、あるいは今回のようなパーラーといった、不特定多数の人間が出入りする場は、しばしば物語の中でみんなを“見守る”役割を果たすもの。

 例えば、前作『半分、青い。』では何度も喫茶店の「ともしび」や「おもかげ」でのシーンが描かれた。そこでは、登場人物たちが和気あいあいと盛り上がることもあれば、何か大切なことを話し合うこともあった。そんな時、ふせえり演じる「ともしび」のママや、東根作寿英演じる「おもかげ」のマスターがキッチンの片隅でヒロインたちを気にかけてくれていることがよくあったものだ。

 しのぶとアキラも恐らく、『まんぷく』の人々を「白薔薇」という交流の場を通して、見守っていくことだろう。今週だけでもすでに、「白薔薇」には様々な『まんぷく』メンバーが足を運んだ。例えば、世良(桐谷健太)はライスカレーを食べ(やたらとその味を絶賛)、鈴(松坂慶子)と克子(松下奈緒)もデザートを食べにやってきた。福子がウェイトレスとして働くことに関して、鈴はあまり良く思っていなかったようだが、「白薔薇」の今後の作中での役割に注目したい。

 また、池田での生活の変化として、福子と萬平の子どもの成長がある。いつも仲良しの源(二宮輝生)と幸(三宅希空)。鈴を偽物のムカデでびっくりさせたりして、ずいぶんと賑やかな立花家である。萬平譲りの創造力なのか、源は黒豆に糸を通してムカデを作っており、思わず萬平も感心する。また、ある時には鈴が源と幸の書道を見てあげることもあれば、みかんにまつわる雑学を鈴が披露するシーンがあったり、家庭内の交流の一つ一つはどれも微笑ましいものばかりである。

 きっとそんな子どもたちのことも念頭にあるのだろう。信用組合の理事長になったものの、織田島製作所での万能調理器の製作に深く関わってしまう萬平。子どもたちに発明家としての自分を見せたいという萬平の気持ちがうかがえるシーンがあった。確かに家と土地を担保にして資金を捻出するのはあまりにも大きな決断である(当然、鈴さんは猛反発)。だが、福子の中にも、本当に好きなことを萬平にはさせてあげたいという思いがあるようだ。今後、ダネイホンに続く商品を再び世に送り出すことができるのだろうか?(國重駿平)