「2023年12月のお笑い」ウエストランド井口のM-1塾開講
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ウエストランド井口と作家飯塚の「今月のお笑い」。
ウエストランド井口と構成作家・飯塚大悟が毎月のお笑い界の出来事を勝手に振り返る連載「今月のお笑い」。12月は前年同様、「ライブ!!今月のお笑い」と題したイベントを開催し、公開取材パートで「M-1グランプリ2023」についてたっぷりと分析したほか、ゲストのヨネダ2000、ラブレターズとのトークも大いに盛り上がった。
今回の記事はイベントで語られた内容を中心に構成。加えて、イベントでは話しきれなかった「12月のお笑い」を飯塚に寄稿してもらった。常々「分析しているのは令和ロマンくるまだけじゃない!」と吠え、ついに「焚き火で語る。」(テレビ朝日のYouTubeチャンネル「動画、はじめてみました」より)への出演も果たした井口と、多数の担当番組を抱える飯塚の楽しいおしゃべり連載、2024年もどうぞよろしくお願いします。
構成 / 狩野有理 ヘッダーイラスト / 清野とおる
※取材は12月26日に公開イベントとして実施。
井口もいろいろ考えている
井口 令和ロマンが「M-1」優勝しましたけど、まず言っておきたいのは、くるまがいろいろ分析してるって話にお笑いファンは「あぁ~!」(ウエストランドの漫才に登場する「あ、あ、あぁ~!佐久間さ~ん!」の感じで)となりすぎ! 「シシガシラさんが上がってきたということは……」じゃないんだよ! そんなのみんな考えてるから! 口に出すかどうかだけ! なんで僕が2022年の「M-1」であんなに強く伝えたのに、まだ「すごい」とか言ってるんですか? 僕だって分析してるってことを、今日は全部言います。だってチャンピオンなんだから。すごいときの。
──すごいときのチャンピオン。
井口 そうですよ! 「M-1」現地勢としても貴重な情報を言っていきます。飯塚さんは「M-1」どうでした?
飯塚 テレビで7時間半ずっと観てた。ざっくりと全体の感想を言うのは難しいんだけど、5、6年くらい前の「M-1」の雰囲気があった。点数も含めて、爆発待ちをしている時間が長かったと感じた視聴者も多かったと思う。
井口 僕は敗者復活をAブロックまで観てから屋上での漫才のスタンバイをしていたので、誰が上がったかはリアルタイムでは知らなかったんですよ。そこから移動して、トップバッターの令和ロマンが始まる頃にスタジオに着きました。客席を見渡してみたら、いわゆる番組観覧よりも圧倒的に男の人が多かった。男性だから、女性だからということではないですけど、そのバランスが「M-1」独特のヒリつきを生むし、爆発したときに高い笑い声と低い笑い声がちょうど混ざり合って爆発感を生むんですよね。「M-1」がそれを狙ってやっているかはわからないですけど。そんな中、いきなり令和ロマンがめっちゃウケてたから、ここからどんどん盛り上がっていくんだろうなという空気は感じました。
飯塚 令和ロマンはいつも以上にツカミを丁寧にやっていて、全部お客さんに投げかけるようなスタイルだった。審査員を目がけてというよりは会場を巻き込もうとするネタを選んでいて、それが成功しているんだろうなと思うウケ方だった。
井口 「キングオブコント」とかに比べて、「M-1」が一番ウケと得点が比例している気がします。「キングオブコント」はウケても意外と点が低い、(2023年大会の)ジグザグジギーのときみたいながっかりパターンがあるじゃないですか(笑)。優勝しそうなウケ方だったのに!っていう。「M-1」は審査員のみなさんがウケに重きを置いている感じがします。
飯塚 コントは審査員それぞれの美学もあるからね。令和ロマンはお客さんウケ重視のトップバッターだった。
井口 一応みんなトップバッターになる心持ちではいるけど、笑神籤だからマジでわかんない。
飯塚 でも令和ロマンも優勝後に言っていたけど、4つネタを用意していて、一番だったらこのネタをやろうということまで考えていらしいね。だから、そこまで計算しているくるまさんがとにかくすごくて、あぁ~! くるまさ~ん!っていう……。
井口 いいんですよ、くるま信者は!(笑) 「速報!M-1ネクストデイ」(ABC)で審査員のしゃべっていることが拾われていましたけど、松本(人志)さんが「高え~」と言っていましたよね。
飯塚 自分が審査員だったら、横で松本さんが「高え~」と言ってたら「やべ!」って思っちゃいそう(笑)。
井口 「違った!」ってなりそうですよね(笑)。でもあれには、「これを基準にしてこの先もブレないように」という松本さんの思いがあったのかなと。当然、審査員は自由な点数を付けていいけど、「基準を忘れないようにしなきゃいけない」っていうのが松本さんの中にしっかりあるんだなと改めて感じた場面でした。
敗者復活戦の新システム
井口 敗者復活戦のシステムが変わったのはどうでした?
飯塚 敗者復活した人を応援する気持ちで決勝を観るシステムになっていたよね。敗者復活戦の会場もテレビの視聴者も「シシガシラがんばれ!」という気持ちになったと思う。決勝のお客さんもスマホとかで敗者復活戦見てた人もいたみたいだから、決勝で「敗者復活戦で見たあのネタじゃない」と思った人もいたのかも。
井口 あとからシシガシラさんの敗者復活ネタをYouTubeで見ましたけど、めちゃくちゃ面白くて。今回の新システムってどうしても各ブロックの最後のほうの組が有利ですけど、シシガシラさんが5組くらいぶち抜いているから「行けー!」という感情にもなりました。いつも「M-1」を一緒に観ている三四郎・小宮さんとかのメンバーも、シシガシラさんで大爆笑だったらしいです。前回は視聴者投票でオズワルドが復活して、決勝でも同じネタをやったんですよね。今回はシステムが変わってシシガシラさんが選ばれましたけど、変な話、シシガシラさんが例年のシステムで上がれたとは到底思えないじゃないですか(笑)。
──お茶の間の知名度を考えればその可能性もありそうです。
井口 でも、前のシステムも新システムも、どっちもありだと僕は思うんですよ。
飯塚 そうだね。どっちがいいとは言えないと思う。
井口 お笑いファンはすぐこれ(=視野が狭くなるジェスチャー)じゃないですか。
飯塚 「これ」で伝わるんだ(笑)。
井口 「このシステムこそが最高だ!」となっちゃいそうだけど、人気や知名度だって自分で積み上げてきたもの。しかも、忘れちゃいけないのは“敗者”ですから。一度は負けて、決勝に行けなかったんだから、それは過酷にやらなきゃいけないと思う。僕も敗者復活戦で下のほうの順位だったこともあるし、ランジャタイ、キュウ、ストレッチーズとか、ライブで人気の芸人がみんな下位を経験してるけど、それはそういうものだから。今までがよくなくて、今回のシステムが絶対にいいとは一概には言えないとは思いますね。夢(知名度が高くない芸人のチャンス)は広がっているかもしれないですけど。
飯塚 現地にいた人は現地の意見で決めている納得感があるかもしれないけど、視聴者にとっては審査に関わっていないから、入り込めなかった人もいたかもしれないよね。
決勝と準決勝、観客の違い
井口 全体的に言えるんですけど、「M-1」が好きでお笑いにめちゃくちゃ詳しいお客さんだからこそのネタバレでウケないこともあるじゃないですか。「またこれか」っていう。一方、ライトな層もいる中で「ご存知」の感じでやるとそれはそれでウケない。今回、現地で決勝を観ていてどちらも感じたんですよね。
飯塚 準決勝のお客さんは本当にお笑い好きの人たちだから、もうその芸人さんのキャラクターもわかっているんだけど、決勝の会場の空気は別だよね。お笑い好きじゃない観覧の人ももしかしたらいるのかもしれないし、あの審査員たちが同じ空間にいることで1回リセットされるところもあるのかもしれないし。
井口 好きで、よく知っているけど、あの舞台に立つとまた違って見えるというのもありそうです。
飯塚 あの豪華なセットの前で見ると小さく見えてしまう人もいる。あの空間に負けない人じゃないと勝てないと思う。
井口 前も言いましたけど、「ご存知、我々です」のしゃべり方とかボケをされてもこっちは知らないよって感じじゃないですか。「なんでそんなしゃべり方をするのか」をどれだけ早い段階で伝えるかが大事というか。それで言うと、マユリカは説明をないがしろにしていないし、「マユリカでござい!」という感じではなくて、会場でもちゃんとウケていた印象です。
飯塚 阪本さんが普段から舞台でやっている「走って登場」をおざなりにしないで、しっかり“ヤバい人”ですよっていうのを最初に見せていたのはよかった。
井口 マユリカは人気があるから、いつも通りキモく出てきたときに会場も知っている人が多そうな反応でした。キャッチコピーがよかったっていうのもあるかもしれませんけど。
──キャッチコピーは「ずっとキモダチ」でした。
飯塚 よかったのか悪かったのか(笑)。もっとキモいネタをやるんじゃないかと人によっては思っちゃうんじゃないかな?というのは少し気になったけど。
井口 ああー。それは確かに。でも「M-1」って、究極の客観視なんですよね。自分がどれだけ知られているかを考えないと。モグライダーくらい人気があればまたやり方を変えないといけないと思いますし。前回の僕らは、今思えばちょうどいい知名度だったと思うんですよ。当時すでに松本さんと共演させてもらっていたし、お笑い番組をよく観ている人だったら僕のキャラは知ってるけどネタはよくわからない、くらいの感じだったと思うので。あとマユリカは平場も面白かったですね。
飯塚 平場完璧だったね。あれはかなりいいPRになったと思う。
ヤーレンズを見て「やり続けることが大事」
井口 僕は客席から松本さんがどんな反応するかをずっと見ていたんですよ。コメントもしていましたけど、シシガシラさんのツカミでめちゃくちゃ笑ってました。あの「堪んないよ」の顔をされていて。ファーストラウンドでは、僕が見ていた限りなので定かではないですけど、ヤーレンズで一番笑っていた気がします。ヤーレンズと僕らはずっと一緒のライブに出ていたし、2位に入ったときは「うおー!」となりましたけど、あと4組いると考えると落ちちゃう可能性もあるなと思っていて。というのも、ここまでみんなウケてはいましたけど“大爆発”みたいな笑いはまだ起きていない感じだったので。ヤーレンズは本当にちょっとしたことですけど、衣装を変えたり髪型を変えたりしたことでハマりだしましたよね。
飯塚 以前は落ち着いた色のスーツにアスコットタイをしていたり、髪型もおしゃれ漫才師っぽかったけど、今は楢原さんのウザいおじさん感が出てるのがすごくいい。
井口 楢原さんが急に丈の短いスーツにして、ここに来てのベッカムヘア(笑)。トム・ブラウンとかもそうで、もともと面白かったけど布川さんがロン毛にしてから一気にハマりましたよね。
飯塚 それも、最初からやると「キャラ狙ってる」になっちゃうんだよね。いろいろなことを経て、経て、あれにたどり着いているのがいいんだろうな。
井口 思い切りはしましたよね。楢原さんが突然ベッカムヘアで劇場に来たときは、みんな「何してんだよ!」と言うわけですよ。それでも、やってよかった。衣装にしても、ライブだとちょっと派手すぎるかもしれませんけど、あの決勝の舞台で見ると全然そんなことなくて。むしろあれくらいじゃないと。
飯塚 あのキャラクターが「ウザい」とか「腹立つ」となった瞬間に審査員の芸人さんたちにもハマっていく感じだよね。キャッチコピー(「ノンストップ・ウザ」)通りのキャラ。
井口 僕らが初めて2020年に決勝に行って、翌年モグライダー、ランジャタイが行って、この世代の漫才師で1組だけずっと決勝に行けなくて、いつ腐ったり投げ出してもおかしくない中、ずっとライブに出続けた。結局、やることが大事なんだよなと思いますね。ときどきライブに出てチェキ売りさばいてるような奴じゃダメ! やってる人にしか結果は出ないから。
飯塚 チェキを売りさばいてる人への憎悪がすごいね(笑)。
「M-1」で自虐ネタは難しい
飯塚 ヤーレンズもそうだし、令和ロマンも井口くんの仲間ってことになるの?
井口 全員そうですよ。さや香とカベポスターは去年しのぎを削った仲間だし、マユリカは「チャンスの時間」で会ったことあるから、ほとんどもう仲間。実は、シシガシラさんも仲間ですからね。これは本当にどこにも言ってないんですけど、シシガシラのあの人いるじゃないですか。あのー、脇田さんじゃないほう。
飯塚 仲間なのに名前が出てこない(笑)。
──浜中さんです。
井口 浜中さん、僕と大学の同じ学部の同じ学科で、同い年の同級生なんですよ。だから、シシガシラさんが優勝したらそれ言おうと思ってて。
──大学時代にしゃべったことはあったんですか?
井口 まあまあまあ……。あったかもしれないです。遡って確認はできないですから。シシガシラさんの決勝ネタを見て思ったのは、「M-1」って自虐が難しいんですよね。僕らも2020年の決勝は自虐要素でやってダメだったし、2018年のギャロップさんもあんまり点数伸びずでしたし。
飯塚 ギャロップはその年の準決勝で「優勝するかもしれない」ってくらいウケてた。さっきの客観視の話に通ずるけど、準決勝と決勝ではまた違うんだよね。
井口 お笑いが本当に好きな人からすれば、脇田さんがいくらひどいこと言われようが、井口が悲惨だろうが、なんにも思わないんでしょうけど。知らない人が見ると「かわいそう」に映っちゃうのかもしれない。
飯塚 決勝で披露したのは、数年前からできていたシシガシラの代表作的なネタだと思うけど、扱ってるテーマ的に、披露する空間だったり時代の流れに左右されやすいのかなと思ったりもした。あのネタ大好きなだけに、難しいって改めて思った。
ウエストランドの優勝ネタはとっても秀逸
井口 決勝って緊張感もあるから、お客さんが聞き逃しちゃう可能性があるんですよね。で、聞き逃すと、そこでついていけなくなっちゃう。そういう意味ではウエストランドの「あるなしクイズ」は実はすごくいい構成。どこから聞いても笑えるので、秀逸な作りなんですよ。
飯塚 あはははは(笑)。確かにね。でも、1本でつながっている作品性の高いネタがウケる年もあるし、令和ロマンみたいにお客さんにどんどん投げかけていくのがウケる年もあるし、どういうネタがいいかは本当に当日になってみないとわからない。
──「#M1グランプリ」を追いながら決勝を観ていたんですが、「歌ネタ」を歓迎していない投稿が多くありました。「M-1」で歌ネタは不利なのでしょうか?
飯塚 おいでやすこがが歌ネタをやったらそんな反応は少ないと思うんですよ。これもさっきの話と同じで、どういうコンビなのか、お笑い好きからは知られていてもライトな層からしたらまだよくわからないコンビがいきなり歌ネタをやる、となると「ああ、掛け合いの漫才じゃないのか」と身構えてしまうのかもしれません。例えば、ロバート秋山さんがカラオケ音源を自分の口で歌ったら、もともとそういうことをしそうなイメージもあるし違和感なく受け入れられると思う。そこが準決勝でウケたネタが決勝では違う反応になってしまうという難しい部分なのかなと思います。
井口 そう考えると2022年は……。
飯塚 2022年って誰が優勝したんだっけ?
井口 井口率いるウエストランドが優勝したんですけど(笑)、僕ら最初のほう、全然掴めていないんですよ。最初のあるなしはゼロ笑い。でも、そのあとの「警察に捕まり始めている」のくだりが絶対ウケると思っていたから気持ち的には大丈夫でした。絶対にどんなときでもウケる部分が前半1分半くらいにある、という状態にしておかないと、掴み損ねたときにスルスルスルとそのまま最後までいっちゃう。どこでも絶対にウケるボケを前半に、できれば自然な形で入れておくことで、自分の気持ちも保たれるしウケたら一気にウケると思うから、「M-1」を戦ううえではめちゃくちゃ大事な要素だと思いますね。
飯塚 なんか、すごいタメになる話してるね。井口くん、「M-1」塾開けば?(笑)
“勝ち確”のサイン
飯塚 さや香の採点のときに松本さんが「令和ロマンと比べて点数を付けた」と言っていて、そこで1回会場が冷静になった感じがあったよね。「確かに令和ロマン面白かったな」と思い出す瞬間になった。
井口 「M-1」はその場を掌握した人が勝つじゃないですか。2022年の決勝を観返したときに、最後のほうでロングコートダディの堂前さんが「人前でこんなに悪口言う人初めて見ました」と言っていて、僕の話になっていたんですよ。その段階で“勝ち確”というか。みんなが「井口って奴はなんなんだ」という話をしてしまっている。今回はちょこちょこ令和ロマンの話題になってたんですよね。(司会の)今田耕司さんの「令和ロマンとは全然ちゃうな」とか。
飯塚 トップバッターの令和ロマンのことを最後まで忘れなかったよね。2本目のネタは以前見たことがあったんだけど、最後に吉本興業のくだりを足していたんだよ。あれがめっちゃよかったし、ウエストランドイズムを感じた。今まで架空の話だったのが、急に現実になって、吉本の審査員や今田さんも反応せざるを得なくなる。ウエストランドが優勝したときに爆笑問題・太田さんが言っていた「みんなを巻き込んじゃった」感じに近いなと思った。
井口 「M-1」もタレント審査的な部分もあるんじゃないかと思っていて。僕らが「レッドカーペット」(フジテレビ)でレッドカーペット賞を獲ったときって、若干ズルですけど審査員に話しかけたりしてこっちに巻き込んでいたんですよ。そこからなんとなく積み重ねてきた考え方というか、技というか、そういうものが「M-1」にも出てたのかなとは思います。真空ジェシカも面白かったですし、松本さんも高得点を付けていて、落ちたときに「脱落か~」と残念そうに言ってましたね。
飯塚 真空ジェシカのすごいところは、ああいう芸風でバラエティに出ると、普通はキャラクターを剥がされるじゃん。「こいつ、本当は真面目なんです」とか。それを全部突っぱねて、全部ボケで漫才のキャラのまま「ラヴィット!」(TBS系)とかも出てる。ただ、審査員が「もっと奇抜なことを期待した」と言っていたけど、そのすごさゆえにキャラが浸透しすぎていてハードルが上がっていたのかもなと思った。
井口 3年連続決勝って、本当にすごいですからね。僕はよく「返り咲くのがとくにかくすごいんだ」(ウエストランドは2020年決勝、2021年準々決勝敗退、2022年優勝の返り咲き)と言っていますけど、返り咲くよりも3年連続はすごいと思う。しかも3回ともウケているのは相当すごいし、今回は特にアジャストもしてきて。「映画泥棒」のくだりは拍手笑いが来てました。
くらげ、井口の言葉に刺さる
井口 くらげが、審査結果が出たときに「もう終わりですか……」と言っていたじゃないですか。あの気持ち、僕は痛いほどわかります。僕らは2020年の決勝で10番目に出ていって、暫定席に一度も座れずにその瞬間「M-1」が終わった。笑神籤が引かれてネタやって4分、審査も含めて6、7分でこの舞台から去らなきゃいけない、ここにもう立てないんだと思うと本当にキツかったですから。過去にあんまり見たことないと思いますけど、今回、決勝の生放送が終わってからファイナリストのみんなのところにズカズカ入って行ったんですよ。
飯塚 あんまり見ないね。前回のチャンピオンが決勝終わったばかりのファイナリストに突撃するの(笑)。
井口 「ネクストデイ」の続編(TVerのみで配信)では僕とともしげさんが楽屋で話しているところが使われていましたけど、僕、袖のほうにも行ったんですよ。終わってホカホカのところに。
飯塚 え、あの松本さんとかがファイナリストに声をかけていたところ?
井口 そうです、そうです。さすがに松本さんや審査員の方がはけたあとに行きましたけど。令和ロマンには「新世代感出すなよ」と言っときました。「同世代の仲間だよな?」って。あと、ヤーレンズは「ごめんな、繋げなかった」ということを言ってましたね。僕ら世代の活躍を繋ぎたかったっていう思いには熱い気持ちにもなりました。そこから楽屋に行って、さや香・新山はあのネタ(2本目)がやりたかったと話していて、「来年も出るんでしょ」みたいな会話をしました。カメラが回ってたからもう1回令和ロマンのところに行って、「みなさんあんまり知らないかもしれないですけど、K-PROライブでずっと一緒に戦ってきた仲間です。仲間が連続で優勝してます」って一応映像には残しときました。
飯塚 あははは(笑)。マヂカルラブリー、錦鯉、令和ロマンって、ずっと井口くんの仲間が優勝してるってことだよね?
井口 そうなんですよ。まだバトンは繋がっているな、と(笑)。真空ジェシカもいて、キャラもあるからあんまり言うもんじゃないかもしれませんけど、川北が「どうでした? 井口さん。今日観てて」って聞いてきたんですよ。負けるって本当にしんどいことですけど、あいつは終わった直後に意見を求めてきて。「また行くぞ」という感じで、誰よりもクッと次に向かっているなと思いました。くらげは、「僕らもマヂラブさんも最下位から優勝したんだから」「ここからテレビも増えて、大丈夫でしょ」と声をかけたら「マジで刺さります……」ってすごい刺さってたんで、怖くなって逃げました(笑)。くらげが刺すことはあっても刺さるとは思ってなかったんで。くらげが痺れてたのは怖かったです。
飯塚 オチみたいになった(笑)。
「検索ちゃん」いい話、ない
──「爆笑問題の検索ちゃん 芸人ちゃんネタ祭りスペシャル」(テレビ朝日)にウエストランドが出演しました。ずっと前説をやってきた番組に、爆笑問題と共に名を連ねた感慨をぜひお伺いしたいです。
飯塚 エモい話はないの?
井口 ないです(キッパリ)。もちろん出させてもらってありがたいんですけど、僕としては「なんで前回呼んでくれなかったんだ?」っていうのがあるので。トム・ブラウンとかは出てるのに。前回の収録が、僕らの「M-1」決勝が決まったあとで、オンエアは決勝後だったんですよ。だから、ざまあみろと思いました(笑)。呼ばれなかった悔しさがあったので、今回は思いっきりやってやろうとは思いましたけど。みなさんがエモいとか思うのは自由ですけど、僕に対して「よかったね」とかは言わないでもらいたいです!
──失礼しました(笑)。
飯塚の「今月のお笑い」付け足し
THE W
紅しょうがが5度目の決勝で優勝しました。今年は1本目も2本目もコントでしたが、毎年出て、そのたびに何か新しさを求められちゃうのってツラいだろうなって思います。そういう意味でも2本ともコントで攻めたのは作戦勝ちな気がしましたし、熊プロさんだけでなく、稲田さんの面白さを出そうとしていて、そこもよかったんじゃないかなと思います。
エルフは1本目のコントがすごく話題になりました。ギャルをネタにしたコントというより、「登場人物がギャルであるほうが面白くなるコント」という気がして、ネタの世界がすごく広がったと思います。正式なタイトルが「居場所」っていうのもいいですよね。
あとスパイクがパワーアップしているんじゃないかと感じました。後輩の三戸キャップ。さんにツッコミのやり方を指摘されて、ムカついたけど今までのスタイルを変えたと言ってました。今までは空に向かって張り上げるようにツッコむようなスタイルだったけど、今年はコントの登場人物として、お芝居の中でツッコむスタイルになった気がします。
あぁ~しらきさんのネタも話題になりましたが、あのネタはライブにかけてなくて、「THE W」準決勝で初めて下ろしたそうです。あのネタを叩いて叩いて、磨いてきていたら、なんか嫌な気もするので安心しました。ランジャタイ国崎さんからもアドバイスをもらっていたみたいで、なるべく完成度を上げないように言われてたらしいです。
和牛の解散
和牛が2024年3月での解散を発表しましたね。近しい芸人さんたちもほとんど知らされてなかったみたいで、衝撃が走ってました。これも前回も言ったように「本当のことは当事者しかわからない」に尽きるのですが、最初のリリースに「遅刻がきっかけ」と入っていたことで、それを題材にどっちが悪いか論争がSNSで巻き起こっていたのが切なかったです。中には「遅刻くらいでって言うけど、遅刻は相手の時間を奪うからよくない」みたいな、正論でぶん殴るようなインフルエンサーの方もいて、そういうのを目にするのも胸が痛いです。コンビの距離感って本当に難しいと思うので、このコンビは仲良いとか過剰に決めつけたり、それを求めすぎないほうがいいと思いますし、どっちが原因と決められるような単純な話ではないのかなって思います。
TVチャンピオン
令和に復活した「TVチャンピオン」(テレビ東京)が面白かったです。手先が器用選手権、段ボールアート王、和菓子職人も、ウチの6歳と4歳の子供たちも夢中になって観ていたし、コンテンツとしてまだまだ強いなって思いました。「今月のお笑い」的に注目したいのはリポーター。かつては中村ゆうじさんをはじめ、デビット伊東さんや、彦摩呂さん、山崎まさやさんなど独特な人選だったけど、令和版ではアルピー酒井さん、チャンス大城さんが選ばれていて、これまた絶妙だなって思いました。
スベリ-1グランプリ
いろんな賞レースがあった12月ですが、「水曜日のダウンタウン」(TBS)の企画「スベリ-1グランプリ」もありました。推薦者の芸人さんたちのガヤも面白くて、見応えがあったと思います。優勝したエンジンコータローさんはネコニスズ舘野さんの元相方で、大阪芸大の落研出身。今回の優勝によってM-1(ミルクボーイ)、キングオブコント(空気階段)、THE W(オダウエダ)に次いで、スベリ-1も大阪芸大落研OBが獲得したことになりました。
令和ロマンの娯楽がたり
テレ朝で「令和ロマンの娯楽がたり」という、令和ロマンの地上波初冠番組が放送されました。9月くらいからテレビ朝日の秋山直ディレクターと企画書を作っていて、最初は「バラバラ大作戦」を狙っていたんですけど、まだ「M-1」の3回戦も終わってない段階で、年末に23時台で特番やってみようと決まりました。「これ優勝したら最高のタイミングですね」ってスタッフで話てたら本当に優勝して興奮しました。エンタメについて分析する、くるまさんの得意技がバンバン出てる番組です。TVerでまだ配信されていると思うので観てほしいです。
ヨネダ2000、同期の優勝「うれしいしかない」
──ここからヨネダ2000のお二人をお迎えします。
井口 ヨネダは前回の「M-1」で一緒に戦ったメンバーで唯一、インタビューとかで僕のいい情報を言ってくれてるよね。
愛 事実ですからね。
誠 初めて会ったときから目線を合わせてくださったので。
井口 身長が一緒なだけなんだよ!(笑) 同じ身長の男性を見たことがなかったら、絶対しゃがんでくれているに違いないって思ってるかもしれないけど。
愛 初めて会ったのは準決勝のときです。
井口 なんの話したっけ?
愛 「身体が凝ってんだよ!」って言ってました。
誠 ほとんどしゃべったことなかったのに、「もうすぐ始まるね。身体が凝ってんだよ!」って言ってました。
井口 え、こわ! 全然いい奴じゃないじゃん(笑)。とにかくあのとき腰痛だったんだけど、優勝した瞬間に治ったんだよ。
誠・愛 えー!
井口 「M-1」優勝したらあらゆる病が治るから(笑)。
誠・愛 優勝したい!
誠 愛さん捻挫してるもんね。
愛 8カ月捻挫してるんで。
井口 それは優勝するしかないよ。ヨネダは令和ロマンの同期なんだよね。同期の優勝ってどういう気持ちなの?
誠 どういう気持ちになるかなって自分も思ってたんですけど、「本当にうれしい」が一番でしたね。
愛 トップバッターになったときは「うわあ……」と思いましたけど。
井口 交流ってあるの?
愛 同期ライブとかがあって、そこでネタを見せ合ったりもしていて。
井口 それで言うと、僕もヤーレンズと令和ロマンのツーマンライブに出た仲間だから。これからも言ってってよ。「同期の令和ロマンが優勝してどうですか?」ってインタビューとかで聞かれたときに、うまく僕の名前を入れてもらって。「令和ロマンと井口さんと一緒にやってきたんで」みたいな。
誠・愛 わかりました(笑)。
ヨネダから井口に質問「好きな季節は?」
──ヨネダ2000のお二人には、いくつか質問を用意してきていただきました。井口さんはこれに全部答えてください。
愛 好きな女性の仕草は?
井口 この連載でも僕が「感動して泣かない」っていう話になったんだけど、そう思うと、泣きそうな場面で泣かない女性。例えば、卒業するアイドルとかがラストライブで泣いてないほうが好きになるなと思って。
飯塚 あはははは!(笑)
愛 涙を我慢できる強さってことですか?
井口 そうそうそう。なんで涙でしか感動を表せないのっていう、その浅はかさが嫌いだから。……こんな質問しかないのかよ!?
愛 じゃあ続いて、好きな季節はありますか?
井口 夏。
誠 えー! 一緒一緒! なんでですか?
井口 なんか、明るい時間が長いし、楽しいじゃん。僕めちゃくちゃ暑がりで汗かきで、寒さにはとにかく強いけど、それでも夏のほうが好き。
誠 井口さんがそういう方とは思っていませんでした。「秋、秋、秋、秋! 気温がちょうどいいから!」みたいな方だと(笑)。
井口 どういう奴だよ(笑)。
飯塚 井口くんは季節に持論があるからね。
井口 秋なんかないから。日本にはもう冬と夏しかない。冬と夏が交互に来ているだけ。
編集部注:井口の季節に関する持論は「ぶちラジ!」で聞ける。
誠 「我々のことをどう思っていますか?」。たまに「ヨネダわかってる=お笑いわかってる」みたいな意見を目にすることがあるんですけど、どう思えばいいんだろうっていう。
井口 ヨネダはちゃんと自分たちの世界観があるし、うらやましいけどね?
飯塚 みんなが褒めるから大変だろうなとは思いますね。アドバイスを求めても「そのままでいいよ」とか言われて、困っちゃいそう。
愛 確かに、よく言われます。
井口 褒められるのが嫌だからって下に潜り込むのも違うもんね。僕はその手法を使って、「ネタに定評がない」とか「後輩が単独ライブを観に来ない」とか、さもおおごとのように言って下に潜り込んでる。チャンピオンとして扱われたら嫌だし。ただ、これを言い続けた結果、本当に誰からも尊敬されないし絶対審査員のオファーとか来ない感じにはなっちゃったけど(笑)。ヨネダはどうなりたいとかあるの? ずっと劇場で、なのか、テレビで活躍したいとか。
誠 劇場にいっぱい出て、テレビいっぱい出たいです。
愛 「M-1」チャンピオンにもなりたいです。
──次の質問が最後です。
誠 「今、一番何をしているときが楽しいですか?」を答えたあとに、「性格がよさそうなひらがな」を教えてください。
井口 逆に、何してるときが楽しいの?
誠 新ネタの漫才です(キリッ)。あ、言ってることは本当です。
井口 顔がふざけてただけ?(笑) そうなんだ。いや、この質問、僕が聞きたいよ。なんにも楽しくないんだから。今みたいなときは楽しいよ。芸人と話しているときが一番楽しいから、いつも「終わるな」って思ってるし。
愛 この間も「舞台には出たくないけど楽屋にいたいんだよ!」って言ってましたね。
井口 楽屋ってめっちゃ楽しいじゃん。ずっと楽屋にいたいから、「このあとネタやるのめんどくせー」ってなる(笑)。
飯塚 楽屋にいる権利を獲得するためにネタをがんばってる(笑)。
井口 そうです。楽屋でいばるためには「M-1」優勝するしかないので。許されるなら楽屋にずっといたい。
愛 じゃあすみません、そろそろ「性格がよさそうなひらがな」を……。
井口 えー……「ひ」! なんか、丸っこいから。
誠 だったら私は「も」です。なんでもキャッチしてくれそうな柔らかい感じ。
井口 トゲのところが刺さりそうじゃん!
愛 「の」のほうが丸っこくないですか?
井口 「の」ねぇ。でもちょっと最後のところが尖りすぎじゃない? ……なんなんだよ、この話!
誠 聞きたかったことが聞けてよかったです。
愛 ありがとうございました!
ラブレターズと井口とコアラ動画
井口 ラブレターズは前回のイベントも来てくれて。
塚本 楽屋で観てただけだけどね(笑)。
井口 でも記事にはなってるから。
井口 ラブレターズとは初めて出たライブのネタ見せから一緒で、そのときの作家が飯塚さん。令和ロマンとかももちろん仲間ではあるけど、ラブレターズは本当の同期。
溜口 ややこしいなあ(笑)。
井口 どうだったの? 7年ぶりの「キングオブコント」決勝は。「返り咲くのがすごい」って言ってるけど、7年ぶりって!
溜口 7年はやばいよね。周りのコント師、この7年で誰もいなくなったから。
塚本 残ったジグザグジギーと我々が7年ぶりに決勝行けた。
井口 だから、優勝しそうだったんだけどね。
溜口 うちらもそう思ってたよ(笑)。前評判が高かったのか、決勝前からけっこう仕事が決まっていて、「ラヴィット!」の「耳心地いい-1グランプリ」でも2位で、いい流れではあったんだけど、本番ガチガチになっちゃって。
井口 決勝の直前に楽屋に行って、いろいろ話したんですよ。
溜口 その密着にも映ってたね、井口くん。
井口 あれは本当にカメラがあるとは知らずに行ったけどね? たまたまあったから、カメラが。僕らの「M-1」優勝、三四郎の「THE SECOND」での活躍とかがあったから、さすがにラブレターズかジグザグジギーが優勝するんだろうなと思ったら、全然優勝しなかった。
塚本 全然って言うなよ!(笑)
井口 僕らと同じ10番目に出てきたら、優勝すると思うじゃん。10番目に出てくんなよ! 予選ではめちゃくちゃウケてたんですよね?
飯塚 準決勝は一番ウケてたと思う。
溜口 飯塚さん、僕らのネタ見て泣いたんですよね(笑)。
飯塚 泣いた(笑)。「あー決勝行くー」と思って。2本目のネタはいい話でもあるし、うれしくて泣いた。
溜口 でも、決勝後はけっこういろんなお仕事いただけて。
井口 「チャンスの時間」で、僕が感動して泣くかどうか検証する企画も一緒に出たしね。それの裏話ですけど、僕を泣かせるためにためちゃんが持ってきた動画が面白すぎて! 赤ちゃんコアラが人間に助けを求める様子にAIの声で説明が入っている動画なんですけど、楽屋に戻ってから笑いが止まらくなりましたよ。しかもAIの声で「チャンネル登録お願いします」って。なんでチャンネル登録してほしいんだよ? たまたま困ってるコアラを助けた動画のはずなのに(笑)。
(しばらくコアラの動画の話題で笑っている3人)
溜口 楽屋でもずっとこの動画の話をしてたんですよ。で、せっかくこの2組が揃ったからとマネージャーさんが写真を撮ってくれたんですけど、みんな過去イチのいい笑顔で(笑)。
井口 あれは笑ったなあ。というか今泣いたよ、面白すぎて(笑)。2023年一番笑ったかも。爆笑が爆発したもん!
2024年の局所的お笑い界リアル予想
──井口さん、飯塚さん、そしてラブレターズのお二人には、この世代の芸人さんたちに2024年起こりうることを予想してもらいたいと思います。
井口 「令和ロマン世代と言い出す奴が出てくる」。第7世代ブームのとき、僕らとかラブレターズってちょっと早めにテレビに出させてもらっていたのもあって、とにかく第7世代から弾かれていて。芸人を始めたのが遅いから意外と芸歴も短いのに、オーディションも全然参加できない時期があったんですけど、「え、この人が?」みたいな奴が第7世代入りしていたんですよ。言ったら、ランジャタイとか、ぺこぱとか、究極誰だっけ?
塚本 わらふぢなるお。
井口 わらふぢなるおが第7なわけない!(笑) そのパターンで、僕らの世代でまだ世に出てない芸人が令和ロマン世代に紛れ込みそう。
飯塚 「ラブレターズ溜口、Aマッソ界隈でハネる」。Aマッソだけが、がんばってラブレターズを押し上げようとしてくれてるよね。
溜口 ライブに呼んでもらったり、YouTubeに出させてもらったりはしますけど(笑)。
井口 フワちゃんの次、“タメちゃん”あるんじゃない? 「2023年8月のお笑い」でも話していたけど、Aマッソって誰よりも芸人仲間を押し上げようとしてくれるし、一番情が厚い。僕もYouTubeに出させてもらったことあるけど、この世代に対するリスペクトも持ってくれてるんだよね。それをいいことに、Aマッソにすがるやつがいっぱい出てきそう(笑)。
塚本 「太くんがオフでケガをする」。
井口 それくらい普通にあるよ(笑)。
飯塚 太くん関連で本当にありそうなのが、「内田有紀、河本太のYouTubeに出演」。太くんのキャンプ動画を内田有紀さんが観てるって「帰れマンデー」(テレビ朝日)で言ってて。
井口 よくよく思い出したら、「笑神様」(日本テレビ)のロケに出たとき、スタジオでVTRを観ていた内田有紀さんが印象に残った人を聞かれて「河本さんがいるコンビ」と言っていて。そのときは間違えて覚えているのかな?とか思ったけど、本当にそう思ってる人だった(笑)。
飯塚 河本単推しなんだよね(笑)。ウエストランド好きの芸能人はいないけど、河本好きだけはいる。
ネコニスズのブレイクは近い?
井口 「つぶぞろい、テレビで」! でも、そのときもジグザグジギー宮澤さんがプロレス関係のことを理由に欠席するっていう(笑)。
編集部注:飯塚が2011年から自主開催していたお笑いライブ「つぶぞろい」。三四郎、ウエストランド、ラブレターズらが出演していた。2023年1月には「つぶぞろい2023 ~みんな売れて大復活ライブ~」として東京・草月ホールで実施されたが、ジグザグジギーは宮澤が仕事ではなく趣味のプロレス観戦のため出演できなかった。
飯塚 プロレスの大事な日と収録日を被せたいね。
井口 どっちを取るか密着してほしいです(笑)。「キングオブコント」後、宮澤さんがけっこう活躍してますけど、めちゃくちゃ面白いしツッコミもワードも多彩な池田さんがあえて一歩引いて宮澤さんを立たせてている形が今ちょうどハマっていて。
溜口 あのバランスめちゃくちゃいいよなあ。
井口 で、それだけ活躍した宮澤さんが「つぶぞろい」には来ないっていうのを見たい(笑)。
飯塚 「ルシファー吉岡がR-1優勝、にちようチャップリン出演増加」。
一同 ああー。
井口 ルシファーさんには「R-1」優勝してもらいたいですね。
溜口 「ネコニスズ・ヤマゲン、プチブレイク」。ヤマゲンさんは中堅芸人に可愛がられる人になるんじゃないかなとずっと前から思ってます。あんな返しがうまい人はいないし、悔しくなるくらい能力がある。
井口 それでネコニスズが注目されてテレビに出始めたときに、「舘野さんが失敗」(笑)。
溜口 えぐいてぇ!(笑)
編集部注:2020年の「M-1」予選でフリーズしてしまった舘野にヤマゲンが「どうしたん?」と聞くと「歌詞が飛んだよ」。これにヤマゲンは「えぐいてぇ!」とツッコんだ。
井口 「歌詞が飛んだよ」は、秀逸。「ネタが飛んだよ」は見てられないけど、「歌詞が飛んだよ」は「あ、歌詞が飛んだんだ~」って思えるから。
──ヤマゲンさんはどの中堅芸人さんにハマれば売れそう、というのはありますか?
溜口 今はランジャタイさんですよね。ちょうど今日、東野幸治さんと一緒に出た回がオンエアされますね。
編集部注:「ランジャタイのがんばれ地上波!」(テレビ朝日)の企画「ブチギレ王決定戦」でヤマゲンのキレ芸が炸裂。12月には東野幸治が審査員を務めた同企画のSP版が放送された。
井口 見取り図さんとも仲いいですし。
──NSCの同期です。
溜口 さらばさんとも近いし。
飯塚 ランジャタイ経由で「マルコポロリ!」(関西テレビ)に行ければいいね。
井口 ネタでも活躍すれば、プチじゃなく一気に売れそう。
溜口 ネコニスズさんはそのへんがもう揃っている感じがします。
──このほか「塚本ミシンYouTube、菊地亜美とコラボ」「R-1、今年もなんかある」「ウエストランドの冠番組が山陰で始まる」「サウナ芸人、全員乾き死ぬ」「浜村凡平太にいいことがある」といった予想が出ました。
井口 じゃあ最後に、「『今月のお笑い』でなんかある」。今ちょうど、「これ、なんでやってるんだっけ?」となってきているので(笑)。
飯塚 井口くんが忙しくてあんまりお笑いを見られていないんだよね。
井口 そうですね。あと、もうちょっと僕の中では「井口、やっぱり考えてるんだな」みたいになってほしいんですけど。
──わかりました。読者のみなさんにはぜひ「#今月のお笑い」を付けて感想をXに投稿してもらえるとうれしいです。2024年も「今月のお笑い」をよろしくお願いします!
プロフィール
ヨネダ2000
誠(マコト)
1999年3月25日生まれ、東京都出身。
愛(アイ)
1996年9月19日生まれ、神奈川県出身。
2020年4月に結成。2021年に「女芸人No.1決定戦 THE W」で決勝進出し、地上波テレビ初出演を果たす。2022年「THE W」準優勝、「第43回ABCお笑いグランプリ」「M-1グランプリ」決勝進出。「ゾンターク~おどりのほし~」(NHK Eテレ / 九州・沖縄地方)でメインキャラクターの声を担当中。吉本興業所属。
ラブレターズ
塚本直毅(ツカモトナオキ)
1984年12月28日生まれ、静岡県出身
溜口佑太朗(タメグチユウタロウ)
1985年1月19日生まれ、埼玉県出身
2009年に結成。2013年に「バチバチエレキテる」(フジテレビ)レギュラーを務め、2014年には「ラブレターズのオールナイトニッポン0(ZERO)」を担当するなど早くから活躍する。2011年、2014年、2016年の「キングオブコント」ファイナリストで、昨年2023年に7年ぶり4度目となる決勝進出を果たした。毎週月曜23時にYouTubeチャンネル「階段腰掛け男」生配信中。4月27日(土)に溜口が作・演出・主演を務める「溜口スーパー SPRINGショー グチタメ夜桜殺人事件~犯人は、阿佐ヶ谷姉妹!?~(仮)」を東京・武蔵野公会堂で開催する。ASH&Dコーポレーション所属。
井口浩之(イグチヒロユキ)
1983年5月6日生まれ、岡山県出身。2008年、河本太(コウモトフトシ)とウエストランドを結成。2013年4月に「笑っていいとも!」(フジテレビ)のレギュラーに抜擢され、最終回まで不定期で出演した。2012年から2014年に「THE MANZAI」認定漫才師。「M-1グランプリ」では2020年に初の決勝進出を果たし、2022年に優勝! ラジオ形式の番組「ウエストランドのぶちラジ!」をYouTubeなどで配信中。タイタン所属。
飯塚大悟(イイヅカダイゴ)
1982年4月13日生まれ、新潟県出身。テレビ、ラジオの構成作家。現在の担当番組は「ヒルナンデス!」(日本テレビ)、「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」(テレビ朝日)、「水曜日のダウンタウン」(TBS)、「ヤギと大悟」(テレビ東京)、「オドオド×ハラハラ」(フジテレビ)、「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)など。書籍「深解釈 オールナイトニッポン~10人の放送作家から読み解くラジオの今~」(扶桑社)。