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中村隼人×市川團子×中村米吉「僕らの若さをくっきりと出せたら」スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』へ意気込み

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左から)市川團子、中村隼人、中村米吉 (撮影:杉映貴子)

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「スーパー歌舞伎」という新しいジャンルを打ち立て、歌舞伎界に大きな影響を与えた『ヤマトタケル』。37年前、哲学者の梅原猛が書き下ろし、主演を勤める二世市川猿翁(当時三代目市川猿之助)が3S(スペクタクル、ストーリー、スピーディー)の要素をふんだんに取り入れて脚本・演出を手掛け、歌舞伎ファンの度肝を抜いた。この2月、新世代の歌舞伎俳優たちによるスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』が新橋演舞場にお目見えする。小碓命(オウスノミコト) 後にヤマトタケルと大碓命(オオウスノミコト)の二役をWキャストで勤めるのは中村隼人と市川團子、そして兄橘姫(エタチバナヒメ)と弟橘姫(オトタチバナヒメ)の二役を早替りで勤める中村米吉。この3人がそれぞれの役どころの魅力を語り合った。

英雄だけれど、ピュアで隙があるところが魅力

――小碓命後にヤマトタケル、兄橘姫と弟橘姫、それぞれどんな人物だと捉えていますか。

隼人 伊吹山の場面で「人間は傲慢の病にかかる」というセリフがあるのですが、それがこの作品のキーになってくるのかなと。伊吹山に草薙の剣を持たずに行ってしまい足元をすくわれるんだよね。成功体験を重ねていくと自信はつくけれど傲慢にもなっていく。

團子 ヤマトタケルは祖父(二世市川猿翁)の人生そのもののようでもあり、どこを切り取っても祖父が浮かんでくるようなセリフが多いんです。「何か途方もないものを追い求めている。それが何かよくわからない」というところに、とても魅力を感じています。

米吉 弟橘姫が入水する場面で「現世ではタケルの妃になれないけれど海に飛び込めば海の王の妃になれる、出世できる」というセリフが原作にはあるんです。また兄橘姫には、息子ワカタケルを連れて狂乱して死して白鳥になったタケルを追いかける場面があるんですね。美しく優しいだけにとどまらない、人間の業、人間臭さをどちらの役にも感じます。

――お互いの役についてはいかがですか。

米吉 ヤマトタケルって主役で英雄だけど、実はあまり自分というものがないような気がする。例えば兄に対して諫言するけれど、それも自発的ではなくて。熊襲や蝦夷を討伐するけれど、運命に流されたどり着いたその先で力を発揮しているんだよね。そこに貴種流離譚らしさがあるのかなとも思う。

隼人 おっしゃる通りかもしれない。やっと自ら初めて事を起こそうとしたら、伊吹山でやられてしまうしね。非常にピュアな人でもある。

――かと思うと目の前にいる人の本心、本音、特に女性の気持ちはわかっていなかったり。

隼人 そういうところがまた周りが放っておけない魅力なのかな。隙があるんだよ。人って隙が愛嬌になり色気にもなるじゃない?

米吉 若さゆえ、かもしれないね。最初に猿翁のおじさまがなさった時、うちの父(中村歌六)が36歳で、たしかおじさまは十は上でいらっしゃるから46歳位だったはず。そういう意味では今回の配役はグッと若返っていますね。

隼人 僕らが演じることでヤマトタケルの若さがさらにくっきりするのかな。これが古典歌舞伎だったら話は別ですが、38年の歴史があるとはいえ新作の場合は若さがダイレクトに伝わりやすいから。僕に勝算があるとすればそこ。といっても團子君と僕とでも十は離れているけどね。

米吉 團子君、こんなに小顔で、ラストの白鳥になって跳んでいくところの頭(鬘)をかけると顔が埋もれちゃうんじゃないか心配だよ(笑)。

隼人 團子君はどうとらえてる?

團子 ヤマトタケルってかなり極端な人間なのかなと思っています。テンションが上がるときはどこまでも上がるけれど、落ち込むときもとことん落ちる。これって祖父の性格に似ていて。そこがまた人を惹きつけるのかなと。どう考えてもこの先は無理だ という状況でも、そこに気づかずに前に進もうとするところがあるような気がします。

米吉 猿翁のおじさまは「この作品は女性がとてもよく描けている」とおっしゃっているけれど、結局ヤマトタケルは誰が一番好きなの?(笑)。みやず姫?

團子 みやず姫には「嘘でもいいから私が一番好きとおっしゃってください」というセリフがありますよね。

隼人 難しいよね。弟橘姫を失ったことによってはじめて愛する人を失う経験をして、またひとつ大人になったのかな。

米吉 自ら死のうとしている弟橘姫にすら「おとなしいと思ったのに」と言うけど、おとなしいのが好きなの?(笑)。とにかく兄橘姫、弟橘姫、みやず姫、3人とも古典歌舞伎のお姫様とはまた違う強さを持っているのは間違いないけどね。

お互いの「ココが好き!」ポイントは?

――皆さんの「ここは見どころ」ポイントを教えてください。

隼人 陸海空、それぞれの見どころがあるんですよ。陸は炎燃え盛る草原での戦の場面、そして水の中で『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』のように泳ぎ、スーパー歌舞伎の醍醐味・宙乗りもある。特に僕が好きなのは熊襲との戦の場面だな。なにしろ豪華絢爛です。古典歌舞伎では舞台の奥行や上下の高さをあまり使わないけれど、新橋演舞場の舞台ではそれらを駆使した場面がどんどん出てくるから。

米吉 やはり兄橘姫と弟橘姫を早替りで勤めるのは観ていただきたいポイントですね。初演以来使われてきた兄橘姫の衣裳があまりにもシンプル過ぎて、着るのが楽ちんだったことが衣裳さんたちも不思議だったそうなんですが、早替りすることが前提だったからなんだと今回わかりました。上に羽織ればすぐ兄橘姫から弟橘姫になれるように出来ているんです。

團子 タケルの見得の種類ですね。すごく多いんです。首の振り方も多種多様。その時の感情によって結構違うんですよ。熊襲のところはバーッタリではなくてタンタンッ速い感じだったり、山神との戦いでは大味だったり、燃え盛る炎のような雰囲気の見得だったり。

――それぞれのお役の魅力を語っていただきましたが、おしまいに役者としてお互いの「ここが好き」ポイントも教えてください。

米吉 團子ちゃんはね、とにかくまっすぐで研究熱心で一生懸命な人。この純粋なひたむきさ、僕が失って久しいものだなと(笑)。隼人さんはもう素敵な人だから何も言うことはございません。ハトコだし(笑)。役者として持って生まれた華やかさ、これはもう努力ではどうにもならない。立役として着実にステップアップしている姿も同世代、女方として心強いです。

隼人 團子君は座頭として必要な資質を持っていると思います。僕ら19の頃といえば四天王とか近習とかでしたよ。それがこうやって抜擢されるのはすごいことであり、逆に大変なことかもしれない。僕は今回刺激ももらいつつ、できるだけ彼を支えたいと思っています。そして米吉君は僕らの世代で最初に大役に抜擢された人。その時どれほど大変だったろうかと今になって思うんです。なのにこの柔らかい雰囲気を持っているところが好き。ハトコだし(笑)。

團子 隼人さんは『新水滸伝』のときなど特に、僕が殻にこもってしまわないようによく話しかけてくださって本当に優しかったです。米吉さんは僕が昔から悪ガキだったのをご存知で、それを許してくださったお姉さんという感じです。いや実のお姉さんということではなくて。

米吉 そりゃそうだよ!(笑)。

團子 倭姫(ヤマトヒメ、タケルの理解者)のように優しく包み込んでくださるので、ついつい何でも思いついたことをバーッとしゃべってしまって。すみません!(笑)

取材・文:五十川晶子 撮影:杉映貴子

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<公演情報>
スーパー歌舞伎 三代猿之助四十八撰の内
『ヤマトタケル』

作:梅原猛
監修:石川耕士
脚本・演出:二世市川猿翁

出演:
小碓命後にヤマトタケル / 大碓命:中村隼人、市川團子(交互出演)
兄橘姫 / 弟橘姫:中村米吉
帝:市川中車
皇后 / 姥神:市川門之助
タケヒコ:中村福之助
ヘタルベ:中村歌之助
犬神の使者 / 琉球の踊り子 / 新朝臣:嘉島典俊
ヤイラム:市川青虎
老大臣:市川寿猿
倭姫:市川笑三郎
国造の妻:市川笑也
熊襲兄タケル / 山神:市川猿弥
帝の使者:中村隼人・市川團子・市川青虎(交互出演)
尾張の国造:中村錦之助
熊襲弟タケル:中村錦之助・中村歌之助(交互出演)

2024年2月4日(日)~3月20日(水・祝)
会場:東京・新橋演舞場

チケット情報:
【2月分】
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2347842

【3月分】1月25日(木)10:00より販売開始!
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2347988

公式サイト:
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/shinbashi/play/842

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