増田貴久、クリス・ベイリーとの名コンビで挑む名作『20世紀号に乗って』で目指すもの
ステージ
インタビュー
増田貴久 (撮影:藤田亜弓)
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すべて見る海外ミュージカル初挑戦となった『ハウ・トゥー・サクシード』(20・21)で、高い歌唱力とダンススキル、さらにコメディセンスあふれる演技で観客を魅了した増田貴久。そんな彼が『20世紀号に乗って』で再びミュージカルの名作に挑戦、主人公のオスカー・ジャフィを演じる。演出・振付を手がけるのは、『ハウ・トゥー~』に引き続きクリス・ベイリー。相性バッチリのこのコンビが、今度はいかなる笑いを劇場に巻き起こすのか。歌稽古が始まったばかりだという増田に、作品に寄せる想いを訊いた。
クリスさんが目指すところに自分も近づけるように
――20年の初演、21年の再演の『ハウ・トゥー・サクシード』に続き、クリス・ベイリーさんの演出作品に参加されるのは今回で三度目です。クリスさんとのもの作りの面白さとは?
初演の『ハウ・トゥー~』の時は、コロナ禍でクリスさんが来日することが出来ませんでした。だからずっとカメラ越しに稽古をつけてもらっていたんですが、リモートながらとても的確な演出だった記憶があります。で、再演の時にやっと直接お会い出来たわけですが、クリスさんからかけられる言葉の数々に、僕自身ハッとさせられることがとても多くて。
――特に印象に残っているのはどんな言葉ですか?
『ハウ・トゥー~』という作品が、今に至るまでその形を変えず、多くの人にずっと愛されて続けている、と改めて言われたことです。いろいろな役者が、いろいろな登場人物を演じてきたけれど、その台詞は昔からまったく変わっていない。だから「自分はこう思う」みたいな考えはこの作品にはいらないし、台本の持っている意味をちゃんと考えて欲しい、という内容で。僕なんかはつい、「台本ではこう言っているけれど、こっちのほうが面白いんじゃないか?」なんて考えてしまうんですが、クリスさんに「そうではない」とはっきり言われた時に、すごくドキッとしたというか。ちなみに僕の前にフィンチを演じたのはニック・ジョナスで、その前はダニエル・ラドクリフ。クリスさんの話を聞きながら、ふたりの顔がふと頭に浮かびました(笑)。
――そのクリスさんとは、昨日リモートでお話されたそうですね。
ええ。作品についてというよりかは、「元気?」みたいな挨拶程度でしたけど。ただクリスさんから、「『ハウ・トゥー~』の時よりもたくさん踊らせるからね」と言われて(笑)。冗談だとは思うんですが、「まっすー(=増田)は踊れるから、今回も振り付けるよ~」と。もともとそんなに踊りが多い作品ではないはずですが……(苦笑)。
――それは演出だけでなく、振付も手がけられるクリスさんならではですね。
『ハウ・トゥー~』の時、ある曲の振付をクリスさん自らが踊って見せてくれたことがあったんです。それがもう素晴らし過ぎて! 面白いし、かわいいし、カンパニーの全員がスタンディングオベーションしたくらい。まぁ僕にとってそれは、プレッシャー以外のなにものでもなかったんですけどね(苦笑)。
――そのプレッシャーは演じる上でのバネに?
そうですね。クリスさんが「こんなふうにやりたい」と思うところに、僕も近づきたいと思いましたから。今回またこうしてクリスさんとご一緒出来て、本当に嬉しいです。
自分が今この作品をやる意味を、心に刻んで演じたい
――今回挑戦される『20世紀号に乗って』も、『ハウ・トゥー~』と同じくミュージカルの名作です。どんなところに作品としての魅力を感じていますか?
今はまだ歌稽古のみの段階なので、なかなか作品自体の魅力を理解出来ていないのが正直なところです。やはり数々の賞に輝いているだけあって、歌に関しても本当にいい曲が多いなと思います。すごくおしゃれですし、とにかくメロディが美しい。ただいざ自分が歌うとなると、これが非常に難しいんですよね。だから感情うんぬんというよりかは、まずは譜割りやメロディをしっかり叩き込んでいかないといけないなと。そこから徐々に自分のものにしていくことで、どんどん楽しくなっていく。そんな楽曲なんじゃないかなと思います。
――今回演じられるのは、舞台演出家兼プロデューサーのオスカー・ジャフィ。派手好きで非情ながら、どこか憎めないといった人物です。演じるに当たって現段階での構想は?
お芝居に関してはまだまだこれからですが、昨日クリスさんには「一人称を“僕”にするのか、“俺”にするのか。まっすーはどっちがいいと思いますか?」と聞かれました。で、僕の答えは、「もうちょっと経ってから決めていいですか?」で(笑)。やっぱりそのふたつって全然違うと思うんですよね。僕自身、対峙する相手によって言い方を変えることもありますし。つまり相手役とのお芝居によって大きく変わっていくことだと思うので、本稽古が始まってから、それぞれの関係性によって決めていけたらなと思っています。
――最後に、楽しみにされている読者の方々にメッセージをお願いします。
『ハウ・トゥー~』の初演の時は、客席も半分、お客さんの声出しもNGでした。そして再演。満員の笑顔の客席を見た時、カンパニー全員がすごく感動したのをよく覚えています。そしてこの『20世紀号に乗って』も、基本的にはドタバタ楽しい、ハッピーなコメディ。だからきっとまた、ああいう景色が見られるんだろうなと思うとすごく嬉しくて! そして自分が今この作品に出会えた、今この作品をやる意味、みたいなものをしっかり心に刻みつつ、楽しく表現していけたらと思っています。
取材・文:野上瑠美子 撮影:藤田亜弓
ヘアメイク:坂部めぐみ スタイリスト:内田あゆみ(Creative GUILD)
衣裳協力:靴 参考商品(CROSSSES TOKYO/Sian PR)その他スタイリスト私物
問い合わせ先
Sian PR
〒150-0002
東京都渋谷区渋谷2-2-3ルカビルⅡ 2階~3階
TEL 03-6662-5525
<公演情報>
ミュージカル『20世紀号に乗って』
脚本・作詞:アドルフ・グリーン ベティ・カムデン
作曲:サイ・コールマン
原作:ベン・ヘクト チャールズ・マッカーサー ブルース・ミルホランド
演出・振付:クリス・ベイリー
演出補・共同振付:ベス・クランドール
出演:
増田貴久 珠城りょう 小野田龍之介 上川一哉 渡辺大輔 戸田恵子/
可知寛子 斎藤准一郎 武藤寛 横沢健司/
植村理乃 小島亜莉沙 坂元宏旬 咲良 篠本りの 田川景一 田口恵那 東間一貴 長澤仙明/MAOTO 増山航平 吉田萌美 米島史子 玲実くれあ
【東京公演】
2024年3月12日(火)~3月31日(日)
会場:東急シアターオーブ
【大阪公演】
2024年4月5日(金)~4月10日(水)
会場:オリックス劇場
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2347944
公式サイト:
https://musical-onthe20th.jp
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