19世紀楽器でいきいきと甦るショパンの真の姿
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鈴木優人 ©JUNICHIRO MATSUO
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すべて見る今まで知らなかった本当のショパンに出会えそうだ。昨秋開催された「ショパン国際ピリオド楽器コンクール」の優勝者エリック・グオ(カナダ)が来日、ショパンのピアノ協奏曲全2曲を一挙に弾く。
バッハ・コレギウム・ジャパンを率いて共演する指揮者の鈴木優人は言う。
「ショパンの協奏曲は、大編成の現代オーケストラには物足りないというか、(音量のバランスを気にして)独奏ピアノとフルパワーでぶつかり合う精神状態になれないんです。それがピリオド楽器のオーケストラだと、ソロとオーケストラががっぷり四つに組んで、競う合うように弾くことができる。とてもエキサイティングなショパンになりますよ!」
それこそ協奏曲の醍醐味。
ショパン国際ピリオド楽器コンクールは、あのショパン・コンクールと同じポーランドのショパン研究所が主催する、ピリオド楽器(つまり作曲家が生きた時代のピアノ)を使って競われる、“もうひとつの”ショパン・コンクール。19世紀のピアノは現代の楽器と比べると音量は小さいが音色は多彩。ピリオド楽器オーケストラとの共演なら両者がとてもバランスよく、互いにいきいきと弾ききることができるのだ。そしてなにより、あの親しんだ名曲が、ショパンが作曲時にイメージしていたままの響きでよみがえる。
「ピアノはもちろんですが、ピリオド・オーケストラであることが、聴いた印象に大きく影響すると思います。ガット弦の弦楽器の色合いはショパンのナイーヴな音楽にぴったり。管楽器はほとんどが19世紀のオリジナル楽器を使います。バロック時代よりも状態の良いものが残っているので、レプリカでなくオリジナルの楽器を使いやすいんです。演奏ピッチはピアノに合わせてA=430Hzです」
しかしじつは、どんな楽器を使うか以上に大事なのが、その姿勢自体なのだと説く。
「根本的に大事なのは、音楽への対峙やアプローチの違い。その楽器を選択している奏者の思いや音楽への向き合い方が、やっぱり音に出ます」
コンクールの優勝者グオは、じつは普段はモダン・ピアノ奏者として活動している。鍵盤奏者として、ピアノ、チェンバロ 、オルガンなど歴史楽器に精通した鈴木との共演を頼もしく感じているはず。
「ソロとオーケストラが一体という気持ちで音楽を作ります。ソロだけでなく、ぜひ、その融合で生まれる全体の響きを聴いてください」
取材・文:宮本明
第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール優勝者コンサート
■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2347317
1月30日(火) 19:00開演
東京オペラシティ コンサートホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/p2059/
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