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今だから明かせる撮影秘話も! 山崎賢人主演『ゴールデンカムイ』撮影現場レポート

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『ゴールデンカムイ』 (C)野田サトル/集英社 ©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

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年明け早々から話題沸騰! 現在メガヒットを記録している映画『ゴールデンカムイ』。野田サトル氏による同名コミック原作は、現在累計発行部数2700万部を突破中の文句なしの大ベストセラーだ。

舞台は明治時代末期の北海道。アイヌ民族を殺して莫大な金塊を奪った謎の男=“のっぺら坊”は、監獄の中で24人の囚人たちの体に金塊の隠し場所を示す暗号の刺青を彫り、24人全員を脱獄させた。金塊のありかは、24人全員が揃わないと分からない――。元軍人で異常な生命力と並外れた戦いのスキルを持つ、通称“不死身の杉元”(山崎賢人)は、“のっぺら坊”に実の父を殺されたアイヌの少女・アシリパ(山田杏奈)と共闘関係を結び、金塊の行方を追う。

『ゴールデンカムイ』

物語のスケールがあまりに壮大ゆえ、長年「実写化は不可能」と言われ続けてきた本作。それを実現させたのが真冬の北海道ロケと、身も心もキャラクターになりきった役者陣の本気度、そして実際のアイヌ文化をイチから学び、建築物、衣装……すべてを完全に再現したスタッフ陣の熱量だ。加えて日本映画としては間違いなくトップレベルのVFX技術が、ヒグマやレタラ(*アシリパを守る白いエゾオオカミ)に命を吹き込んでいる。

ここでは2022年~2023年にかけて極寒の北海道を中心に、連日ハードなロケが行われていた本作の撮影現場の様子を公開。今だから明かせる撮影秘話満載でお届けする。

杉元(山崎賢人)とアシリパ(山田杏奈)のほどよい緊張感が漂う出会いシーン

まず訪れたのは撮影序盤の2022年12月上旬。杉元がヒグマに襲われたところを、アシリパに間一髪のところで救われるという緊迫感あふれるシーンが、完全ナイター体制で撮影されていた。記念すべきふたりの出会いシーンを序盤に撮影できることは、役者陣としてはラッキーであるだろうが、心なしかふたりの間にもほどよい緊張感が漂っている。特に今回アシリパという大役に大抜擢された山田の方に緊張の色が強く、その緊張をほどくように時折山崎が笑顔で話しかける姿も。

それにしても山の中は、とにかく寒い! 18時を過ぎた頃からガクンと気温が下がり、なおかつ撮影用のわずかな照明と、ふたりが起こした焚火だけが現場での光源とあって、我々スタッフも自分の足元さえ見えないほどの暗さである。

だがその暗さであっても、明らかにガタイがひと回り大きくなっている山崎のたくましさには目を奪われた。杉元を演じるために約10㎏の増量を敢行したことは本人も公の場で発言しているが、脂肪ではなく筋肉だけで増量したその体は、カッチリした軍服に決して“着られる”ことがない。

これまでも『キングダム』シリーズの信など、大ヒットコミックの映画版の主人公を演じている山崎だが、「今までやったことのない役柄」と語る杉元への想いは強い。今回の彼には信のような少年らしさはなく、ひとりの成熟した大人の男性としての強さと、ある種の狂気がしっかり宿っている。

そしてアシリパもまた、山田にとっては大きな挑戦となった。原作のアシリパは正確な年齢こそ明かされていないが、明らかに幼い少女の風貌。撮影当時21~22歳だった彼女は「悩んだ時期もありました」と率直な想いを口にしつつも、実際のアイヌ工芸家の手によって製作された衣装に身を包んだ姿は、原作から抜け出したようで驚かされる。特に弓を構える凛とした横顔は、原作のアシリパにも通ずる大人びた落ち着きに満ちていた。その迫力に山崎も「アシリパさんの弓には近づかないようにしないと!(笑)」と笑顔で声をかけ、山田にも笑顔が少しずつ増えていく。

ここで杉元を襲うヒグマは、ただのヒグマではなく、冬眠しそこなって気が荒く、人間の味も覚えてしまった凶暴なヒグマ。さすがの“不死身の杉元”もお手上げなのだが、完成作で見られるこのヒグマのVFXクオリティは圧巻! 凄まじい咆哮とリアル過ぎるヨダレなど、子どもが泣き出しかねないド迫力ぶりで、現場でもヒグマの荒い鼻息をスモークを焚いて表現するなど様々な工夫がなされていた。ちなみに本編で流れるヒグマの咆哮は、実際の猟師さんから本物のヒグマの吠える声を録音してもらったものを一部使用するという徹底ぶりである。しんしんと冷え続ける山の中、突然の雨に撮影が一時中断されながらも、最後まで集中力を切らさず、ふたりの静かな熱演は続いた。

山田渾身の“ツーン顔”にも注目! 和やかな雰囲気で撮影された“グルメシーン”

数日後。前回の緊迫したナイターとは打って変わって和やかな雰囲気で撮影されていたのは、ある意味で『ゴールデンカムイ』を象徴する“あのシーン”だった。

杉元とアシリパに加え、この日は囚人で“脱獄王”の異名を持つ白石(矢本悠馬)もいる。3人の前にはグツグツ煮えた鍋。おいしそうな香りが現場を包み込む……。グルメ漫画の側面も持つ『ゴールデンカムイ』では、数々のおいしそうなアイヌ料理が登場するが、この日のメニューは熱々の桜鍋。腹ペコの3人はワクワクした表情で鍋の仕上がりを待ち、いざ実食へ! 

だがここで桜鍋には欠かせないある食材が、アシリパの顔を一気に曇らせるのだった。原作ファンならお察しのとおり、それは“味噌”。味噌を食する文化のないアシリパにとって、味噌はそのビジュアルからオソマ(*アイヌ語)=うんこにしか見えない。これまでさんざん杉元が説得してきたにも関わらず、味噌を敵視してきたアシリパ。味噌の匂いを嗅いで思いきり顔をしかめる“ツーン顔”も、様々なバリエーションを繰り出してきた。

久保茂昭監督からも「いい感じの“ツーン顔”を考えてみて」と直々に言われていた山田が見せる、渾身の“ツーン顔”。驚くほど原作に忠実なので、ぜひ劇場で確認してほしい。聞くところによると山田のスマホの写真フォルダには自身で研究のため撮影した、何十枚もの変顔が収められているそうだ。

矢本はこの日がクランクインだったのだが、山崎とは共に若手時代に共演経験があり公私ともに親しい間柄。撮影は序盤からワイワイと賑やかな空気で進んだが、原作の大ファンでありその中でも「白石が“推しメン”」と公言する矢本は、白石のことが好き過ぎるあまり、「実は初日は緊張していました」と後に語っていた。しかしとても緊張していたとは思えないほど、毎回違う軽快なアドリブを放り込み続け、山崎と山田を笑わせている。

山田も数日前の緊張感はすっかり解けた様子で、撮影の合間も終始ニコニコと先輩ふたりの雑談に参加。だがコミカルなシーンゆえ、山崎は杉元として発するセリフに悩むひと幕も。「うんこじゃねえっつーの」「ヒンナ(*アイヌ語で感謝を示す言葉)だぜ」など、日常では絶対に言わないセリフの言い回しにひと苦労。時折矢本に相談する姿からも、ふたりの仲の良さが垣間見られた。結果生まれた実写版の杉元らしい「ヒンナだぜ」は、さすがの仕上がりに!

シリアスもコメディも、すべては偉大な原作へのリスペクトから――。スタッフ&キャストの原作愛にあふれた『ゴールデンカムイ』旋風は、まだまだ収まりそうにない。

※山崎賢人の“崎”はたつさきが正式表記
※アシリパの“リ”は小文字が正式表記
※レタラの“ラ”は小文字が正式表記

取材・文:遠藤薫

『ゴールデンカムイ』
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(C)野田サトル/集英社 ©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

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