「ケイコ 目を澄ませて」ヨコハマ映画祭で4冠、岸井ゆきの&三宅唱が受賞を喜ぶ人物とは
映画
ニュース

第45回ヨコハマ映画祭の表彰式の様子。
第45回ヨコハマ映画祭の表彰式が本日2月4日、神奈川・関内ホールで開催。「ケイコ 目を澄ませて」が作品賞、撮影賞、主演女優賞、審査員特別賞の4冠を獲得した。
審査員特別賞は「ケイコ 目を澄ませて」のほか、「百円の恋」「あゝ、荒野」「BLUE/ブルー」「アンダードッグ」「ある男」「春に散る」など近年のボクシングを描いた映画の多くに監修として参加してきた俳優・松浦慎一郎が受賞した。主演女優賞の岸井ゆきのも、松浦の受賞を受けて「食事のことから、肉体のこと、精神的なところまで支えてくださった。松浦さんが表彰されるのは本当にうれしい。ヨコハマ映画祭、大好きです」とコメント。監督を務めた三宅唱も「僕としても念願の松浦慎一郎さん。こうした場で一緒に立てること、受賞されたこと、本当に最高だと思っています」と喜び、その功績については「パンフレットに全部書いたので読んでほしいです。松浦さんがいなかったら歴史が変わってます」とたたえた。
松浦はボクシングとも映画とも無縁な環境で育ったことに触れながら、「大学でボクシングに出合い、お芝居と出合いました。その中でボクシングはセンスがない、芝居は華がないと言われてきたんですが、“好き”というだけでここまで続けてきました。それがこういった形で素敵な賞をいただけて、心よりうれしく思います」と明かす。表彰式には家族も祝福に駆け付け、会場から拍手が贈られる一幕もあった。
2023年は国内で数々の演技賞を獲得した岸井だが、その評価にプレッシャーや責任を感じてしまうときもあったそう。「すごく深いところでくじけそうになった瞬間もあったんですが、今改めて1年を振り返ったときに、もう今だったら全部背負えると思える自分になっていたことに気付きました」「改めてこの賞を自分のものにして、ちゃんと背負って、これからも新しい映画に取り組んでいきたいです」と意気込んだ。
パンフレットで岸井が語っていた「追いかける背中を見つけた」という言葉の真意を問われると、「私は耳の聞こえない役だったので、ほとんど口語としてのセリフがなくて、皆さんの動きや映画制作の現場を見つめていました。言葉でコミュニケーションを取らなくても、こういうものを撮りたいという気持ちだけで、ひとつになれる瞬間や選択をたくさん見せてもらった。私もこういうことがしたい、と感じました」と振り返る。
松浦は岸井の受賞を祝福しつつ「正直に言うと、ボクシングを始めたときのセンスは今まで出会った誰よりも“遠かった”。本人のがんばりと努力。大みそかも年明けもトレーニングを重ねて。本当につらかったと思います」と述懐。三宅も「撮影が始まる前、スタッフのみんなも岸井がどれぐらい仕上がっているのか気にしてたんです。でも初日からケイコが目の前にいて、現場の全員を引っ張ってくれました」と称賛する。
仕事の都合で表彰式を欠席した撮影賞の月永雄太に代わり、チーフプロデューサーを務めた福嶋更一郎が手紙を代読する場面も。月永は受賞と映画祭での上映を喜びながら「さまざまな視聴環境で映画が観られる時代に、映画館に足を運ぶのも厳しい時代に、なんとか映画館に観に来ていただけるような映画、また来年もこの映画祭で上映していただけるような作品に携わることができるよう精進して参ります。観てくださった方も含め、この映画に関わったすべての方々に感謝いたします」とつづった。
ヨコハマ映画祭は1980年に始まった映画ファンのための祭典。第45回の受賞結果は下記の通り。
第45回ヨコハマ映画祭 受賞結果
作品賞
「ケイコ 目を澄ませて」(監督:三宅唱)
監督賞
石井裕也(「愛にイナズマ」「月」)
森田芳光メモリアル新人監督賞
加藤拓也(「ほつれる」)
脚本賞
アサダアツシ(「そばかす」)
撮影賞
月永雄太( 「ケイコ 目を澄ませて」)
美術賞
原田満生(「せかいのおきく」)
主演女優賞
岸井ゆきの( 「ケイコ 目を澄ませて」)
主演女優賞
黒木華(「せかいのおきく」)
主演男優賞
鈴木亮平(「エゴイスト」「劇場版 TOKYO MER~走る緊急救命室~」)
助演女優賞
中村久美(「高野豆腐店の春」「アンダーカレント」)
助演男優賞
磯村勇斗(「正欲」「月」「波紋」「渇水」「最後まで行く」)
助演男優賞
佐藤浩市(「せかいのおきく」「愛にイナズマ」「ファミリア」「仕掛人・藤枝梅安2」ほか)
最優秀新人賞
堀田真由(「バカ塗りの娘」)
最優秀新人賞
目黒蓮(「わたしの幸せな結婚」「月の満ち欠け」)
審査員特別賞
松浦慎一郎( 「百円の恋」「あゝ荒野」「ある男」「ケイコ 目を澄ませて」「春に散る」など)
特別大賞
藤竜也