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坂本龍一から「人類を踊ってくれ」と言われ......ダンサー田中 泯が語る日本初演『TIME』

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田中 泯 (撮影:石阪大輔)

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RYUICHI SAKAMOTO+SHIRO TAKATANI『TIME』が2024年3月28日(木)から新国立劇場 中劇場にて日本初上演する。

1999年に日本武道館、大阪城ホールで上演され、約4万枚が即完売した公演『LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999』に続き、坂本龍一が全曲を書き下ろし、高谷史郎(ダムタイプ)とコンセプトを考案、創作した本作。
2017年から約4年の製作期間を経て、21年に坂本がこの年のアソシエイト・アーティストを務めた世界最大級の舞台芸術の祭典「ホランド・フェスティバル」(オランダ・アムステルダム)で世界初演され、高い評価を得た。

2007年から坂本と交流があったというダンサーの田中 泯。「ニューヨークに行く度に坂本さんといろいろな話をしてきたんですね。それで2019年に、『TIME』という作品を作りたいんだけど、出演してもらえないかと言われて。それまで彼と何度も話をする中で、表現に対する考え方など通底するものがあったから、断る理由もないし、『やります』と返事をしました」と出演の経緯を語る。

坂本から「人類を踊ってくれ」と言われたという田中は「ショッキングなぐらい嬉しくて。すぐね、分かったと思っちゃった」と笑う。「人間も他の動物たちと同じような時代があって、徐々に人間になっていく。けれども、未だに人間って何だか分からない。平気で殺し合ったりなんかしているでしょう?人間は1つの種でありながら、人間共通のルールがまだ出来上がってない。過程を歩んでいる。そう考える中で、人類で初めて水を見た人になってみてくれないかと言われて、 やってみようじゃないかとね。図々しくも思ったんです」。

そうして臨んだ21年のアムステルダムでの初演。田中は「すごく静かで、ひたひたと進んでいくような舞台だったので、正直どう受け止められるのかなと思ったんですが、観客の皆さんが入り込んで見てくれて。すごく反応が良かった」と振り返る。

今回の日本初公演の初日は、奇しくも坂本の逝去からちょうど一年後の命日にあたる。改めて坂本の存在をどう思っているか尋ねると、田中は「なぜ人類は踊りという方法を見つけたんだろうか、踊りを始めたんだろうか。そういう踊りの本質への好奇心が僕にはあるんですが、坂本さんも音楽についてそういう好奇心があって。思考的にと言えばいいのかな…似たようなポジションで活動をしてきたからこそ、シンプルに深い共感を持てたというかね……。」と思いを馳せつつ、「彼が亡くなっていく過程を、一般の人たちよりは多分知っていたので、(死が)近づいてきたときは居ても立ってもいられなくて辛かったですね。ただ亡くなった後も、彼と話したことがまだ聞こえてるような感じがする。これは僕の習性なのかもしれないけれど、死んだということで済ませないで、ずっと生きているというか、その刺激をしてくれる声を自分で聞いてる。.....僕はやっぱり、彼を尊敬していました。今でも尊敬してます」。

観客に対しては「この『TIME』をご覧になって感じる何かが、きっと観にいらしてくれた皆さんの中に必ず住んでいると思います。その何かを見つけに来ていただきたい。楽しい思い......ひょっとしたら反対かもしれないけど、でも自分が生きているということを掴むきっかけになるかもしれません。ぜひぜひ体で足を運んで、観ていただきたいと思います」と語った。

東京公演は4月14日(日)まで。京都公演は4月27日(土)〜28日(日)、ロームシアター京都 メインホール。

取材・文:五月女菜穂
撮影:石阪大輔

<東京公演>
RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI『TIME』

音楽 + コンセプト:坂本龍一
ヴィジュアル・デザイン + コンセプト:高谷史郎

出演:
田中泯(ダンサー)
宮田まゆみ(笙奏者)
石原淋(ダンサー)

公演日程:2024年3月28日(木) ~ 2024年4月14日(日)
会場:新国立劇場 中劇場
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/time/

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