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コムロの過去や関係性の変化も描かれるシリーズ最新作

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(撮影:吉田沙奈)

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浅井さやかが作・演出・音楽を手がけるオリジナルミュージカル「One on One」。35作目となる『side-by-side』は、2021年に上演した『back-to-back』、2022年に上演した『face-to-face』に続く第3弾だ。超理論派の探偵・コムロや雑用係のワダ、情報屋で発明家のマエクラ、刑事のコグレに新たなキャラクターが加わり、「コムロ探偵事務所」で巻き起こる大波乱を描く。2月8日(木)の初日を前に、ゲネプロが行われた。

物語は、コムロ探偵事務所にオオバヤシ(泰江和明)とアケチ(佐々木 崇)がやってくることで大きく動き出す。
記憶を失くしてコムロ探偵事務所に匿われることになるオオバヤシ。とある事件に巻き込まれ、不安そうな表情が目立つ彼だが、好きなものへの愛が爆発したナンバーはユーモアと可愛らしさに満ちている。
コムロを“ロクちゃん”と呼ぶアケチは謎の多い人物だ。探偵事務所のメンバーとはまた違った距離感でコムロに接しており、二人の空気感や気の置けないやり取りが楽しい。

すっかりチームとしての一体感が生まれているコムロ探偵事務所の面々の息のあった掛け合い、軽口の叩き合いも魅力的だ。
無愛想で偏屈な探偵・コムロ(藤原祐規)は、こだわりの強さや頑固さで周りを振り回しつつ周りに振り回される様子が面白い。セリフがないシーンでもコムロの感情が想像できる表情や動きに笑ってしまう。かと思うと有能な探偵らしいカッコよさも見せ、ぐっと惹きつけてくれる。
ワダ(新 正俊)は、助手兼雑用のポジションにすっかり馴染み、コムロのわがままやスタンドプレーに喝を入れる場面も。穏やかだが芯の強いキャラクターを魅力的に演じていた。
マエクラ(田村良太)は、飄々とした雰囲気の中に思惑や本音を覗かせ、コミカルなシーンと人間ドラマの緩急を見事に見せる。 コグレ(千田阿紗子)も、コムロと衝突したり周囲の突飛な言動にツッコミを入れたりとコメディ要素を担いつつ、変人揃いの事務所を温かく見守っていた。
コムロ探偵事務所のメンバーで様々な事件に向き合ってきたことで生じたコムロの変化、ワダやマエクラ、コグレがコムロに向ける思いや信頼の変化といった人間ドラマもグッとくる。

また、本作のメインテーマや事件についてのクールな楽曲からキャラクターの心情をしっとり聴かせる曲、ユーモラスでコミカルなものまで、曲調も多彩。
舞台上にいるのはたった6名だが、豊かで複雑なハーモニーが6名以上いるのではないかと思わせる深みを楽曲に与えている。曲の魅力を底上げするダンス、細やかに作り込まれた衣装やセットも見応え十分だ。

これまでの作品に登場したハトムラやカネダイチ、アンドウの話題も出てくる他、コムロの過去が少し明かされたり、コムロ探偵事務所メンバーに起きている変化が描かれたり。シリーズファンにとって嬉しい繋がりがあるだけでなく、初めて観る方もコムロ探偵事務所の歴史やシリーズの広がりを感じられるようになっている。
さらに、ラストまで観終えたことで伏線だったとわかる雑談や単語も。ストーリーを理解した上でもうじっくり一度観たいと感じた。
本作は2月8日(木)から18日(日)まで、赤坂RED/THEATERにて上演。2月17日(土)17:00公演はライブ配信も行われる。

取材・文・撮影:吉田沙奈

<公演情報>
One on One 35th note『side-by-side』

公演日程:2024年2月8日(木)~2月18日(日)
会場:赤坂RED/THEATER
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/one-on-one35th/

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