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「パレード」藤井道人、作品を背負ってくれた長澤まさみは「人間として尊敬する俳優」

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藤井道人

Netflix映画「パレード」の完成披露試写会が2月14日に行われ、監督・脚本を担当した藤井道人、本作のオフィシャルライター・SYOがティーチインに登壇した。

本作では、旅立ってしまった人の目線で、遺された人への思いや愛が紡がれる。未練を残してこの世を去った主人公の美奈子は、月に一度死者たちが集い、それぞれの会いたかった人を探す“パレード”に参加する。美奈子役で長澤まさみが主演を務めたほか、坂口健太郎、横浜流星、森七菜、田中哲司、寺島しのぶ、リリー・フランキーらもキャストに名を連ねた。

製作の経緯について、藤井は「去年急逝した(映画プロデューサーの)河村光庸は、大人になって初めてできたおじいちゃんの友達みたいな人。『藤井、次はこういうのがやりたいんだ』と言われ、(2022年)11月に撮影しようとしている中で彼がいなくなってしまってみんな路頭に迷ったんですが、自分の中では『完成させたい』という思いがありました」と述べ、「彼の死後2日後ぐらいに熱海に行き、誰に頼まれたわけでもなく、3日間とかで感情だけで書き上げた脚本が原型になっています」と説明する。主演・長澤のキャスティングについて話が及ぶと、「実は僕、長澤さんの中学の1つ上の先輩で、当時も知っていたんです。いつか映画の仕事ができたらなと思っていて、河村さんが『MOTHER マザー』という映画で長澤さんとご一緒していたこともあり、今回お願いしました」と明かした。

撮影は2022年末から2023年1月にかけて行われた。現場での俳優陣について藤井は「みんな楽しんでいて、ムードメーカーの方がたくさんいた。リリーさんがみんなをまとめてくれて、しのぶさんが『寒いねー!』と声を上げて(和ませて)くれる。坂口くんは飄々としているけど、つらいときは場を盛り上げてくれるんですよね」と述懐。また「長澤さんは作品を背負ってくれる方。僕は、映画が失敗したら自分の責任、と取り憑かれたように思っていたのですが、『主演として私も同じように背負っているんです』と考えてくださっている、人間として尊敬できる俳優だなと思いました」と語った。

主題歌・劇伴を担った野田洋次郎とは、藤井の監督作「余命10年」に続くタッグとなる。藤井は「野田さんの音楽に励まされて作品を作ってきた人間なので、ダメもとでお願いしたら、撮影前に主題歌『なみしぐさ』のもとになる『美奈子』という曲を作ってくれて。お守りのようにそれを聴きながら撮影していた思い出があります」と振り返った。

SYOが「脚本を読んだとき、美奈子が亡くなっていることを観客にわからせるシーンをどう表現するのか、テキスト上ではわからなかった。周りの人がぱっと消える演出はけっこう試行錯誤されたってお話ししていましたよね?」と聞くと、藤井は「めちゃくちゃしました。CG部と、『手がすり抜けるってどうなんだろう』『次元が違うことを表現するにはどういう映像が適切なんだろう』とか何百通りも考えたんですけど、今回は極力“ザ・CG”みたいにはならないようにしました」と話す。また、ビジュアル面では“光”というテーマを掲げていたといい、「映画は光と影の芸術だなと思う。自分にとっては“つながる”“バトンを受け取る”といった瞬間を、光として自分の中で受け止められる人生でいたいなという思いがあり、テーマに選びました」と伝えた。

最後に藤井は「この世界で長く映画を作っていけるかわからないですが、『もっと自由でいいな』と思ってこの映画を作りました。周りの方々に薦めていただき、広めていただけると幸いです」と真摯に呼びかけ、イベントは終了した。

「パレード」は2月29日からNetflixにて世界独占配信される。