Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > ワーグナーの第一人者が揃い踏み。二期会タンホイザー

ワーグナーの第一人者が揃い踏み。二期会タンホイザー

クラシック

ニュース

チケットぴあ

写真提供:公益財団法人東京二期会 撮影:寺司正彦

続きを読む

フォトギャラリー(9件)

すべて見る

2月28日(水)に初日を迎える東京二期会のワーグナー《タンホイザー》(東京文化会館)。世界的なワーグナー指揮者アクセル・コーバーが待望の初来日。そして現代屈指のヘルデンテノールであるサイモン・オニールも二期会初登場、かつ、なんとこれがタンホイザー初挑戦。貴重な機会に立ち会える、期待の上演だ。都内の稽古場でふたりが会見を開いた。

(アクセル・コーバーの話)
《タンホイザー》を考える時に最も重要なのは、これがワーグナーの初期の作品であるということ。彼はアルベルト・ロルツィングやメンデルスゾーンの、軽い「シュピールオーパー」の伝統から出発している。だから《タンホイザー》も、そちら側の視点から見るべきであり、のちの時代の視点から振り返って見るのはよくないだろう。もちろん、たとえば第3幕の「ローマ語り」のシーンなどには、すでに後期を予告するものも現れているが、初期作品であるという見方を忘れてはならない。
一方、第1幕のヴェーヌスベルクのシーンは、初稿のドレスデン版(1845年初演)とパリ版(1861年改訂)を比べると、ハーモニーも半音階主義の扱いもまったく違っているのが興味深い。
このように《タンホイザー》という作品は、「ワーグナー」というひとくくりの見方をするのではなく、この部分は初期、ここは後期と、分けて見ていかなければならないのだ。
まだ稽古5日目だが、二期会の歌手の皆さんの役に対するアプローチは素晴らしい。私の理想を押し付けるのではなく、歌手やオーケストラがどんな演奏をするのかを理解して、ベストな《タンホイザー》を作りたい。

(サイモン・オニールの話)
ワーグナーのテノールの役をすべて歌ってきた最後に、この役のロール・デビューを、偉大なバイロイト・マスターとご一緒できるのは幸せだ。ジークフリートやトリスタンはエヴェレストのような高みにある役であり、その頂点にあるのがタンホイザーだと思っている。
タンホイザーに挑むには規律(discipline)が重要だ。この役を歌うテノールはモーツァルトも歌えなければならないし、シューマンの歌曲も歌えなければならない。そのうえで、後ろのポケットにジークフリートの剣(のような鋭い声)も備え持っておかなければならない。ロマン派のオペラだが古典のテクニックが必要で、もし力で歌い始めてしまったら、絶対に最後まで持たないだろう。
私の楽譜には第2幕のエリーザベトとの二重唱のところに「シューベルトのように歌う」というメモがあり、第3幕には「後期のワーグナーを意識して歌う」と書いてある。音楽を理解して、アプローチを変えなければならない。そのように、あらゆる色を出さなければならないのがこの役の難しいところで、美しいトーンで歌うために、色、規律、テクニックが必要だ。
ヴェーヌス役の林正子さんは、常に場の緊張感を保つ力を持っていて素晴らしい。エリーザベトの渡邊仁美さん、(Wキャストの)梶田真未さんは表情が豊かなので、私は演技を忘れて自然にリアクションするだけで、その場に生きることができる。Wキャストで一緒にタンホイザーを歌っている片寄純也さんにも敬意を表したい。互いに学ぶことも多く、とても楽しいプロセスになっている。

演出はキース・ウォーナー。2021年の上演時にもその美しさが話題になった舞台は、ただ美しいだけではなく、多様な受け止め方のできる、深みのある解釈が埋め込まれているのがウォーナーらしいところ。

東京二期会の《タンホイザー》は2月28日(水)、29日(木)、3月2日(土)、3日(日)。オニールの出演は2月28日(水)と3月2日(土)。管弦楽は読売日本交響楽団。

取材・文:宮本明
写真提供:公益財団法人東京二期会
撮影:寺司正彦

<公演情報>
東京二期会オペラ劇場 タンホイザー

公演日程:2月28日(水)16:00開場/17:00開演
2月29日(木)13:00開場/14:00開演
3月2日(土)13:00開場/14:00開演
3月3日(日)13:00開場/14:00開演
会場:東京文化会館 大ホール
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2346625

フォトギャラリー(9件)

すべて見る