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物理学者の決断が歴史を動かす……。映画『オッペンハイマー』を取り巻く時代背景とは

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『オッペンハイマー』 (C)Universal Pictures. All Rights Reserved.

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キリアン・マーフィー、ロバート・ダウニー・Jr.、エミリー・ブラント、マット・デイモンらが出演する映画『オッペンハイマー』が3月29(金)から公開になる。本作は、実在の物理学者ロバート・オッペンハイマーが主人公だが、彼の物語と彼が生きた激動の時代は切っても切り離せないものだ。

本作の主人公J・ロバート・オッペンハイマーは1904年生まれ。幼い頃から学問に興味を持っていたというが、10歳のときに第一次世界大戦が始まった。

第一次世界大戦(1914-1918)では、戦争に科学技術が大胆に導入された。飛行船による爆撃、毒ガスの使用、無線を駆使した情報戦、潜水艦を用いた攻撃……戦場は市街地にまで拡大し、市民を巻き込んだ大量殺戮の時代が到来した。その結果、それまで以上に科学者、特に物理学者が戦争に与える影響が大きくなった。国家間の競争が激しくなり、彼らの成果が戦争の行方を左右するかもしれないからだ。

オッペンハイマーは大学で学び、やがて教鞭をとるようになるが35歳のときに第二次世界大戦が勃発。ユダヤ系アメリカ人の物理学者であった彼は、ナチスドイツに対抗するために、アメリカの国家プロジェクト「マンハッタン計画」に参加することになる。映画『オッペンハイマー』ではおそらく、このあたりのドラマが描かれることになるだろう。

大戦終結後、世界はアメリカを中心とする西側陣営と、ソビエト連邦を中心とする東側陣営の勢力争い“冷戦”時代に突入。西側では、国内に共産主義・社会主義を支持する者がいるのではないかという疑心暗鬼が巻き起こり、“赤狩り”と称して、多くの人が告発や尋問され、監視が行われた。

J・ロバート・オッペンハイマーも、50歳のときにソ連のスパイではないかと容疑をかけられてしまう。彼はそれを否定するが、疑惑は晴れることはなく、彼には62歳で亡くなるまで監視の目が注がれたという。

オッペンハイマーは歴史が大きく動いた時代に生まれ、その生をまっとうした。物理学者として常に時代の波に翻弄され、自問自答を続けたのではないだろうか。本作を手がけたクリストファー・ノーラン監督はこう語る。

「私が(この映画で)したかったのは、歴史の大転換期の絶対的中心にいた人物の、魂と経験の中に観客を導くことだ。好むと好まざるとにかかわらず、J・ロバート・オッペンハイマーは未だかつてない最重要人物だ。彼は良くも悪くも私たちが生きる今のこの世界を作り出した。彼の物語を信じるには、それを目にするしかない」

私たちは映画館のスクリーンを通じて、今のこの世界を作り出したオッペンハイマーと、彼の魂、そして彼が生きた時代と向き合うことになるだろう。

『オッペンハイマー』
3月29日(金)公開
https://www.oppenheimermovie.jp/

(C)Universal Pictures. All Rights Reserved.