松坂桃李、役所広司、芳根京子が共演 小泉堯史が吉村昭の小説「雪の花」映画化
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左から芳根京子、松坂桃李、役所広司。
松坂桃李、役所広司、芳根京子共演で吉村昭の小説「雪の花」が「雪の花 —ともに在りて—」のタイトルで映画化。「雨あがる」「峠 最後のサムライ」などで知られる小泉堯史が監督を務め、2025年1月24日に全国公開される。
吉村が1988年に発表した「雪の花」は江戸時代末期を舞台に、数年ごとに大流行して多くの人命を奪う天然痘と闘った1人の町医者の実話を描いた物語。天然痘の確実な予防法が異国から伝わったと知った福井藩の町医者・笠原良策は、京都の蘭方医・日野鼎哉(ひのていさい)に教えを請い、私財を投げ打って種痘の苗を福井に持ち込む。予防法成功のためさまざまな困難にぶつかってもあきらめず、妻・千穂の支えの中、流行病と闘い続ける良策。本作では、日本を本気で救おうと立ち上がり、自らの利益を顧みずに天然痘に侵された実在の町医者の姿を通し、生きる希望が問いかけられる。
2019年に公開された「居眠り磐音」以来の時代劇参加となった松坂が良策役で主演。「PERFECT DAYS」で第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門の最優秀男優賞を受賞した役所が日野鼎哉、松坂とは「居眠り磐音」以来2度目の共演となる芳根が千穂を演じる。
松坂は「わからないもの程怖いものはない、そんな未知の病と戦った一人の町医者が繋いだ希望。懸命に命と向き合う笠原良策の姿を『雪の花』という作品を通して観ていただきたいです」とコメント。役所は「今の時代があるのも、色々な人たちが命をかけて頑張った結果なのだろうなと、そんな想いをこの映画を通して感じていただきたいです」と、芳根は「こういった歴史があるから今があるということを是非感じていただきたいです」と願いを込める。
そして小泉は「今や、品位を敢えて失わせようとする文化が、消費と手を結び、勝手気ままに振る舞っています。それによって破壊されるのは、道義的な美しさです。言葉や行ないの立派さは、美しさがあればこそ、時の移り変わりに、耐えることが出来ると謂います。良策との出合いは、歴史を鑑とし、少しでも良きものになれるかもしれないと、私達に希望や勇気を示し、道を清々しく照らしてくれるのでは、と思っています」とつづった。
松坂桃李 コメント
非常に身が引き締まる思いです。時代劇に参加するのは「居眠り磐音」以来。約5、6年の時間が経っていますが、小泉堯史監督のもとで演じさせてもらえるということが、僕にとっては非常に光栄でした。そして、今回、再共演となる役所広司さんはじめ、素敵なキャストの方々と共演させてもらえたのは何より心強かったです。わからないもの程怖いものはない、そんな未知の病と戦った一人の町医者が繋いだ希望。懸命に命と向き合う笠原良策の姿を「雪の花」という作品を通して観ていただきたいです。
役所広司 コメント
小泉監督の作品にはどんな形でも参加したいと思っていたので、声をかけていただき是非参加させてほしいとお答えしました。松坂くんとは何度かご一緒していますが、良策という役は本当に心の澄み切った青年で、松坂くんにぴったりだと思いました。今の時代があるのも、色々な人たちが命をかけて頑張った結果なのだろうなと、そんな想いをこの映画を通して感じていただきたいです。
芳根京子 コメント
小泉堯史組に参加するのは2度目だったのですが、千穂という素晴らしい役に呼んでいただけてとても光栄でした。と同時に、自分に務まるのかすごく不安でしたが、小泉監督から優しさと強さを大切にしてほしいと導いていただきました。今回は殺陣や太鼓、調薬など撮影前から毎日必死に役作りを準備してきましたが、時間をかけた分より丁寧に演じられたと思います。松坂桃李さん演じる良策とも素敵な時間を積み重ねることができました。こういった歴史があるから今があるということを是非感じていただきたいです。
小泉堯史 コメント
映画監督として、歴史の上で出合った実在の人物は、「明日への遺言」の陸軍中将・岡田資。「峠 最後のサムライ」の長岡藩家老・河井継之助。そして、この度の「雪の花」福井藩町医者・笠原良策。
いづれも、己を無に帰し、事に当たった男達。
小林秀雄さんは「無私の精神」で、次のように書いています。「実行家として成功する人は、自己を押し通す人、強く自己を主張する人と見られがちだが、実は反対に、彼には一種の無私がある。空想は孤独でも出来るが、実行は社会的なものである。有能な実行家は、いつも自己主張より物の動きの方を尊重しているものだ。現実の新しい動きが看破されれば、直ちに古い解釈や知識を捨てる用意のある人だ。物の動きに順じて自己を日に新たにするとは一種の無私である」と。
江戸末期、福井に生きた町医者・笠原良策に、無私の美しい精神を感じます。努力を積み重ね、勇気を持ち、己を捨てて誠実に働く良策の姿は、永遠に価値ある歴史を生み、現在に生きる私達の心に、強く働き懸けてくれます。歴史は、決して進歩するものではありません。歴史は自然と共に、いつも同じものと戦っているのです。
今や、品位を敢えて失わせようとする文化が、消費と手を結び、勝手気ままに振る舞っています。それによって破壊されるのは、道義的な美しさです。言葉や行ないの立派さは、美しさがあればこそ、時の移り変わりに、耐えることが出来ると謂います。
良策との出合いは、歴史を鑑とし、少しでも良きものになれるかもしれないと、私達に希望や勇気を示し、道を清々しく照らしてくれるのでは、と思っています。