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若冲の白象や蘆雪の子犬も「仏教」に着目し多彩な江戸絵画を紹介 『ほとけの国の美術』3月9日から

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曽我蕭白《雪山童子図》松阪市・継松寺(後期展示)

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個性豊かな画家たちの作品が人気を集めている江戸絵画。その江戸絵画を様々な切り口で紐解く展覧会を定期的に開催する東京の府中市美術館で、3月9日(土)から5月6日(月・祝)まで、当時の画家たちの制作の根底にあった「仏教」をキーワードとした企画展が開催される。

『ほとけの国の美術』という展覧会名を聞くと、仏教伝来時から歴史を重ねてきた仏像や仏画などの「仏教美術」を思い浮かべるかもしれないが、同展に登場する作品の多くはそうした仏教美術とはちょっと違うのだという。当時の画家や鑑賞者の多くが仏教と密接な暮らしをしていたという観点から、制作の根底に「仏教」があったことから生まれた多彩な表現を紹介することに焦点があてられているのだ。

たとえば、死んだらどこへ行くのかを、経典に書かれた文字だけではなく「目で確かめたい」という人々の気持ちから生み出されたファンタスティックな浄土の絵や、恐ろしくも迫真的な地獄図。「常識を超えよ」と説く禅の精神を伝えるために、どこか変な絵やかわいい絵になってしまった「禅画」。寒山拾得(かんざんじっとく)や布袋(ほてい)さまなど、本来は真面目な信仰対象なのに、なんだかおかしなキャラクターになってしまった人物や仏さまなど、楽しい絵画が並ぶのが同展の魅力だ。

興味深いのは、若冲(じゃくちゅう)が描いたユニークな白象の絵や、応挙や蘆雪(ろせつ)の無邪気な子犬の絵も、仏教がなければ生まれなかったらしいこと。お釈迦様の死を動物たちもともに嘆く涅槃図(ねはんず)にも見られるように、「動物にも人と同じ心がある」という、古くから人々の心を包みこんできた仏の教えが、動物の命を思いやり、絵の中の動物を愛おしむ文化を生み出したと考えられるのだそうだ。今回は、その蘆雪が珍しく大きな屏風にたくさんの子犬を描いた新発見の作品が初公開されるのも話題となるだろう。

なお、同展では、江戸時代の作品に加え、昨年修理を終えたばかりの室町時代の仏画の大作、京都市・二尊院の《二十五菩薩来迎図》全17幅のほか、近世以前の仏教美術の優品も展示される。来迎図から若冲、そして応挙や蘆雪の子犬の絵まで、「ほとけの国」で生まれた、美しく、愛らしく、アイディアに溢れた多彩な作品を楽しみたい。

<開催概要>
『春の江戸絵画まつり ほとけの国の美術』

会期:2024年3月9日(土)〜5月6日(月・振) ※会期中展示替えあり
会場:府中市美術館
時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(4月29日、5月6日は開館)
料金:一般700円、大高350円、中小150円
公式サイト:
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakutenkaisai/exhibition_2023_5_hotoke.html

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