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戸塚祥太らが描く、家族の愛と再生の物語が開幕

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(撮影:吉田沙奈)

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劇団ONEOR8の田村孝裕による最新作『緑に満ちる夜は長く・・・』は、ひとりで子供たちを育てた母の死に揺れ動く四兄弟の葛藤を描く物語だ。主演はA.B.C-Zのメンバーで俳優としても活躍する戸塚祥太。さらに、加藤虎ノ介、山口森広、溝口琢矢、坂田聡、高橋由美子ら、人気と実力を兼ね備えたキャストが集結した。

初日を前に行われた囲み取材には、戸塚祥太、坂田聡、高橋由美子が参加した。
戸塚は「準備は万端です。明日の初日に向けていいスタートを切れている感じがしますね」と自信をのぞかせる。稽古場エピソードとして「バレンタイン前日に高橋さんからチョコレートをいただきました。僕は公演をやり切ったご褒美にとってあります」と戸塚が話すと、高橋は「もうちょっと高いのにしておけばよかった」と苦笑。

今回の役について聞かれた戸塚は「僕は緑川家の三男。幼い頃のトラブルによってコミュニケーション障がいを抱えており、それがきっかけで家族間のコミュニケーションも円滑に進まなくなっている。一言でいうと問題児です」と話し、高橋は「四人兄弟の母親です。男の子がいるご家庭なら大変さがわかると思いますが、深すぎるほどの愛情を注いで育てた母。そんな彼女のお葬式の日の話です。ステージ上にあるのは私のお棺です」と説明。坂田は「僕はドカジャンを着てやってきた男。7回ほど土下座をします(笑)。土下座の練習をしていたので、素晴らしい土下座をお見せできると思います」とユーモアを交えて語った。

今回の物語について聞かれた戸塚の「家族という小さな世界の中でも白黒つかないグレーな部分はある。それもひっくるめて、母の死によって四兄弟がこれからの家族の在り方に向き合い、再生していくような物語です」という言葉を、高橋と坂田は「素晴らしい! 全部言われちゃった(笑)」と称賛。高橋の「家族の愛の色々な形をお見せできると思います」という言葉に坂田も「まだまだ寒いですが、見終えた後温かい気持ちになれると思います」と頷いた。

コミュニケーション障がいを抱えるキャラクターを演じる上で、戸塚は関連する書籍なども読みながら役作りをしたという。「具体的に、(相手の)顔や目を見る・見ないなどで表現しています。基本的に無表情なので、ストレートに伝わりづらいかもしれません」と語り、「見終わった後それぞれのお客様が何かしら持ち帰ることができる作品だと思います。ぜひ劇場に遊びにきてください」と締め括った。

戸塚は会見で「伝わりづらいかもしれない」と語っていたが、ユウの独白と繊細な芝居で心の揺れや兄弟たちとの微妙な溝を丁寧に見せていた。

コミュニケーション障がいを抱える前からこだわりが強く一途なユウ、絶妙に間の悪い長男のゴウ(加藤虎ノ介)、口さがない次男のカイ(山口森広)、空気を読みつつ気ままさもある四男のケイ(溝口琢矢)という四兄弟を、母・アキナ(高橋由美子)は深い愛情で包む。そして、母の遺品である金庫を開けるために呼ばれたベテラン鍵屋(坂田聡)は、情けなさとユーモアを併せ持ち、存在感を放っている。

母と四兄弟の貧しくも穏やかな日々が描かれるぶん、ある事件によって変わっていく日常や各々の気持ちが切ない。不条理な出来事もあり、シリアスなトーンで進む物語だが、事件が人形劇でポップに表現されていたり、ゴウの間の悪さがコミカルな展開を巻き起こしたりと、重苦しい雰囲気はない。会見で戸塚たちが話していた通り、どこかあたたかい気持ちで劇場を後にできるのではないだろうか。

取材・文・撮影:吉田沙奈

<公演情報>
『緑に満ちる夜は長く・・・』

公演日程:2024年3月1日(金)~17日(日)
会場:新国立劇場 小劇場
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/midori-stage/

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