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『半分、青い。』に新たな風を吹かせる存在に 間宮祥太朗、観客を物語世界へ誘導する素養

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リアルサウンド

 鈴愛(永野芽郁)の前に、新たな恋の相手として突如現れた森山涼次(間宮祥太朗)。後半戦までやってきた『半分、青い。』(NHK)は「人生怒涛編」へと突入し、視聴者を味方につけて奮闘する鈴愛は、今や“ニッポンのヒロイン”といった印象も強いのではないだろうか。そこへやってきた、“歌舞伎俳優のような”凛々しい顔立ち、そして夢追い人としての情熱、少しとんまだけれどそれを愛くるしい魅力に変えてしまう涼次を演じる間宮は、『半分、青い。』において、ひいてはニッポンの朝に、新たな風を吹かせる存在となりそうだ。

【写真】間宮祥太朗演じる愛されキャラの涼ちゃん

 放送開始から大きな盛り上がりを見せ続けてきた本作だが、間宮や、その師匠役を演じる斎藤工らのキャスト発表にはさらなる盛り上がりを見せ、SNSをはじめとして期待の声が方々から上がっていた。

 間宮と言えば、昨年は主演ドラマ『お前はまだグンマを知らない』(日本テレビ系)や、ティーン層を中心に圧倒的支持を得た『僕たちがやりました』(関西テレビ・フジテレビ系)などで大きな存在感を示し、出演映画も4本公開された。そのうち1本の『全員死刑』では映画初主演を務め、作品そのものを単独で背負う力を持っていることも証明した。

 今年に入ってからも、木村拓哉主演ドラマ『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)や、映画『不能犯』、さらにはもう間もなく放送開始となる『ゼロ 一獲千金ゲーム』(日本テレビ系)に本作『半分、青い。』と、ノリにノッている。たとえばあの三船敏郎などのような往年の日本の映画スターたちを彷彿とさせる力強いまなざしに、色気と愛嬌が同居した独特の品格、そして何より硬軟自在な演技の幅を持つ彼は、今後いっそう将来を嘱望される若手俳優の1人だと言っても過言ではないだろう。

 そんな間宮が今作で演じる涼次は、なかなかに“おバカ”な印象は否定できないものの邪気がなく、鈴愛と同じように周囲を惹きつけては味方にしていく、どうにも憎めない人物だ。老若男女が観る朝ドラは他のドラマや映画と比べ、ある程度の“わかりやすい”トーンでの芝居が要求されるように思うのだが、間宮が“ハッキリと伝える芝居”に長けていることは過去作を振り返ってみれば十分な証拠が見つかるだろう。

 先に触れた『僕たちがやりました』や、昨年の公開作である『トリガール!』など、いずれも振り切れたテンションでの役どころが強い衝撃を生み出していたが、オーバーアクトににはならない絶妙なさじ加減で、観客たちを物語世界へ誘導するという大役を担っていたように思う。今回の涼次役でもまた中心に立ち、作品の印象を大きく左右しかねないポジションであることから、やはり彼がそういった素養を持ち得た俳優であることが作り手たちの間では周知の事実であることがうかがえる。

 間宮が登場したのが新章へと突入するタイミングであったこともあるが、涼次の個性的なキャラクター性と演じる間宮の存在感とが影響し、作品の感触も変わり始めているのではないだろうか。鈴愛をときめかせた朝井正人(中村倫也)、萩尾律(佐藤健)、秋風羽織(豊川悦司)、彼らの“ロス”を超え出てきた涼次のこれからの動向に注目である。

 漫画家の道を自ら絶ち、親愛なる律の存在もなくなった鈴愛にとって、もっとも心が休まり、信頼できる存在である涼次。2人が家族になるということであれば、“鈴愛と誰か”との関係性の中で、今までは見ることのできなかった彼女の姿や言葉を知ることができそうだ。それを引き出してくれるのは涼次だろう。涼次/間宮の登場によってますます変わる『半分、青い。』から、目が離せない。

(折田侑駿)