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斎藤工×白石和彌「麻雀放浪記2020」現場レポ、トンデモ映画に込めたメッセージとは

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「麻雀放浪記2020」メイキング写真より、坊や哲役の斎藤工(左)と白石和彌(右)。

斎藤工が主演、白石和彌が監督を務める「麻雀放浪記2020」の撮影現場に、映画ナタリーが密着した。

1984年に和田誠によって映画化されたことでも知られる阿佐田哲也の小説「麻雀放浪記」を、大胆にアレンジした本作。劇中では1945年、「あがった者は死ぬ」という迷信のある役満・九蓮宝燈をそろえた主人公の坊や哲が、雷に打たれてタイムスリップしてしまう。戦争でオリンピックが中止となった2020年の東京にやって来た坊や哲は、麻雀の腕一本だけで、新たな“戦後日本”に立ち向かっていくこととなる。

撮影が行われたのは2017年12月の東京・東映撮影所。佐藤佐吉が手がけた脚本のコンセプトを、白石は「コメディでありおバカ映画なんですが、非常にメッセージ性の強い作品。和田誠版『麻雀放浪記』という日本映画史に残る大傑作とは、同じ土俵で勝負できないと最初からわかっていた。やる以上は振り切ったほうがいいという思いで、目指しているのはトンデモ映画です!」と語る。生涯のベスト映画として和田版「麻雀放浪記」を挙げていた斎藤は、同作のリメイクを切望していた阿佐田の妻・色川孝子からの指名もあり、本作の主演に。「ルックとしては『なんだこれ!?』と思われるかもしれないですが、実は脚本には(和田版の)あの時代と今の時代の共通点や、僕らが失ってしまったものを突き付けてくる部分があるんです。観た人も『他人事じゃないな』と思うはず」と話した。

坊や哲役の斎藤は、ボロボロの学ラン衣装で現場入り。この時点で36歳だった斎藤が20歳の童貞を演じるものの、あえて特殊メイクなどで若作りはしないという部分に潔さを感じさせる。そしてヒロイン役を務めるチャラン・ポ・ランタンのももが、メイド服姿で姿を現した。2020年にやって来た坊や哲を拾う地下アイドル・ドテ子役のももは、警察と取っ組み合いになる演技にも、髪を振り乱しながら果敢に挑む。普段はアーティストとして活動する彼女を、斎藤は「女優力が素晴らしい。ここまで大きい役を務めたことはなかったという彼女を、白石さんがここに導いたという意味でも、映画で誰かの人生が変わるところを見た気がしていて。ドテ子のために生まれてきたような人です」と絶賛する。そんなももの後ろでは、ドテ子が所属する芸能プロダクションの社長・クソ丸役の竹中直人が、簡単に人を裏切る“クソ野郎”だがどこかチャーミングなキャラクターとして強烈な存在感を放っていた。

本作は常時20台のiPhoneを駆使して全編が撮影されている。将棋を題材とする「3月のライオン」も手がけたプロデューサーの谷島正之は、まず白石を監督に起用した理由を「白石監督は泥臭くて迫力がある、バイオレントな画が得意。将棋と同じく四角四面で動きのない麻雀を、どうすればスペクタクルな映像にできるかを考えたとき、白石監督にお願いしたいと思った」と説明。そしてiPhoneを用いた意義については、アングルパターンの少ない麻雀シーンでは機材の小型軽量化が大きな意味を持つと明かし「そこでiPhoneならではのアングルが生きてくる。例えば役者にiPhoneを持って演じてもらえば、麻雀牌の視点から映像が撮れるんです」と解説する。

また対局シーンの現場には、和田版にも登場する雀士・ドサ健役の的場浩司、出目徳役の小松政夫、八代ゆき役のベッキーも参加した。共演陣に関して斎藤は「すごい具材を集めた闇鍋みたい(笑)。“白石監督×プレイヤー”で新しいものが生まれている」とコメント。ベッキーは熱心に麻雀を勉強しているとのことで、白石は「和田版で加賀まりこさんがやった“元禄積み”を同じカメラワークでやるために、すごく練習していた。ハマりすぎて、そのうちプロ雀士になるんじゃないかってくらいの勢いでした(笑)」と紹介した。

取材の最後に、斎藤は「この映画を観たら、九蓮宝燈を出そうとしてる人はドキドキすると思う」と笑う。そして白石は「みんな顔芸で勝負しているところがあるので、麻雀がわからない人でも楽しめると思う。これ、続編もありますから。目指せ『ワイルド・スピード』!(笑)」と威勢よく話した。

「麻雀放浪記2020」は4月5日より全国ロードショー。

(c)2019「麻雀放浪記2020」製作委員会