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向井秀徳が“首振りダンス”連発!ZAZEN BOYSの鉄壁アンサンブルにTDCホール熱狂

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向井秀徳(Vo, G)(撮影:菊池茂夫)

ZAZEN BOYSが、全国ツアー「ZAZEN BOYS TOUR MATSURI SESSION 2024」の東京公演を2月28日に東京・TOKYO DOME CITY HALLで開催した。

約12年ぶりの新譜となるニューアルバム「らんど」を、1月24日にリリースしたZAZEN BOYS。1月20日の岡山・YEBISU YA PRO公演を皮切りにスタートした「ZAZEN BOYS TOUR MATSURI SESSION 2024」は同作を引っ提げて行うツアーで、TOKYO DOME CITY HALLでの公演は立見席まで完売。新譜に心躍らせ、現在進行形のZAZEN BOYSの姿を見届けようと集まった2500人のファンで客席は埋め尽された。

「俺だったら座るよね」

定刻を少し回った頃、SEは流れず無音の中、向井秀徳(Vo, G)、吉兼聡(G)、MIYA(B)、松下敦(Dr)のメンバー4人がステージに姿を現した。椅子から立ち上がったオーディエンスに大きな拍手で迎えられると、向井はアサヒスーパードライの缶をグビっと煽り、「せっかく椅子がありますんでお座りください。腰がやられますからね。俺だったら座るよね」と、観客の腰をいたわるように着席を促して笑いを誘う。

「MATSURI STUDIOからやってまいりました、ZAZEN BOYSです」というお決まりの挨拶に続き、ライブは「らんど」をなぞるように「DANBIRA」で開幕。軽快なギターのカッティングが響き、観客は待ってましたとばかりに体を揺らす。そして、松下の大きな声のカウントに続くジャムセッションを挟んだ「HIMITSU GIRL'S TOP SECRET」では、バンドが初期から研ぎ澄ませ続けてきた鉄壁のユニゾンで圧倒した。

繰り返される“首振りダンス”

「バラクーダ」では向井がギターを置き、「ピンクタイガー」「アリゲーター」という歌詞に合わせて、動物の動きを躍動感たっぷりに表現。さらには新しい学校のリーダーズ「オトナブルー」に登場する“首振りダンス”のようなアイソレーションの動きも取り入れて沸かせる。この“首振りダンス”は向井の中でブームなのか、この日は「COLD BEAT」「ポテトサラダ」でも披露していた。

妖しげなムードを放った「天狗」を終えると、飲み終えたビール缶を投げ捨てる向井。2本目のビールを煽りつつ突入した「This is NORANEKO」では4人がグルーヴィな掛け合いで魅せ、「SI・GE・KI」ではドラムンベースのようなビートに乗せて、向井が高速の歌詞を畳み掛ける。

「皆さんが吉岡里帆さんに見えてきました」

セットリストの折り返し地点に差し掛かったところで、「ZAZEN STUDIOからやってまいりました。MATSURI BOYSです」とおどける向井。さらに「男性女性関係なく、すべての皆さんが吉岡里帆さんに見えてきました。そういう時間帯になってきました」と語って笑わせる。

「COLD BEAT」では、バンドの真骨頂といえるキレのいい演奏が絡み合い、キメが繰り返されるたびに観客から大きな歓声が上がる。MIYAと松下はそれぞれ向井に名前を紹介されると、熟練したスキルでソロパートを披露した。リズミカルなフロアタムのビートで始まった「Honnoji」では、変拍子に乗せた楽器隊の掛け合いとめまぐるしい展開で圧倒。そして向井の手元のビール缶はついに3本目に。「Weekend」では吉兼がディストーションを効かせてギターをかき鳴らし、場内を轟音で包み込んだ。

サウナーではなくオフロー

会場のほど近くにある天然温泉・Spa LaQuaへは、MATSURI STUDIOから自転車に乗ってよく訪れているという向井。サウナよりは湯船に浸かるほうが好きだそうで「私はサウナーではなくオフローなんです」と語ったあと、「自転車でうろつき回ってるときの風景を曲にした」と紹介して「YAKIIMO」へ突入。観客の脳内を夕焼け色に染め上げた。

本編を終えたところで、ちょうど2時間が経過。その間4人は淡々と、しかし静と動を縦横無尽に行き来するように、一時もブレることなく、すさまじい集中力で鋭い演奏を披露し続けた。アンコールでまず届けられたのは、「らんど」のリード曲である「永遠少女」。戦争について歌われるこの曲では、バンドのアンサンブルは別の場所にギアを入れたようにすごみを増し、観客も食い入るようにステージを見つめていた。

MCで何度も来場の礼を伝え、3階席まで指を差して上階の客とも目を合わせていた向井。「らんど」リリースに際した音楽ナタリーのインタビューで彼は、「音楽を、テレキャスターを通してコミュニケーションを取りたい」と語っていた。その思いを象徴するように、「COLD BEAT」や「Honnoji」「Weekend」では観客とハンドクラップで息を合わせ、ラストナンバーの「KIMOCHI」では観客にアカペラで歌唱を委ねて曲を締めくくる。ストイックで朴訥なステージでありながら、演者と観客の心が通う感覚を何度も味わえる2時間強だった。

「ZAZEN BOYS TOUR MATSURI SESSION 2024」は今後、6月8日の北海道・札幌PENNY LANE24公演まで11公演開催。5月26日には東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)にてZAZEN BOYS、KIMONOS、向井秀徳アコースティック&エレクトリックによる「THE MATSURI SESSION」が行われる。

セットリスト

「ZAZEN BOYS TOUR MATSURI SESSION 2024」2024年2月28日 TOKYO DOME CITY HALL

01. DANBIRA
02. HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
03. RIFF MAN
04. バラクーダ
05. 八方美人
06. チャイコフスキーでよろしく
07. ブルーサンダー
08. 杉並の少年
09. 天狗
10. This is NORANEKO
11. SI・GE・KI
12. COLD BEAT
13. ポテトサラダ
14. はあとぶれいく
15. 黄泉の国
16. Honnoji
17. Weekend
18. YAKIIMO
19. 破裂音の朝
20. 乱土
21. 胸焼けうどんの作り方
<アンコール>
22. 永遠少女
23. KIMOCHI

公演情報

「ZAZEN BOYS TOUR MATSURI SESSION 2024」追加公演

2024年4月5日(金)新潟県 CLUB RIVERST
2024年4月6日(土)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
2024年4月12日(金)茨城県 mito LIGHT HOUSE
2024年4月14日(日)岩手県 Club Change WAVE
2024年4月20日(土)沖縄県 桜坂セントラル
2024年5月9日(木)京都府 磔磔
2024年5月10日(金)福井県 福井CHOP
2024年5月18日(土)鹿児島県 CAPARVO HALL
2024年6月8日(土)北海道 札幌PENNY LANE24

THE MATSURI SESSION

2024年5月26日(日)東京都 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)
<出演者>
ZAZEN BOYS / KIMONOS / 向井秀徳アコースティック&エレクトリック