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現代とバッハを自由に旅する、フルートの使者・鎌田邦裕

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鎌田邦裕

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ソロ、室内楽、オーケストラ、教育活動と、多彩で精力的な活動を行うフルート奏者の鎌田邦裕が、東京と山形/鶴岡でリサイタル「√(ルート)」を開催する。2022年の第91回日本音楽コンクール フルート部門で第2位と聴衆賞を獲得して以来、イギリスで開催された第1回リバプール国際フルートコンクールでは第1位、スロバキアで開催されたブラチスラバ舞台芸術アカデミー国際フルートコンクールでは第3位を獲得するなど、急スピードでの発展を遂げている。

4月のリサイタルで取り上げるのは現代曲とバッハ。特殊奏法がふんだんに盛り込まれたP.ユレルの「エオリア」は、聴く人皆が驚きを共有するような鮮烈な曲だ。

「現代の音楽界ではロマン派と古典派のプログラムが多く演奏され、お客様のほうでもそれを求めるし、自分たちでも自然に演奏することが多くなります。今回はバロックと現代を並べて『昔はこうだったけど、今はこうなんだよ』と伝えるコンサートにしたかった。フィリップ・ユレルの曲は1982年に作曲されているので、現代曲といっても比較的古典寄りです。その次に演奏する森田拓夢君の委嘱作は正真正銘の世界初演になるんですが、まだ作曲の最中で全貌は分かっていません。予定では8分ほどの曲になる予定ですね。現代曲ってわけがわからないものに聴こえるかも知れないけど、同じ時代を生きている作曲家が書いたものだから、何か感じるものはあるはずだし”今”という美しさを一緒に感じられるはずなんです。M・ハインドソンの『オデュッセウスとセイレーン』は、フルートの微分音が出てきたり、一緒に歌うシーンが出てきたり、リズムも滅茶苦茶ポップで、テクノやJポップ的な影響を逆にクラシックに入れてきたような曲です。オーストラリアの作曲家ですが、彼が現代のコンサートホールに若い聴衆を呼び戻したことは、高く評価されているんです。私自身、日本音楽コンクールの本選でこの曲を演奏しました」

恩師である藤井香織さんをゲストに招き、バッハの『オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調BWV1060』のフルート二重奏版と、鎌田・藤井編曲によるバッハ『シャコンヌ』のフルート独奏版もプログラムに入っている。

「バッハのエキスパートである藤井香織先生と共演させていただくので、ハードルの高い挑戦をしました。バッハのオリジナルのパルティータもアルマンドも、もともとブレスする場所はないんですが(笑)われわれ管楽器奏者は取り組んでいきます。今回の「シャコンヌ」に息継ぎはなくても、音楽的に呼吸はありますから。ヴァイオリンでは倍音やブレスが容易に表現できるところも、フルートでは難しい。その制約の中でいかに、お客様に自然に聴かせられるか。流れを阻害せずにひとつの人生の物語のような、ひとつの建造物のような荘厳さを表していけるか…今までもバッハは何度も取り上げてきましたが、そのたびにバッハの偉大さに驚きます。完成されていて無駄がなく、石で出来た巨大な教会が目に浮かびます」

「√(ルート)」という演奏会のタイトルについてはこう語る。
「自分にとってのルーツという意味で、故郷の山形では11回目のコンサートになりますし、バッハもルーツ、恩師である藤井香織先生も、京都市立芸術大学で一緒に学んだピアニストの三上翼君、同じく後輩の作曲家の森田拓夢君も私にとってのルーツです。今現在、演奏活動のほかに音大生や高校生や一般の方のレッスンをしていますが、将来はまったくクラシック音楽を知らない国や地域を訪れて、音楽の面白さを伝えていくのが目標なんです。日本国内の僻地と呼ばれる場所にも行きたいし、海外のクラシックが浸透していない地域でも演奏してみたいですね」

クリエイティヴィティの塊のようなアーティスト。フルートの先入観を打ち砕くような演奏会が待っている。

取材・文:小田島久恵

<公演情報>
鎌田邦裕フルートリサイタル 〜 √(ルート)〜

■東京公演
日程:2024年4月4日(木) 19:00開演(18:15開場)
※18:40頃よりプレトークを開催します。
会場:江東公会堂(ティアラこうとう) 小ホール

■山形公演
日程:2024年4月6日(土) 14:00開演(13:15開場)
※13:40頃よりプレトークを開催します。
会場:荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館) 大ホール

■チケット情報
https://w.pia.jp/t/kamatakunihiro/

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