名探偵・神津恭介シリーズの第2弾に加藤雅也と小園凌央が初参加

コロナ禍を経て気づいた、役者の一番の強みは生で見てもらうこと

――神津恭介シリーズの第2弾です。そもそも本シリーズの舞台化を決めた理由は？

野坂　明智小五郎、金田一耕助と共に“日本三大名探偵”と言われる人物ですが、明智や金田一に比べると神津はほとんど知られていないと思うんです。それならば自分がやってしまおう、というチャレンジ精神がシリーズを立ち上げたきっかけです。

――小園さん、加藤さんのおふたりはシリーズ初参加となります。キャスティングの狙いは？

野坂　加藤さんのことは前々から狙っていたといいますか（笑）、たまたま僕が加藤さんの初舞台を拝見していたんです。

加藤　08年の『SAMURAI 7』ですね。

野坂　ええ。それまで映像のイメージが強かった加藤さんですが、その時の舞台が非常に印象的で。いつかこんな俳優さんとやりたいと思い続けて、今回やっと念願が叶いました。小園さんはプロデューサーからの提案で、映像資料などを拝見するととてもユーモアがある方でした。小園さん演じる松下研三は、キレキレの神津に対して人間味と愛嬌のある人物なので、これはいけるぞと思いお声がけさせてもらいました。

――出演のオファーがあった時の心境は？

加藤　嬉しかったですね。役者として必要とされることは役者冥利に尽きます。あとコロナ禍やChatGPTの台頭などで、役者の一番の強みは、生で見てもらうことだと改めて思うようになって。俳優の原点に戻るという意味でも、舞台のお仕事はぜひやりたいと思いました。

小園　僕は当初、自分がどの役かわからないまま台本を読ませてもらったんです。で、あとから松下だと聞かされた瞬間、これ一番大変な役やん！と（笑）。ただ確実にステップアップ出来る役だと思いましたし、僕もコロナ禍で出来なかった舞台が何本かあって……。とにかく今はなんでもやりたい！という精神なので、迷いはありませんでした。

主役以上に面白いと思わせられる、松下研三という役どころ

――稽古が進む中で、改めておふたりの俳優としての魅力をどんなところに感じていますか？

野坂　小園くんはすごくポジティブな雰囲気を持った人ですよね。初舞台のキャストに対してもすごく優しいですし。あとカッコいいわりにヌケているところが面白くて、そこがまた松下らしいなと。加藤さんはきちんと話し合いながら作っていかれるタイプの方なので、きっと若手の俳優さん方は、非常に助かっているんじゃないかと思います。

小園　本当に！　最初はすごく怖かったんですけど……。

加藤　怖くはないでしょう（笑）。

小園　いやいや！　もうとんでもないオーラを放っていましたから。でもお話してみるととても優しくて。

加藤　まぁ野坂さんにキャスティングされた時点で、自分にはそういう役目もあると思っていましたからね。若い人たちにはうるさいおっさんだと思われているかもしれませんが（笑）、自分自身、先輩から言われた言葉が大きな財産になっている。だから自分が先輩となった今、少しでも若いみんなが伸びてくれたら嬉しいなと思っているんです。

小園　とてもありがたいです！

――それぞれの役どころについては、どういった人物として捉えていますか？

加藤　小園くん演じる松下は、ストーリーを回していく役ですよね。だから一番見せ場があるし、やれることがいっぱいある。例えば僕が演じた『アンフェア』の三上薫なんかも同じようなポジションで、一番面白かったと思ってもらえるような役。ただ小園くんの場合、主役を食っちゃいけないと遠慮しているところがあって。でもそれは気にする必要ないですし、食ってもいいんですよ（笑）。

野坂　本当にそう。ある意味、松下が主役みたいなところがあると思いますし、神津は謎を解く人なので、食うぐらいの感覚でちょうどいいんですよね。

小園　なるほど。なんかワクワクしてきました！

加藤　僕が演じる水町泰蔵は、恐らく多くのお客さんが犯人だろうと予測している人物だと思うんです（笑）。そこをいかに攪乱させられるか。それが僕の役割だと思いますね。

野坂　今回、神津役の林（一敬）さんは続投ですが、加藤さんも小園さんも初参加ですし、前回とはまた全然違う手触りの作品になるんじゃないかなと。シリーズものとはいえ、僕自身、新作のつもりで作っていますので、前作をご覧になっていない方もぜひ安心して観に来ていただければと思います。

取材・文：野上瑠美子
撮影：石阪大輔

＜公演情報＞
舞台 神津恭介シリーズ 『わが一高時代の犯罪』

【大阪公演】2024年3月8日（金）～3月10日（日）　COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
【東京公演】2024年3月20日（水）～3月31日（日）　サンシャイン劇場

チケット情報：
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2448150