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ぴあ 総合TOP > 小劇場で“一期一会” の特濃な朗読劇を堪能しよう!『タイキマニアプロデュースvol.20 朗読劇タチヨミ - 第十一巻 - ~もういいかい まぁだだよ~』

小劇場で“一期一会” の特濃な朗読劇を堪能しよう!『タイキマニアプロデュースvol.20 朗読劇タチヨミ - 第十一巻 - ~もういいかい まぁだだよ~』

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インタビュー

チケットぴあ

松野太紀

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タイトルの「もういいかい まぁだだよ」とは、どういう意味なのだろう。ステージ構成、脚本、キャストに至るまですべてをプロデュースしている松野太紀に尋ねると、柔和な笑みを浮かべて「11巻だから『もういい(11)かい(回)』、ここからまだまだ進化していくから『まぁだだよ』」と答えてくれた。遊び心と公演への想いをちょっとベタなしゃれに込めた、素敵なフレーズだ。

2013年の第0巻以来、豪華な声優陣が出演して公演を重ねてきた『朗読劇タチヨミ』。ひとつの公演を1本のストーリーで成り立たせるのではなく、5~6本の短編からなるオムニバス。出演者も固定の役柄を演じるのではなく、毎回役柄も組み合わせも違うシャッフルキャストだ。「毎回キャストも役柄も変わり、同じ組み合わせがないことも見どころ。『この人がこんな役をやるんだ』という驚きは、『タチヨミ』の醍醐味ではないでしょうか」と松野は語る。それは声優として、俳優として、確かな力量をもつ出演者だからこそなしえること。そんな芝居を、小劇場だからこそ至近距離で観られるのだ。

オムニバスであることは、「舞台は観ている側にも緊張感があるもの。『タチヨミ』は短い話で10分未満、長い話でも20~25分で、バラエティに富んだ内容。いろいろな方の意外な役柄やお芝居を見せて『この人にはこんなに素敵なところがある』ことを知らしめたい気持ちがある」のだという。

だがその裏には、並々ならぬ苦労があるらしい。なにせ、置鮎龍太郎、中井和哉、吉野裕行をはじめ錚々たる顔ぶれだけにスケジュールは恐ろしくタイト。「皆さん本当にお忙しいので、稽古期間に全員が揃うことはないですね。でもいない人の分を誰かが『やるよ』と引き受けてくれて、稽古場だけの組み合わせも生まれたりして。『これ面白いじゃん』っていう意外な発見もありますね。初日を迎えてからも、上演中に劇場に現れるキャストや一旦仕事に出てまた戻ってくるキャストもいたり。中には、『今日出られることになった』と客席の後ろから登場していきなり出演してくれた人もいました」という具合なのだ。

そこで大きな役割を果たすのが、松野が主宰している声優志望者の勉強会「タチヨミ倶楽部」。稽古場で代役を務めながら、新人公演にあたる「タチヨミ倶楽部公演」の稽古も進める。“師匠”である松野としては、公演を通した成長に大きな期待を寄せるところ。大先輩たちの芝居を間近に見つつ、スタッフワークも含めた舞台公演の全体像を学ぶのだ。「メインキャストが稽古に来るまでにステージングはすべて倶楽部生で創っておく。自分たちの公演の準備でもあるし、先輩方の動きを見ることが役を理解することにもつながります。メインキャストの皆さんも若者たちにすごく優しくて、いろいろなことを教えてくれるんです。吉野さんなんて、本当にお忙しいのにご自分でチケットを取ってこっそり倶楽部公演を観に来てくれたし、他にも大勢の方が見守ってくれて、カーテンコールでは目頭を熱くして大きな拍手を送ってくれました」

そんな中から今回、藤澤奨がメインキャストに抜擢された。次に続くのは誰か、倶楽部生に注目してみるのもひとつの楽しみだ。

前回の第10巻を区切りとして、第11巻でリスタートを図る『タチヨミ』。OP・ED曲も新曲になるほか、毎回松野が務めている前説もガラッと変わるらしい。「いろいろな試みや仕掛けをしておりますので、初日から目が離せない状況です。何度観てもお楽しみいただけますので、ぜひお越しいただければと思っております」という。

果たしてどういうことになるのか、3月31日(日)までの下北沢小劇場 B1での公演をお楽しみに。

取材・文:金井まゆみ

<公演情報>
タイキマニアプロデュースvol.20 朗読劇タチヨミ - 第十一巻 - ~もういいかい まぁだだよ~

公演日程:2024年3月21日(木)~3月31日(日)
会場:下北沢小劇場 B1
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/tachiyomi/