物語とリアリティの間へ。『オッペンハイマー』でノーランが見せるIMAXの新たな可能性
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『オッペンハイマー』 (C)Universal Pictures. All Rights Reserved.
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すべて見る第96回アカデミー賞で作品賞、監督賞含む最多7部門受賞に輝いたクリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』が、3月29日(金)から全国の映画館、IMAX劇場、Dolby Cinema、35mmフィルム版で同時公開になる。
本作は、20世紀を生きた天才物理学者ロバート・オッペンハイマーを主人公にした物語で、大規模なアクションや巨大なモンスターが登場する映画ではない。しかし、ノーラン監督はこれまで同様、本作を大型カメラで撮影することにこだわった。なぜだろうか?
ノーラン作品は、IMAXなどの大型カメラを用いて制作にあたることで知られている。『ダークナイト』で部分的に導入したIMAXカメラに魅了されたノーランは、新作を手がける度にラージフォーマット撮影の分量を増やしていき、本作も多くのシーンが65ミリフィルムで撮影された。
『インターステラー』、『ダンケルク』、『TENET テネット』に続いて、本作で初のアカデミー賞撮影賞を受賞したホイテ・ヴァン・ホイテマを撮影監督に迎えたノーラン監督は
「私とホイテが採用した撮影スタイルは非常にシンプルだが、力強いものだ。映画の世界と観客との間にいかなる障害もないこと、モノクロ映像以外、様式化されたところのない映像だった。特にカラー映像の場面は飾り気がなくシンプルな映像を望んだ。できるだけ自然で、世界の肌触りを伝えてくれるようなものだ」
と語る。
上記の作品をはじめ『007 スペクター』や『NOPE/ノープ』なども手がけるホイテマは、現代の映画界に欠かすことのできない撮影監督で、作品ごとに新たな手法、新たなルックに挑み続けている。本作で彼はIMAXカメラを用いて、人間ドラマを微細に描き出すことに挑んだ。
「IMAXは、普通はスペクタクル用のフォーマットで、広い視野、壮大さを伝えるために使われます。撮影の最初から私の関心はクローズアップでも同じように力強いのかどうかにありました。我々は心理を撮影できるのだろうか? これを親密なメディアにできるのだろうか? これはいわば“口元に大金をかける映画”でした。物語がそれを要求したのです」
ノーラン監督は本作の映像は、観客が「物語とリアリティの中に入り込むことができる」ものだと宣言する。
「『オッペンハイマー』は大きな射程、スケール、視野を持つ映画だが、一方で私は観客にすべてが起こった部屋の中にいるように感じてもらいたかった。まるで自分がそこにいて、決定的な瞬間に科学者たちと一緒にいるかのように」
スクリーンを観ているはずなのに、まるでそこに人がいるような感覚。映画『オッペンハイマー』は、IMAXの新たな可能性を見せる作品になりそうだ。
『オッペンハイマー』本予告編
『オッペンハイマー』
3月29日(金)公開
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(C)Universal Pictures. All Rights Reserved.
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