森 大翔が“進化”した姿を見せた 2ndツアー『愛来』最終公演のオフィシャルレポート到着
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森 大翔 2nd Tour『Mountain & Forest “愛来”』3月24日(日) 東京・渋谷CLUB QUATTRO (Photo:関口佳代)
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すべて見る3月24日、森 大翔の2nd Tour『Mountain & Forest “愛来”』のツアーファイナル公演が、渋谷CLUB QUATTROにて開催された。
昨年6月のeggman、11月のWWW、そして、今回のQUATTRO。今の森は、ひとつずつワンマンライブの経験を重ねながら、着実に動員を増やし、ライブ会場のスケールアップを進めている過程にある。まだ20歳ということもあってか、彼の変化と成長のスピードにはライブを観るたびに本当に驚かされるが、彼は今回も、前回からさらに大きく進化した姿を堂々と見せつけてくれた。順を追って振り返っていきたい。
ソールドアウトとなった今回のQUATTRO公演。開演前、並々ならぬ熱気に満ちたフロアから、森の名を呼ぶコールと手拍子が自然と巻き起こった。そして、開演時間を少し過ぎた頃、会場が暗転し一際大きな歓声が上がる。
オープニングを飾ったのは、インストナンバー「Mountain and Forest Theme」だ。森は、台に立ったり、ステージのフチに立ちギリギリまで観客と距離を縮めたりしながら、ライブ冒頭とは思えない凄まじい熱量のギタープレイを届けていく。歌詞のないインストナンバーではあるが、その雄弁なギターの調べを通して、彼の胸の内のエモーションが豊かな輪郭をもって浮き彫りになり、手に取るように伝わってくるような感覚を抱いた。
続けて、「さぁ、始めようぜ、渋谷!」という力強い呼びかけと共に、「剣とパレット」へ。サビでは、空高く突き抜けていくような勇壮な歌に呼応するように、フロアから一気に観客の手が上がる。今回がツアーファイナルということもあり、バンドメンバーとのコンビネーションもばっちりで、いきなりクライマックスのような熱狂が会場全体を満たしていく。
「ラララさよなら永遠に」では、ギターリフに合わせて、バンドメンバーと共に左右にステップを踏む一幕も。その姿から、このライブを誰よりも自分自身が楽しもうとする森の気概が伝わってきた。
また、両手を大きく左右に広げながら渾身の歌声を高らかに響かせていく姿も印象的で、これは今回のライブ全編に通じることでもあるのだが、彼の楽曲が誇る壮大なスケールと伸びやかな歌声は、会場の規模が大きくなればなるほどその真価を発揮するように感じた。特に、「すれ違ってしまった人達へ」の終盤の壮大な展開は圧巻で、その圧巻のスケール感のあまり、ここがライブハウスの中であることを思わず忘れてしまいそうになったほどだ。
ここで森は、開演前にフロアから巻き起こったコールについて触れた上で、「僕の心も1週間前からあんな感じだった」と胸の内の高揚と歓びを伝えた。そして、「みんな、森 大翔のブルースは聴きたいか!」というお決まりの呼びかけから「オテテツナイデ」へ。グッと重心を下げたヘビーなバンドアンサンブルの中、森が奏でるブルージーなギターが豊かな響きをもって轟く。間奏では、メンバー紹介を兼ねたソロ回しが展開され、最後は森がとびっきり鮮烈なプレイを炸裂させる。
続けて、サポートギタリストのGenTiによる深いサスティンが効いたドリーミーなプレイに導かれる形で「台風の目」へ。原曲は大胆にストリングスをフィーチャーした曲だが、今回のライブでは激烈なバンドサウンドを全面的に打ち出した痛快なアレンジだ。何度も繰り返されるバンドのキメの狭間に轟く森の超絶ギタープレイは本当に圧巻で、また、ラストのシャウトにも似た渾身の歌声の並々ならぬ気迫に思わず息を呑んだ。
アコースティックギターに持ち替え披露した「歌になりたい」では、最後の《この歌が届くといいな》という森の歌を受けて、フロアから温かな拍手が巻き起こった。ワンマンライブの会場としては今回が最大規模であるが、一人ひとりの観客との親密な距離感、お互いのコミュニケーションの精度は不変である。そう、強く感じた一幕だった。繊細な心の機微を的確に描きながら、同時に、昂るエモーションをダイナミックに爆発させていく「雪の銀河」も素晴らしい名演だった。
中盤のMCパートで、森は、「みんな、自分にありがとうって言えてるかい?」と問いかけた。そして、「毎日闘うあなたのために新曲を持ってきました!」と告げ、フロアから大きな歓声と拍手が起きる。誰しも日々の中で、挫折することや失敗すること、壁にぶつかることがある。その上で、森は、「そんな時こそ、自分にありがとうと言う心のしなやかさが必要なんじゃないか」「僕は、自分の、みんなの、ポジティブ・ネガティブ全てに覆い被さるような音楽をやりたいです」と真摯に語り、新曲「I thank myself」を披露した。重厚なギターリフが轟くハードロックテイストの1曲で、豪快でありながら、同時に誰一人置き去りにしない温かな包容力を感じさせる楽曲だった。
続けて披露された未発表曲「大都会とアゲハ」は、ロックをベースとしつつ、ソウルフルでブルージーなテイストを織り交ぜた森流ミクスチャーロックの最新型と呼ぶべき1曲で、このふたつの新曲を通して、絶え間なく変化・進化を重ね続ける森の堂々たる現在地を確かに感じ取ることができた。
いよいよライブは終盤戦へ。ここで今回のツアータイトル『愛来』(「自分が好きなものを外に向かって発信することで、愛が返って来る」という意味の言葉)のもとになった楽曲「アイライ」が披露される。カラフルなライティングによってステージが彩られる中、力強い4つ打ちのビートに合わせて森を含めたフロントの3人が左右にステップを踏み、ミラーボールが回転し煌びやかな光を放ち始める。この曲は、まさに森流のフロアアンセムで、ポップなダンスフィールが会場全体に広がる中、一人ひとりの観客が自由に踊ったり、手を上げたり、手拍子をしたりする光景がとても美しかった。
続く、爆裂ロックンロールチューン「最初で最後の素敵な恋だから」では、高速ビートに乗せて観客が何度もジャンプを繰り返し、さらなる高揚感と一体感が会場全体に広がっていく。そして、「熱いね〜」「“ありがとう”に収まりきらないんです、気持ちが」と胸の内の心境をありのまま伝えた後、本編最後の1曲「たいしたもんだよ」へ。今やライブ定番のロックアンセムと化したこの曲を高らかに歌い届ける堂々たる勇姿が眩しく、また、ギターソロを弾き倒す時のキラキラとした笑顔と深い充実感に満ちた表情が忘れられない。
熱烈なアンコールを受け、深いディストーションの効いたギターを掻き鳴らしながらステージに再び現れた森は、そのまま渾身のギターソロを放ち始める。ヘビーメタルやブルースをはじめとした自身のルーツを色濃く投影した多彩な超絶プレイが次々と展開されていき、改めて、ギター1本で観る者を惹き込み、圧倒していく彼のギターヒーローとしての勇姿に痺れた。
森は、今回のツアーについて、「みんなに進化した姿を見せたい」という想いを持って臨んだこと、毎日が闘いの日々だったことを振り返った。そして、今回のツアーにおける各ライブの経験を通して、「俺には、みんながいるって思いました」と胸の内の想いを力強く伝えた。
また、今回のツアータイトル『愛来』は自分にとって新しいキーワードとなると告げた上で、「これからもみんなと交換して、エネルギー、ドラマを生んでいけたら」と語り、ラストナンバー「いつか僕らは 〜I Left My Heart in Rausu〜」へ。森は、終盤の《"今"がこんなにも愛おしくなる》という歌詞を歌う時に自らが立つステージを力強く指差していて、その些細な仕草から、彼にとってライブの場がいかにかけがえのないものであるかが確かに伝わってきた。
次のライブは、森の21歳の誕生日である6月9日に開催される渋谷WWW X公演『A day of YAMATO 69/24』だ。ギタリストとして、ソングライターとして、そしてシンガーとして、凄まじいスピードで進化し続ける彼の歩みから、引き続き目が離せない。
Text:松本侃士 Photo:関口佳代
<ライブ情報>
森 大翔LIVE『A day of YAMATO 69/24』
6月9日(日) 東京・WWW X
開場16:00 / 開演17:00
■オフィシャル先行受付:4月2日(火) 23:59まで
https://w.pia.jp/t/yamatomori-t/
公式サイト:
https://www.yamato-mori.com/
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