山﨑玲奈「1年目よりもっと深めたい」鈴木梨央「自分なりのウェンディを」 ミュージカル『ピーター・パン』がこの夏も上演へ
ステージ
インタビュー
左から)鈴木梨央、山﨑玲奈
青山メインランドファンタジースペシャルブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』は、1981年新宿コマ劇場に榊原郁恵演じるピーター・パンが舞い降りて以来、今年44年目の公演を迎える。昨年に引き続き、長谷川寧の演出のもと、山﨑玲奈がピーター・パンを演じるほか、ウェンディ役として鈴木梨央が出演することが決まった。今回、山﨑と鈴木に作品に懸ける思いを聞いた。
――今年も『ピーター・パン』が上演されます。ぜひ今回の公演についての意気込みを教えてください。
山﨑玲奈(以下、山﨑) 私は今回でピーター・パン役を演じるのが2回目です。前回の1年目のときもすごくいろいろなことに挑戦させていただいて、新たな発見がたくさんあったんですが、2年目は挑戦したことや発見したことをもっと深めて、また皆さんに劇場で披露できたらなと思っています。
鈴木梨央(以下、鈴木) 私は初めてウェンディ役を演じます。今日もウェンディの衣裳を着ていますが、まだ信じられない気持ちです。でも皆さんのお力もお借りしつつ、自分なりのウェンディを精一杯演じていきたいです。何より楽しみなのは、ピーターと一緒に空を飛ぶフライング!体力づくりを頑張りたいと思います。
――前回、はじめてピーター・パン役を務めた山﨑さん。緊張もあったと思いますが、特に印象に残っていることはどんなことですか?
山﨑 1番印象に残っているのは、ピーター自身がお客さんに問いかけたり、一緒に踊って楽しむシーンがあったり、お客さんと一体になって舞台が進んでいったことですね。みんながピーター・パンを支えてくれていることが伝わって、とても嬉しかったです。
――その中でも特に今回深めたいというのはどういう部分のことでしょう?
山﨑 やっぱりピーターの格好良さや、みんなが憧れるヒーローのような存在感を1番深めたくて。なぜかと言うと、前回フック船長を演じた小野田(龍之介)さんが「フック船長もみんなにとって憧れの存在でありたい」とお話しされていたからか、実際にピーターの応援もたくさんあったんですけど、フック船長も応援されがちで(笑)。
やっぱり客席全体がピーターを応援してくれて、「フックを倒せ!」「ピーター、頑張れ!」というムードにしたいので、2年目はそこを特に深めたいと思います。
――では言い換えれば、ライバルは小野田フック船長ですね?(笑)
山﨑 はい、そうですね(笑)。
――鈴木さんは今まで『ピーター・パン』をご覧になられたことはありますか?
鈴木 ミュージカルの『ピーター・パン』は、実はまだ拝見したことがないのですが、もちろん物語としての『ピーター・パン』は知っています。あの物語の一員になれるという楽しみな気持ちとともに、とても緊張もしていますが、玲奈さんに付いていけるよう頑張ります。
――長年ずっと上演されている作品という点についてはどうですか?どんな思いをお持ちですか?
鈴木 40年以上続いている伝統あるミュージカルで、皆さんにとても愛されている作品だなと思っています。今まで歴代のウェンディの方たちがたくさんいらっしゃいますので、大切なところは大事にしつつ、自分なりの新しいウェンディ像を皆さんにお届けできればと思っています。
そのためにも演出の長谷川さんともたくさんお話をしながら、自分が理想とするウェンディを見つけたいですし、観に来てくださる方々に「ウェンディみたいになりたい!」と思ってもらえるウェンディでもありたいです。
山﨑 素敵!
――稽古の前にワークショップをやられたそうですね。
山﨑 はい!例えば、言葉を使わず、クラップするだけで人に思いを伝えられるかというゲームをしたり、身体を使って思いを伝えてみたりしました。実際の役になりきって行うものではなく、感情の渡し方や身体の使い方を訓練するようなイメージですね。
全身を使って感情を伝えるということではなく、あえて言葉だけや表情だけで伝えるというのが面白かったですね。ワークショップを通じて、自分の中の引き出しが増えた気がしますし、「こういう表現もあるんだ」という学びがありました。
鈴木 私は初めて参加させていただいたのですが、セリフをまっすぐ伝えるゲームが印象に残っています。例えば「こんにちは」というセリフを、相手の目を見て伝えるんですが、その際に相手の脳内に太文字で「こんにちは」というセリフが映し出されるように言葉を届けるというもの。集中力がすごく研ぎ澄まされて、新鮮な気持ちで取り組めました。
――ワークショップで互いに間近で演技をご覧になったと思いますが、お互いの印象は?
山﨑 なんかもう「鈴木様」って感じ(笑)。オーラもすごいし、言葉の圧もすごくて!
天真爛漫に「ピーター!私は知りたいの!」と訴えかけてくるような、力強くて芯のあるウェンディ。前回ウェンディを演じた岡部(麟)さんとは違う魅力を感じました!
鈴木 なんだか照れますね(笑)。ワークショップでは、玲奈さんがみんなを率いてくれていたので、私は初めての参加でしたがとても心強かったです。玲奈さんの明るさやパワーがピーターと重なって、これからの稽古がますます楽しみになりました。
――演出の長谷川寧さんについての印象を教えてください。
山﨑 私はこれまでいろいろな演出家の方と数多く関わってきたわけではないんですけど、寧さんは1つ1つの動きに細かい印象があります。
例えば、舞台上で1歩踏み出したとすると、その1歩は何の意味があるのか、それで何を伝えようとしているのかを丁寧に考えてくださるんです。加えて「こうするとお客さんにも伝わると思う」などと、体の表情や体の使い方についてもすごく細かく指導してくださるので、とても刺激的な稽古場でした。新しい学びがたくさんありました。
――今回の公演については何か言われていますか?
山﨑 ワークショップの際に言われたんですけど、1年目に(ウェンディ役だった)岡部さんと生み出したイメージではなく、(今回のウェンディ役である)鈴木さんと一緒にやって生まれる、全く違う『ピーター・パン』を作ってほしいと言われました。
とはいえ1年目も頑張ってきたので、自分の中にいろいろなことが染みついちゃっているんですけど......寧さんのお力をお借りしながら、更に進化した『ピーター・パン』を作れたらいいなと思っています。
――鈴木さんはいかがですか?長谷川さんの印象を教えてください。
鈴木 見た目はスマートな方という印象だったのですが、実際にお話ししてみると、とても情熱に溢れている方だなと思いました。また私自身も気づかない部分を、自分で気づけるように導いてくださり、とても刺激をうけました。なんだか内面をみられているような……!
ワークショップの中では、私の芝居のクセをすぐに見抜いて、アドバイスをくださいました。本当に学びが多い時間でしたので、これからの稽古がどういう感じになるのか、ドキドキワクワクしています。
――前回長谷川さんの稽古場を経験された山﨑さんから、鈴木さんに「これだけはやっておいた方がいいよ」というアドバイスはありますか?
山﨑 寧さんはどんなときでもとても体力を使う稽古をされる演出家さんなので、何を言われてもいいようにストレッチはやっておいた方がいいかもしれません(笑)。「身体のこのパーツを動かすんだ!?」みたいなパーツを動かすことも出てくるので、その心の準備みたいなものはあった方が安心です(笑)。
鈴木 分かりました、ストレッチをしておきます(笑)。
――『ピーター・パン』のどんな場面がお好きですか?
山﨑 決めがたいですが……ウェンディとピーター・パンの2人の会話からネバーランドに向かうシーンがやっぱり好きかな。そこから全てが始まる感じがするし、1番最初にフライングを披露するシーンでもあるから。自分がお客さんとして『ピーター・パン』を観ていたときも心に残ったし、ジーンとしたし、楽しくなったし、いろいろな感情で観られるシーンだなと思います。
鈴木 やっぱりピーターが心のままに空を飛んで、自由に動き回っているところだと思います。空想することで空を飛べるってすごいなって思いますし、子どもの頃の想像力のすごさを改めて感じることのできるシーンだと思います。
――最後に観客の皆様へメッセージをお願いします。
山﨑 もちろん前回観に来てくださった方も楽しめると思うんですけど、今回はさらにグレードアップした公演になると思います。新しく鈴木梨央さんがウェンディを演じられますし、長谷川さん演出の『ピーター・パン』はパルクールや激しいダンスも取り入れられていて、動きだけでも楽しめる作品になっています!
子どものみならず、大人の方をも惹きつけて、没頭できる作品だと思うので、ぜひまだ観たことがないという方も『ピーター・パン』という素敵な世界の作品を観て欲しいです。
鈴木 子どもの頃に感じてた好奇心や想像力、探求心みたいなものを、この作品を通じて、皆さんにお届けできたらいいなと思います。私も自分らしい、新しいウェンディを演じられるように頑張りますので、ぜひ観にきてください。フライングも頑張ります!
取材・文:五月女菜穂
<公演情報>
青山メインランドファンタジースペシャル ブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』
公演期間:2024年7月24日(水)~8月2日(金)
会場:東京国際フォーラム ホールC
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/peterpan/