堀田善衛の自伝的長編を再構成、平泳ぎ本店の野外劇「若き日の詩人たちの肖像」
ステージ
ニュース

平泳ぎ本店 第8回公演 戸山公園野外演劇祭参加作品「若き日の詩人たちの肖像」チラシ表
「平泳ぎ本店 第8回公演 戸山公園野外演劇祭参加作品『若き日の詩人たちの肖像』」が、5月17日から19日まで東京・戸山公園 陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡で上演される。
「若き日の詩人たちの肖像」は、昭和10年代に活動した若い知識人たちを題材にした堀田善衛の自伝的長編。松本一歩が構成・演出を手がける野外劇では、「若き日の詩人たちの肖像」からシーンを抜き出してコラージュし、物語を再構成する。
出演者には松本のほか、小川哲也、河野竜平、鈴木大倫、松永健資、熊野晋也が名を連ねた。なお本作は「戸山公園野外演劇祭」の参加作品にラインナップされている。
松本一歩コメント
「若き日の詩人たちの肖像」は、戦争の気配が色濃く漂い、死とすぐ隣り合わせで押し潰されそうになりながら青春の日々を過ごした若者たちの物語です。
たとえ同じ国で生まれ青春を過ごしたとしても、「せめて三十五くらいまでは生きられたらと思う」と切実に願った彼らの姿を目の当たりにすると「これはわたしたちの話だ」というのはおこがましくて、とても許されないような隔たりを感じます。
いつだって世界の、時代の大きなうねりの中で芸術にできることなどごくごく限られているのでしょう。こと演劇となればなおのことです。
だから野外で野ざらしで、この作品の言葉を上演してみたいと思いました。その気になればほとんどすべてを思いどおりにできなくもない劇場のなかとはちがって、吹く風や降る雨、暮れゆく日差しに晒され、鳥や虫の鳴き声のなかで心細げに、それでも自由をしたたかに身に宿して立つ俳優の姿に、来るべき個人主義の欠片が見えたらと願っています。
時代がどうあれ、文学は誰にも奪うことはできません。そして文学を真に自由なかたちで演劇として立ち上げてくれるのは俳優と、その日その場に居合わせてくれる観客の方たちなのだと信じています。
%play_549_v1%