杉咲花が大先輩・小澤征悦に檄を飛ばす! 『ハケン占い師アタル』は“迷える子羊たちの物語”
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「シンシアイベンツ」制作Dチーム主査の上野(小澤征悦)は、その傍若無人ぶりから“パワハラ上司”と目されている。自分の気に入らない仕事は部下に押し付け、酒が入れば自身の仕事論を声高々に豪語する、非常にやっかいな人物である。
【写真】上野に対してニコニコ顔のアタル
2月7日に放送された木曜ドラマ『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)第4話では、Dチームに大きな仕事が舞い込む。それも上野を名指しでの大仕事だ。しかし彼のその“難あり”な性格によって、ことはうまくは運ばない。これまでの神田(志田未来)、目黒(間宮祥太朗)、品川(志尊淳)らと同様に、アタル(杉咲花)の占いの力を借りることとなるのだ。
上野は10年前に“伝説のイベント”を手がけて才能が認められ、一気に管理職まで上り詰めた男だ。しかし例の性格がたたって、すぐさま降格。以来、いまのような調子で歩んできたようで、これから名誉挽回、起死回生のチャンスもなかなかなさそうである。そんな彼のもとに舞い込んだ今回の大仕事。上野を指名してきたのは、かつてともに“伝説のイベント”を手がけた人物であり、彼は強く意気込む。ところが、なかなかうまくはいかない。部下である神田と目黒をこき使った挙げ句、得意げに作り上げた企画書は10年前の単なる焼き直しに過ぎないものであった。これを機に、彼はリーダーから外されるのだが、ここで絶対に言ってはいけないような言葉を口にしてしまうのが彼の性格。Dチームの皆に文句を言いたい放題、さらには「もっと優秀なスタッフと仕事がしたかった」などと言ってしまうのだ。
上野がうまくいっていないのは、仕事だけではないようだ。5年前に妻と離婚し、一緒に暮らしている娘(桜田ひより)とは自然なコミュニケーションすらままならない。仕事がうまくいかずヤケになった父を見た娘は、「将来働くのが嫌になる」とこぼし、出ていってしまう。そんな上野を見かねた品川たちが、アタルの占いを勧めるのは当然の流れである。
主演の杉咲をはじめとし、志田や間宮、志尊といった若手俳優たちが集結している本作は、“迷える子羊たちの物語”ということも手伝ってか、やはりフレッシュな印象が強い。そんな本作に、上野を演じる小澤征悦は絶妙な渋みを与えている。ここ数年でも、『64-ロクヨン-前編 / 後編』(2016)や『都庁爆破!』(2018・TBS系)での刑事役など、渋めの役どころを多く演じているが、ちょうど1年前に放送された『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系)での、ナルシスティックな心臓外科医役も記憶に新しい。コメディタッチなドラマとあって、軽くなりがちな作品トーンを引き締める役割を果たしていたが、それは今作でも同様だろう。得難い存在である。
さて、この問題だらけの上野に、アタルはどのような占いをするのか。彼女はこれまで通り、期待を裏切らぬ“上から目線”で上野に接し、「過去の栄光にしがみついていないで、いま手の平に残っているものを大切にしろ」と強く言い放つ。もちろんこの後、上野の態度は改まり、多少謙虚なものとなっていくのだが、この大きな変化は、次回以降にどのように作用するのかが見ものである。
そして、アタルの隠し続ける過去にも、ドラマは迫りつつある。彼女は一体何者なのか? 1話ずつ、Dチームの面々一人ひとりにフォーカスした作りとなっている本作だが、いよいよ本作的にサイドストーリーとして、アタル自身の物語が進行していきそうである。
(折田侑駿)