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新田真剣佑、伊藤健太郎、井浦新……旬の役者、躍進の背景に「名字」あり?

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リアルサウンド

 1月25日に公開された映画『十二人の死にたい子どもたち』で、謎解きが好きなシンジロウを演じている新田真剣佑。2018年に放送されたドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)で伊藤真司を演じた伊藤健太郎。同じく2018年に放送されたドラマ『アンナチュラル』(TBS系)でベテラン法医解剖医の中堂系を演じ人気を博した井浦新。この3人には共通点がある。芸能活動の途中で芸名に苗字がついたことだ。

参考:【ネタバレあり】新田真剣佑、コナンぶりの名推理披露 『十二人の死にたい子どもたち』を牽引する存在感

 『十二人の死にたい子どもたち』で、物語の謎を解明していく重要な役割を演じているのがシンジロウ役の新田真剣佑だ。俳優・千葉真一の息子で、高校を卒業するまでハリウッドで暮らしていた新田。日本で活動する前には、映画『SPACE MAN』やショートフィルム『TADAIMA』『CALIFORNIA LIFE』などに出演(アメリカでのみ公開)。2017年に公開された映画『ちはやふる -上の句- / -下の句-』では、主人公・千早(広瀬すず)の幼馴染であり、彼女をかるたの世界に誘った綿谷新という役を演じている。新田真剣佑の“新田”はこの役柄の名前をもじったものだ。

 新田は改名後、数々の映画、ドラマに精力的に出演。『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』では、兄を慕う直情型ヤンキー・虹村億泰を熱演し、話題を呼んだ。『パシフィック・リム:アップライジング』では人型巨大兵器「イェーガー」に乗り込むパイロットのひとり・リョウイチを演じている。

 “熱い男”を演じることが続いたが、『十二人の死にたい子どもたち』では闘病中の青年を演じている。安楽死をするために集まった十二人の子どもたちの前に、いるはずのない十三人目の存在が露わになる。新田演じるシンジロウは、その十三人目の謎を率先して解明しようとする役柄だ。自身が導き出した推理を確証に変えるため、徹底的に現場検証を行う姿は、謎解きが好きという彼の純粋さを表現していた。しかしただの推理好きな少年には留まらない。彼も安楽死を願うひとりの子どもだ。病に冒されている彼は、自分の意思で体を動かせる時間が短いことを知っている。時折苦しそうに呼吸をしたり、思うように体を動かせない様子があまりにもリアルだった。劇中で彼が見せる涙は、安楽死するために集まった子どもたちの心に深く突き刺さる。

 演技の幅を着実に広げている新田。深みのある演技ができるのは、映画、ドラマ、舞台と、活躍の場を貪欲に広げ続ける姿勢の賜物かもしれない。

 伊藤健太郎は、長らく健太郎の芸名で活動していたが、ドラマ『今日から俺は!!』で伊藤真司を演じたこと、2018年6月30日に21歳の誕生日を迎えたことがきっかけで、本名の伊藤健太郎に改名。改名後に公開された映画『コーヒーが冷めないうちに』では、主人公・時田数(有村架純)の恋人・新谷亮介を演じ、2018年日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞している。『今日から俺は!!』での大ブレイク、昨年末の『アシガールSP』(NHK総合)での見事な“若君”ぶり、CM「JR SKISKI」など、注目を集め続け、今年の秋には映画『惡の華』で主演を務める。「健太郎」時代もその好演ぶりは話題となっていたが、「伊藤健太郎」となってからは、一気にスターダムを駆け上がっていると言っても過言ではないだろう。

 新田、伊藤に比べると一回り年齢が上だが、同じように名字を付けたことに活躍の幅を広げている印象なのが井浦新だ。彼は2012年までARATAという芸名で活動していた。1999年に公開された是枝裕和監督作『ワンダフルライフ』で初主演を果たし、『ピンポン』ではもう1人の主人公・スマイルを演じ、注目を集めた。

 改名のきっかけは、映画『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』で三島由紀夫を演じたとき。「エンドロールで、三島由紀夫を演じた役者の名前がアルファベット表記なのは好ましくない」と本名・井浦新に変更した。改名後に出演した映画『かぞくのくに』ではブルーリボン賞助演男優賞を受賞。映画中心の活動を続けていた井浦だが、昨年の『アンナチュラル』で改めてその演技力が広く知られたように、今後はドラマでも特異な存在感を発揮してくれそうだ。初夏公開の映画『嵐電』も注目だ。

 3人とも改名前からその実力は認められていたが、その名前を更に知られることになったのきっかけのひとつに「改名」があったことは間違いないだろう。芸名の変更は決して珍しくない出来事だが、彼らの活躍にあやかり(?)、「名字」をつけるタレントが今後も増えるかもしれない。(片山香帆)