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『アクアマン』ジェームズ・ワン監督が語るヒットの秘訣 「自分が楽しめるのが1番のバロメーター」

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リアルサウンド

 ジェイソン・モモア主演映画『アクアマン』が2月8日に公開された。『ジャスティス・リーグ』に登場したアクアマンが主人公の本作では、未知の文明と最狂の巨大海底モンスターたちを携えたアトランティス帝国の王に、人間として育てられながらも海底帝国の血を引くアクアマンが立ち向かう模様が描かれる。

参考:『アクアマン』大ヒットで生ける伝説へ 予測不能な天才監督ジェームズ・ワンの凄さの本質を紐解く

 今回リアルサウンド映画部では、本作の監督を務めたジェームズ・ワンにインタビュー。『ソウ』シリーズや『死霊館』シリーズなどのホラー映画から、『ワイルド・スピード SKY MISSION』のエンタメ大作まで、幅広いジャンルの作品を手がける稀代のフィルムメーカーに、本作で意識したことや大ヒットの秘訣について話を聞いた。

ーー本作は『DCエクステンデッド・ユニバース』(以下、DCEU)の第6作に当たりますが、シリーズの繋がりは薄く、より独立した作品になっていますね。

ジェームズ・ワン(以下、ワン):とにかく独立した映画にしたかったんです。いろんなDC映画がありますが、それにあまりとらわれたくありませんでした。その中で、幸いにも『アクアマン』は非常にユニークな世界観を持っています。他のキャラクターたちが出て来なくても、彼の映画にすることが前提でした。スタジオからも「他のキャラクターたちはこれまでに随分紹介されているけれど、今回はアクアマンのストーリを語りたい」というような指示がありました。

ーー何か参考にしたり意識したりしたアメコミヒーロー映画はありましたか?

ワン:他の作品は全く参考にしていません。やはりアクアマンというのは独自の世界観を持っていて、彼のストーリーは今まで誰もちゃんと描いたことがないと思います。1940年代から何十年にも渡ってコミックブックが非常に豊富にあったので、僕はそこから全てのインスピレーションを受けました。

ーー『ダークナイト ライジング』を超えて、本作は世界興収でDC映画史上最高記録を樹立しました。大ヒットに繋がった理由について、監督自身はどのように考えていますか?

ワン:すごく気分がいいです! オープニングはそれほどの成績ではなかったんですけど、とにかく毎週毎週いい数字を出しているんです。こういうのをstrong legs(泳ぐ足が強い、尻上がりという意味)って言うんですけど、やはり口コミで広がっています。観た人が「是非これを観た方がいいよ」といろんな人に言ってくれている。制作側からすると、これが理想の形なんです。今までこのキャラクターは、少しないがしろにされていたり、からかわれたりして、ポップカルチャーの中でもカッコいいヒーローとして扱われませんでしたが、今はクールでカッコよくて、尊敬できるキャラクターとして認識され始めている。僕にとっては、そこがまたオーディエンスとの繋がりを生み出していると思います。

ーーあなたはこれまでも『ソウ』『死霊館』『ワイルド・スピード』とシリーズものを成功させてきました。シリーズものを成功に導く秘訣はなんでしょう?

ワン:とにかく自分が映画のファンなので、自分が観たい映画を撮るということですね。僕が観たい映画が、たまたま一般のお客さんにも受けるんです。そういう姿勢で、自分が好きな、観たい映画を撮ってきています。

ーー一般目線で観たいというのを心がけていますか?

ワン:僕の作っている映画は、実験的な作品とかアートハウス系ではないので、そういった意味では、どのような観客が観るのかは意識しながら撮っています。でも、やはり“自分が楽しめる”というのが、1番のバロメーターにはなっています。

ーー今回の『アクアマン』も先ほど挙げた過去作もそうですが、あなたの作品は「家族」が重要なテーマになっていますよね。

ワン:僕はアジア系の家庭で育ちました。なので、家族というのは僕にとっても非常に大事なものなのですが、これは誰しもに言えることだと思うんです。やはりこれだけファンタジーの部分が多い、非現実的な世界観がある中で、みんなが共感できて理解できるのは重要なことです。父、母、子供、そして愛する者……家族という要素があるからこそ、とても人間的な作品になっていると思います。

ーー家族と言えば、これまで『死霊館』や『インシディアス』でもタッグを組んできたパトリック・ウィルソンが今回悪役となるオームを演じていますね。兄であるアーサーを演じたジェイソン・モモアよりも6歳年上のパトリック・ウィルソンに弟のオームを演じてもらうのにはリスクもあったかと思うのですが、彼をオーム役に起用した理由、そしてパトリック・ウィルソンとあなたとの関係性についても教えてください。

ワン:ジェイソンには髭がいっぱいあってすごく年上に見えるから、年の差については全く問題ありませんでしたよ(笑)。パトリックと僕は最初から気が合って、お互い尊敬し合っているんです。彼はものすごく才能があるし、素晴らしい俳優なのですが、意外と認められていないというか、周りに認識されてない部分もあるんです。ルックスは“ムービースター”なんですけど、“アクター”と言われるような、純粋な俳優の才能を十分に持っていると思います。とにかく僕にとって、彼をキャスティングすることは何の不安もないし、とても働きやすいんです。彼は僕のスタイルを分かっているし、僕も彼のことを分かっています。この大変な仕事の中で、彼が一緒にいてくれたのは非常にやりやすかったですね。

ーーアクション、ラブストーリー、人間ドラマ……と様々な要素が盛り込まれた本作ですが、あなたにとって最もチャレンジングだったことはなんでしょうか?

ワン:どの部分も非常に大変だったのですが、やはりどれだけアクションをやっても、どれだけ視覚効果が良くても、人間の感情がちゃんと出ていないと観客が共感できないものになってしまうので、そこが1番のチャレンジでした。キャラクターも大事ですし、ストーリーも大事ですが、カッコいいセットやビジュアルも映画のクオリティーに左右すると思うんです。1番最初にワーナー・ブラザースに話した時にも、「観たことのないビジュアル」で、「ユニークなものを作り上げたい」と言ったんです。時を経て、観客に「あの時のあの映画のあのシーン」と覚えてもらえるくらいのビジュアルを作るのも、とても大事なことでした。(取材・文=宮川翔)