石原さとみ「ミッシング」試写会で涙、同い歳の中村倫也は「背中を追いかけてきた」
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「ミッシング」完成披露試写会の様子。左から吉田恵輔、森優作、青木崇高、石原さとみ、中村倫也、小野花梨、細川岳。
映画「ミッシング」の完成披露試写会が本日4月16日に東京・新宿ピカデリーで行われ、キャストの石原さとみ、中村倫也、青木崇高、森優作、小野花梨、細川岳、監督の吉田恵輔が登壇した。
本作の主人公は、娘の失踪事件をきっかけに情報の荒波に翻弄されていく母親・沙織里。娘の失踪時に好きなアイドルのライブに足を運んでいた彼女が、“育児放棄の母”と誹謗中傷の標的となりながらも、「娘に会いたい」という一心で世の中にすがり続ける様子が描かれる。沙織里を石原が演じ、彼女の取材を続ける地元テレビ局の記者・砂田に中村、沙織里の夫・豊に青木が扮した。
観客を前に感極まった様子の石原は「(泣くのは)早い、早い!(笑)」と涙をぬぐい「私の夢が叶った作品をお届けできることがうれしいです」と思い入れたっぷりに口にする。7年前に吉田作品への出演を直談判したことに触れ「今のままじゃダメだ、変わりたい、自分を壊してほしいという衝動に駆られて。私を変えてくれる人は誰だ?と探していたんです。そんなとき吉田監督の作品に出会って、この人だったら変えてくれると。人づてに連絡を取って、プライベートでお会いしたんですが、一度は断られました」と明かし、「その後、3年間音沙汰がなかったんですが、『脚本を書きました』と連絡があって。妊娠、出産を待っていただいて、去年の今頃撮影しました。とても感慨深いです」と振り返る。吉田は「『出たいです!』って言われて、『すみません、苦手です』と(笑)。石原さんは華がすごいんですよ。俺の映画は地味で郊外とかが舞台なのに石原さんは港区っぽさが強すぎて、ごめんなさいというか。でもこっちの世界に引きずり込めないかなと思ったんです。皆さんが知っている石原さとみじゃないものが映っている自信があります」と胸を張った。
ボディソープで髪を傷めるなどして、沙織里を作り上げていった石原。吉田は「イタコのように役を下ろして、何かに取りつかれているような状態。そういうタイプの役者さんに初めて出会ったので、恐る恐る撮っていました」と思い返し、「クランクアップの日に、かっこいい服を着た石原さんを見て、『芸能人がいる!』と思ったんです。だから撮影中はずっと沙織里がいたんだなと思いました」と絶賛する。石原とは19年ぶりの共演になった中村は「同い歳、同じ誕生日で同じ血液型。初日に現場に入って、急に感慨深くなって。嘘でもなんでもなく、そのときに、同年代のトップを走っている石原さとみの背中を今まで追いかけてきたんだなと気付いたんです。以前共演したときは、一緒に甲子園を目指す役で、その作品には崇くんも出ていて。3人の並びを見たとき、運命、いや『Destiny』を感じました」と石原の出演作を宣伝しつつ、感情を吐露した。
青木が演じた豊は、妻の沙織里を支えながら自身も心の痛みを抱えている人物。青木は「沙織里の在り方をまず感じて、自分がどう立つかというのが重要だと思っていたんです。監督と石原さんが沙織里像について確認しているところを、耳を大きくして聞いてました。沙織里が絶対的な存在なので、彼女をどう思いやるかを大切にしました」と言及する。石原が「(劇中で)たくさん睨みました。すっごい青木さんのこと睨んだ記憶があります」と申し訳なさそうに話すと、青木は「かまへん、かまへん! 夫ってそういうもんだなって思いますよ」と笑顔で返した。
沙織里の弟・圭吾に扮した森はクランクイン当日に吉田に「素人の方ですか?」と冗談を言われたそうで、「そのときにそれが監督に求められているトーンなんだなと思いました」と述懐。沙織里が圭吾を殴るシーンに話が及ぶと、吉田は「自分の中のルールで、頭はパーで、肩はグーで殴るみたいなのがあったんですけど、だんだん熱くなって、逆になっていて」と暴露する。石原は「え!? 私、逆になってました?」と驚き、森は「本編で使われているのが一番のホームランです!」と満足気に観客にアピールした。
砂田の後輩にあたる新人記者・三谷役の小野は「何がわからないかもわからない。何かやらなきゃいけないという向上心のある役で共感できました」とコメント。中村との共演を思い返し「倫也さんは面白い方で、楽しい時間でした!」とほほえむと、中村は「振られたお見合いか!」と突っ込みを入れ客席を和ませる。さらにカメラマン・不破役の細川から「中村さんにカフェラテをごちそうになりました!」というエピソードが飛び出すと、中村は「(エピソードが)弱いな!(笑)」とダメ出しし、笑いを誘った。
最後に吉田は「今の世界の気持ち悪さをお客さんも同じように感じていると思うんです。この映画を観たお客さんがちょっとでも優しい気持ちになれたらいいなと、願いを込めて作りました」と述べ、「僕たちにとって大切な作品。皆さんにどう届くのか、怖くもあり楽しみです」と期待を込める。石原は「宝物のような作品です。何年経っても、この作品が自分の転機だと言えます。優しい光が必ずあります。それを受け取っていただいて、誰かに渡していただけたらうれしいです」と呼びかけ、イベントの幕を引いた。
「ミッシング」は5月17日より全国ロードショー。配給はワーナー・ブラザース映画が担当する。
※吉田恵輔の吉はつちよしが正式表記
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