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立花理香が語る、ソロデビューからの濃い1年「人生的に大きく変わることが多かった」

音楽

ニュース

リアルサウンド

 立花理香が、2月13日に1stシングル『カラフルパサージュ』をリリースした。表題曲は、現在放送中のTVアニメ『雨色ココア sideG』(TOKYO MXほか)のオープニングテーマであるポップチューン。またカップリング曲として、立花自身が作詞を務めた「緑の時計」が収録されている。

 リアルサウンドでは、今年2月でソロデビューから1年を迎える立花理香にインタビュー。今作の制作秘話をはじめ、この1年間で自身が感じる変化や成長、ワンマンライブへの意気込みなどについてじっくりと語ってもらった。(編集部)

(関連:立花理香が自作詞曲で掴んだ“達成感” 「思いついたらやってみようという姿勢になれた」

■「“2回目のデビュー!”という感覚」
ーー昨年の2月28日にデビューミニアルバム『Flora』をリリースしたので、今月でソロデビューから1周年ということになりますね。

立花理香(以下、立花):色んなことがあって濃い1年だったので、「もう1年なんだ!」と「まだ1年なのか!」という感情が同時に湧いてきますね。この期間にミニアルバムを2枚出すことができて、アーティスト活動的にも充実した期間でした。

ーー11月にフリーに転身して、2月1日から新事務所WITH LINEへの所属を発表しました。球春到来と同時に新たなスタートということですが。

立花:みんなに「FA(フリーエージェント)? どこまで野球好きなの?」と言われましたね。そこに合わせたわけではないんですが、良いタイミングで新しい事務所にお世話になることになって、キャンプには間に合いました(笑)。

ーーフリーでの活動は、自身の仕事を見つめ直すきっかけになりましたか?

立花:これまで会社員として働いたことがなかったので、たとえばメールで「お世話になっております」とか「ご査収ください」といった“大人のやりとり”を自分でするようになって、「社会に出ている……」と感じましたね。今までは現場でしかスタッフの方とお会いしていなかったんですが、ダイレクトにメールのやり取りをするなかで「ありがとうございます!」という感謝の気持ちが一層生まれました。「こんなにいっぱい色んなことをしていただいていたんだ……」と身を以て味わいましたね。

ーー環境が変わって心機一転というところで、初めてのシングルである『カラフルパサージュ』が発売されますね。

立花:気持ち的にも「2回目のデビュー!」という感覚です。デビューの時は立花理香として歌を歌うことに対して「どうすればいいんだろう?」という手探りな状態からスタートしたんですが、今回は「シングルってどうやって作るんだ?」という未知数なところがありました。いつもは聴いてくださる方のことを考えて、自分のやりたいことを詰め込ませていただいてたんですけど、今回は初めてのアニメ主題歌ということで、気持ちの持ち方も全然違っていて。「頑張らねば!」と気合いが入りました。

ーー立花さんはTVアニメ『雨色ココアSideG』(TOKYO MXほか)でレインの声優も務めていますよね。曲とアフレコはどちらが先でした?

立花:レコーディングが先でしたね。役者として作品に関わらせていただく時って、自分のなかで作品のイメージを膨らませて現場に向かうんですが、今回は先にレコーディングで作品の雰囲気について話し合いをしながら曲を作っていったので、いつもよりも一足早く作品の世界観を味わうことができました。

ーーアニメと主題歌があわさった瞬間はどう感じましたか?

立花:キックオフイベントでを先行上映したときに、私も初めてオープニングの映像も見たんですが、水たまりに足がスッと出てくるシーンがあって。雨上がりの道をウキウキ歩くという雰囲気の曲なので、「あ、リンクした!」と嬉しくなりました。会場に集まってくださった方たちもニコニコしながら見てくださっていたので、「良かったー!」と安心しました。

ーー立花さんの楽曲は、可愛さとかっこよさの二面性があると思っていて、今回の「カラフルパサージュ」は前者寄りの楽曲ですよね。

立花:そうですねー! 歌詞を書いてくださったのが「Brand New」でもご一緒した中村彼方さんなんですけど、カバンやレインブーツなど女性ならではのアイテムが歌詞に入れられていて、可愛さの中に強さをすごく上手にいれていただいたと思いました。爽やかな感じで歌わせていただいてますが、曲の主人公としては自立した女の子でもあるのかなと思いましたね。恋だけじゃなくてちゃんと仕事もできるタイプというか。

ーー楽曲は高橋諒さんが作曲、中土智博さんが編曲を手がけています。中土さんはこれまでの2作でトータルのアレンジを担当してきましたが、今回はシングルということなので、作り方も変わりましたか?

立花:「2曲入魂!」って感じだったので、気合を入れてディスカッションしながらレコーディングできたと思います。印象に残っているのは、中土さんから「主人公は女の子なんですけど、弱いだけじゃなくてしっかりした女性像で歌いましょう。なので、キラキラ感を声に乗せてみましょうか」というアドバイスをいただいて、「キラキラ感を歌声に乗せる!?」と戸惑ったことですね(笑)。

ーー最終的にその“キラキラ感”はどのようにして出すことができたのか気になります。

立花:声のトーンというか、抜けるところを変えて、顔の真ん中あたりをクリアにすることを意識したら、上手く歌うことができました。私もまだ歌に関して探求中なところがあるので、中土さんに何度も色んなパターンで歌ったものを聴いていただいて、「だったらこうしてみたほうが……」とか、「さっきのはいいですね」などと、自転車の補助輪のように、しっかりと丁寧に導いていただきました。

■「挑戦が成功したことで大事な1曲になった」
ーーそうやって何回も歌って正解を見つけていくことに関しては、この1年打席に立ち続けてきたわけじゃないですか。1枚作るごとに打率が上がっているという実感はありますか。

立花:球種によるかもしれないですね(笑)。同じストレートの曲でも、「インコースに行きたいね」とか、「アウトコース低めなら振りすぎないほうがいいんじゃないか」とか、色々アドバイスをいただきながら打率を上げようと努力しています。

ーー歌については、『Flora』ではキャラを設定して歌うこと、2ndミニアルバム『LIFE』ではありのままの自分でストレートに歌うことを意識していましたが、今回はその中間の歌い方を選んでいるような気がしました。

立花:ありがとうございます!(拍手)とても嬉しいです。今回は確かに主人公っぽい女の子像をイメージしながら歌っているんですが、初めてシングルを出させていただくにあたって、これまで勉強したことを詰め込みたくて、ナチュラル感の中にちょっとしたキャラクター感を入れられたらいいなと思ったんですよ。だからそう言っていただけると嬉しいです。挑戦が成功したことで大事な1曲になりました。

ーー90秒バージョンと違って、フルサイズではジャズっぽいアプローチが入るなど、大人っぽい要素を含んでいるのも面白いなと思いました。

立花:ワンコーラスだけだと、そこまで気がつく方も少ないんですが、2番サビ終わりの間奏からだんだん“大人として踏み出していく”という感じが曲にも歌詞にも出ている気がします。MVには5人の私が出てくるんですけど、ウィンドウショッピングをしている風の映像になっていて。

ーーショートバージョンのMVでは3人だったんですが、合計で5人になるんですね。

立花:主人公のナチュラルな立花のほかに、パンク・レトロ・クール・ガーリーという並びになっていて、MVでは一番パンチが強い“パンク”が最初に出てきたので驚きました。

ーー今回の撮影を通して色んな一面を出せたのも新鮮だったんじゃないですか?

立花:今回はマネキンなので、動かずにポーズだけでそのキャラ感を表現する、というのは難しかったです。“パンク”の時に「ガン飛ばしてみましょうか?」って提案してみて、実際にやってみたんですけど、「もう少しマイルドめで……」と言われてしまいました(笑)。あと、“ガーリー”では私物の服を着ることになって、自宅から大量に服を持っていったんですが、現場でスタッフさんたちと「ガーリーとは?」と議論になって、最終的に上下ピンクめのスタイリングになりました。レトロは今まで着てこなかったタイプの衣装なので面白かったですし、フルウィッグなのですが金髪になれて嬉しかったです。一回やってみたかったので!

ーー金髪ショート姿は新鮮でしたね。1月20日にイベントでMVを解禁しましたが、ファンの方からの反応はどうでしたか?

立花:「どういう反応をしてくださるんだろう?」と私自身はドキドキしていたんですが、「ここは絶対笑うだろう」というところでちゃんと笑ってくださったのでホッとしました。

ーーそしてカップリングの「緑の時計」は、自身で作詞した楽曲ですね。

立花:書いちゃいましたね~(笑)。もう3曲目ですよ。

ーーとはいえ、これまでの2曲は作品全体のコンセプトを踏まえたうえで作詞したものじゃないですか。今回はシングルのカップリングということで、比較的自由にやれたのでは?

立花:今回のほうが自由なぶん、書き始めるにあたっての手がかりが少なかったんですよ。ツルツルした壁から掴む場所を必死に探っていました。

ーー「これなら書ける!」と手応えを感じたのは、どのタイミングだったんですか?

立花:曲を聴いて「ここが気になるな、この雰囲気好きだな」というパートがあって、繰り返し聴きながら「この言葉を入れたいな」と思えるようになってきて。「それならここにこういう言葉があるといいな」と広げて書いていきました。

ーーそれはどの部分ですか?

立花:1番と2番のBメロと、Dメロの部分ですね。個人的にキュンときたんです。

ーー全体的に特定のアイテムや情景が出てこないぶん、受け手を選ばない曲になってると思います。

立花:ありがたい!(拍手)発売が2月ということもあって、環境が変わる方も多い時期なので、そのあたりは意識しています。学生さんだと、新しく友達ができるかもしれないけど、今まで仲の良かった子とは離れてしまうかもしれない、という出会いと別れの季節でもあるので。私自身も今でも仲がいい同級生がいて、帰省したときに会うと「何年経っても変わらないこの関係っていいなー」と思ったり、家族に対しても「変わってるけど変わってないな」と感じたり、「変わるところと変わらないところは共存するんだ」と気付いたので、そのことをイメージして書きました。

ーー冒頭で「濃い1年だった」と振り返っていましたが、まさにその移り変わりを表現しているようですね。

立花:アーティスト活動を始めさせていただいたり、新しい家族である可愛いきなこちゃん(ハムスター)をお迎えしたり、自分の人生的に大きく変わることが多い1年でしたからね。これまでは、両親と仕事の話をすることはあまりでなかったんですが、ここ1、2年で急に話す機会が増えたり、「CD買ってきたよ!」って私のCDを買ってくれていたり。今までやってなかったことを始めて、気づかなかったことに気づくようになって、色んな転機が多かったので、そのあたりは影響している部分が大きいかもしれません。書くべくして書いたとでもいいましょうか。

ーーそんななかで、唯一限定的な言葉として使っているのが〈芝生〉なんですよね。

立花:良いところに目をつけていただいた(笑)。歌詞を書く時に表テーマと裏テーマを作っているのですが、この曲に関しては、これから春が来て桜が咲くだろうし、秋には葉っぱが紅葉しだして赤くなる、色んな人と過ごした時期を思い浮かべると、その時の空とか風景を思い出すことが多いなと思ったんです。そういう変化で時間経過を感じてるのに気づいて、タイトルが決まりました。

■「昨年から矢沢永吉さんに心惹かれておりまして……」
ーー表テーマと裏テーマに関しては、前作の「TUNE UP」について「感謝の気持ちを込めた曲で、応援歌っぽいフレーズを入れました」と話していましたが、ライブで“寿司の歌”だったことが明かされて驚きました。

立花:へへへ。その節はありがとうございます、楽しかったなー(笑)。

ーーなので念のためにもう一度聞きますが、この曲にはもっと深い裏テーマがありますよね?(笑)。

立花:まあ、小ネタはあるんですけど……それはマジメなやつなので安心してください(笑)。同じことをスタッフの方にも言われて、作詞の段階ですごく警戒されたんですよ……。

ーー歌詞は引き続き例のノート(『広島東洋カープ 新井貴浩学習帳』)で書いたんですか?

立花:新井さんノートも活躍しつつ、今回はパソコンがメインでした。曲をひたすらループしながら、はめたい言葉をそこに合うように打つという、音ゲーみたいな歌詞の書き方をしていて。

ーー前回は“作詞に影響を与えた曲”としてaikoの「ストロー」とBerryz工房の「1億3千万総ダイエット王国」を挙げていましたが、今回はどうでしょう?

立花:明確にこの曲、というのはないんですけど、ハロプロ好きとしてつんく♂さんをリスペクトしているので、以前から自分で歌詞を書くなら一人称は絶対〈私〉にしようって決めていたんです。でも、3曲目にして手のひらを返してしまって……。その辺りを踏まえて歌詞カードを読んでもらえたら嬉しいです。あと、男性曲の歌詞に注目したことはあまりなかったんですが、昨年から矢沢永吉さんに心惹かれておりまして、CAROL時代も含めてちょっとずつライブ映像を見たり、CDを聴いたりしていて。すごくワイルドな方で、歌うときにはセクシーなところも、すごいなと感銘を受けたんです。

ーーすごく渋いチョイスですね。ちなみにバラード調の曲で、というのは初めから決まっていたのですか?

立花:私としても、聴く側としてはアップテンポな曲が好きなんですが、実際にアーティスト活動を始めてからは「バラードもいいな」と思えるようになったので、スタッフの方からご提案いただいて、「ぜひ!」とお返事しました。

ーーここまで音数の少ない曲で作詞をするのは初めてですが、難しさはありましたか?

立花:「TUNE UP」みたいなアップテンポも書いていて楽しかったんですが、バラードのほうが言葉をはめやすかったです。

ーー「TUNE UP」の話も出たので前回の1stワンマンについても振り返らせてください。初めから最後まで、セルフプロデュース能力の高さに驚かされっぱなしでした。良い意味で1st感がなかったですし、ファンの方との掛け合いもバッチリで。

立花:ありがたいですね。来てくださるお客さんが面白いんですよ。「私より面白いこと喋らないで!」って思うんですけど(笑)。

ーーそのあとの『二次会』と銘打った夜公演のトークイベントにもお邪魔したのですが、なかなかにカオスな場でした。

立花:カオスでしたね……。でも、次のZepp DiverCityは二次会じゃなく二公演なんです。こんな大きな会場ではお酒を飲んじゃいけないなと思って(笑)。会場が大きくなっているぶん、お客さんが来てくださるかどうかドキドキしますし、大きさに見合ったパフォーマンスができるよう、試行錯誤中です。

ーー今回はカバー曲のコーナーも用意されるとか。バースデーイベントぶりで、ファンにとっては懐かしい演出ですね。

立花:最近知ってくださった方に楽しんでいただくのはもちろんなんですが、以前から応援してくださってる方にはピンと来て面白いみたいな要素も入れて、感謝の気持ちを伝えられたらと思ったんです。

ーーそういえば、最近dTVの『声優カメラ旅』をきっかけに、立花さん自身もカメラを始めたそうですね。今後の作詞にも影響してきそうで楽しみです。

立花:そうなんですよ。ミラーレス一眼を買って、パシャパシャ撮っているので、生活のちょっとしたことも楽しくなりました。でも、あまり買ってから外に出る機会が少ないので、お家できなこちゃんや作ったご飯を撮るだけで……。人を撮るのはまだ難しいんですよね。モードも色々と切り替えてみるんですが、結局オートが一番綺麗に撮れて。なんとか(プロ野球のペナント)開幕までには使いこなしたいです(笑)。

ーー2019年はアーティスト活動2年目となりますが、どうしていきたいですか?

立花:このタイミングで1stシングルを出させていただけて、また新たなスタート地点に立てたと思うので、今年も勢いよく駆け抜けたいですね! とはいえ、ちょっとくらいは落ち着いてもいいかなとは思うんですけど。

ーー明確にこういうことをやってみたい、というのはありますか?

立花:一人旅をしてみたいです。お仕事で前乗りして演者さんとご飯を食べたり、妹と現地集合現地解散で旅行したり、というのはあるんですが、完全に一人ということはなくて。いま、すごく秋田に行きたいんですよ。不純な動機なんですが、お酒が美味しいので……(笑)。あとは北陸地方も、新潟とかも良いですねー。カメラで写真もいっぱい撮りたいですし!

(取材・文=中村拓海)