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女王蜂はまだまだやる、結成15周年単独公演で示した唯一無二の世界観

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アヴちゃん(Vo)(撮影:森好弘)

女王蜂が4月20日に東京・国立代々木競技場第一体育館にて、結成15周年を記念した単独公演「女王蜂 結成15周年単独公演『正正正(15)』」を開催した。

女王蜂が代々木競技場でワンマンライブを開催したのは今回が初。約1時間半というタイトな尺に全21曲を凝縮し、怒涛のパフォーマンスを通じて15年のキャリアを表現しきった。

「おままごと」セルフカバーに観客熱狂

開演時刻を迎え、荘厳なオルガンの音色が響く中でステージ前方の紗幕が切って落とされると、客席からは大歓声が起こる。ステージにはゴージャスな衣装に身を包んだアヴちゃん(Vo)、やしちゃん(B)、ひばりくん(G)、サポートメンバーのながしまみのり(Key)、山口美代子(Dr)の姿が。アヴちゃんの「覚悟しな!」という絶叫とともに始まった1曲目は「BL」。重々しいリズムに乗せて、観客が握るライブグッズのオレンジ色のジュリ扇がすさまじい勢いで波を打った。

続いて披露されたのはアヴちゃんが「ヒプノシスマイク」に提供した楽曲「おままごと」のセルフカバーだ。女王蜂のライブでこの曲が披露されたのは今回が初。アヴちゃんのドスの効いたボーカルに、客席からは感嘆の声が漏れる。その後もアヴちゃんがロングドレスの裾をさばいて貫禄たっぷりのポーズを決めた「催眠術」、オーディエンスに対する宣託のように届けられた「犬姫」と、女王蜂のライブに欠かせないナンバーを連投していった。

シングル「01」のカップリング曲「02」ではラテンのテイストを感じさせるサウンドに乗せてジュリ扇がゆらめくが、アヴちゃんの演劇的なセリフに引き込まれてオーディエンスは思わずその手を止めてしまう。「KING BITCH」のヘビーなグルーヴで会場を揺らしたあとは「デスコ」へ。アヴちゃんが舞うパラパラ、やしちゃんとひばりくんが楽しそうに体を揺らしながら刻むリズムに乗せ、客席には再びオレンジの波が沸き起こった。「油」で観客の全力のコールが響いたあと、アヴちゃんは「どうもこんばんは、女王蜂です!」と力強く挨拶し、悠々とステージを中座した。

「十二次元」のカウントが

ステージに残った4人が奏で始めたのは「ヴィーナス」。この日はアヴちゃん以外の4人でボーカルを取るというレアなバージョンで披露され、ファンを喜ばせた。総スパンコールのグリーンのドレスにお色直ししたアヴちゃんが加わると、哀切なストリングスのイントロから「メフィスト」が始まる。間奏ではひばりくんがエモーショナルなギターソロを響かせ、楽曲の世界観をより際立たせた。

めまぐるしく音像が変化した「十二次元」のラストでは、ステージ後方に立てられていた竹林がアヴちゃんのカウントに合わせて次々と倒れていく。しかし「9、10、11、12」で終わるはずのアヴちゃんの声は「13、14……15」と続き、この日ならではのアレンジで観客の感動を誘った。「つづら折り」ではアヴちゃんがグリーンのドレスを脱ぎ、パープルのミニドレス姿に変身。心の内を絞り出すかのような歌唱に、オーディエンスは息を呑んで聴き入った。

メンバー4人がステージを去り、1人残ったアヴちゃんはアカペラで「Introduction:Plan B」を歌い始めた。ピンスポットを浴び、ときにヒールで激しく床を踏み鳴らしながら熱唱するアヴちゃんの姿に、静まり返りつつも場内の熱気が徐々に高まっていく。衣装を改めたメンバーが加わり力強いサウンドを鳴らすと、押さえていたかのような観客の叫びが会場にこだました。

アヴちゃんの宣言「まだまだやるわよ」

アヴちゃんのハイトーンがオーディエンスのテンションを牽引した「火炎」、そして「IMITATION」に続き、最後に披露された楽曲は今回のライブのためにリリースされた新曲「超メモリアル」。ミラーボールの光が激しく明滅する中、地を這うような低音ときらびやかな高音が絡み合う、女王蜂にしか作り出せない音像がライブのエンディングを彩った。

すべての楽曲を歌い終えたアヴちゃんはステージにマイクを叩きつけ、メンバーたちと手を取り合って客席に一礼する。メンバーを送り出し、ステージ後方に向かったアヴちゃんは後ろ向きのままリフターに乗り、高く上昇していった。さっと振り返ったアヴちゃんはマイクを通さずにただひと言「まだまだやるわよ」と生声で宣言。一瞬の静寂ののちに起こった歓声と拍手に見送られ、颯爽と姿を消した。