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“中学平地人”を震撼せしめよ!ピッコロ劇団が山本正典とのタッグで紡ぐ現代版・遠野物語

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左から谷口遼、原竹志、樫村千晶。

「兵庫県立ピッコロ劇団 第79回公演『あしあとのおと、ものがたり』」のオンライン製作発表会見が本日4月26日に行われた。

兵庫県立ピッコロ劇団の設立30周年を記念して行われる本公演では、現在の兵庫県神崎郡福崎町に生まれた柳田國男の「遠野物語」に着想を得た、“現代版・とおのものがたり”が展開。作劇をコトリ会議の山本正典、演出をピッコロ劇団の原竹志が手がける。

山に囲まれた在間市では、死んだ人が1年だけ生き返るという。その夏、大学生の遠野物語(谷口遼)が先輩の真野実(樫村千晶)に交際を申し込むと、真野実は「1年だけなら」と答える。一方、祖父母の十夜一廊(森好文)、睦子(亀井妙子)と暮らす小夜(木下鮎美)は、大学受験を控えていた。進路志望調査表に勝手に大学名を書かれた小夜は、家を飛び出し……。

会見には演出の原、出演者の谷口、樫村が出席した。原は以前からプライベートでコトリ会議を観劇しており、あるとき山本と同じ駅に居合わせたことから交流が生まれ、それをきっかけにコトリ会議の“客員”になったという。原は「山本くんとは好きなものが似ていてつながりを感じている」と話し、「コトリ会議はいつも小空間で公演をしていますが、山本くんの作品を大きな劇場でやるのが自分の使命だと勝手に考えていました」と笑い交じりに述べた。

原は本作のテーマを“境界線を揺さぶる”ことだと明かし、「生と死、子供と大人、海と空などさまざまな境界線が存在しますが、この線をブレさせるのが山本くんの得意とするところ」「境界線の向こう側に別の世界があることを感じれば、境界線のこちら側にいる自分たちが『こうあらねばならない』と考えていた息苦しさが和らぎ、生きやすくなるのでは。そういう思いを持って作っていきたい」と思いを口にした。

コトリ会議の作品を観劇したことがあるという谷口は「コトリ会議さんの独特な空間の使い方が、ピッコロ劇団とどのように交わるか楽しみ。台本を読んだ段階で、普段の自分たちの作品とは感覚が違った。台本には『えっ』とか『あの』というセリフが多く、セリフのニュアンスについて想像力を膨らませています」と述べ、「劇団が設立30年で、僕も30歳。運命的なものを感じるのでがんばりたい」とコメントした。

樫村は自身が演じる真野実を「真野実は人間ではなく竹人形。谷口くん演じる遠野物語に恋をするけど、命の期限が決まっているという役」と説明し、「死を待つ竹人形という立場は経験したことがないので、心の動きを想像するのが難しくて悩んでいますが(笑)、視野を広げて可能性を探りたい」と語る。また俳優として原と共演を重ねてきた樫村は「今回は原さんが演出なので普段と違う関係性ですが、原さんの懐の深さに甘えて良い作品を作りたい」と意気込んだ。

なお本作は中学生が団体鑑賞する「ピッコロわくわくステージ」としても上演される。原はこれについて「中学生にも演劇は面白いと感じてほしい」と言い、「遠野物語」の「願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ」という一節を引用しながら「今はスマホ1台で、ありとあらゆる面白いものを体験できる。でもこの時代だからこそ、“中学平地人”を震撼せしめることができたら」と期待を込めた。

公演は5月31日から6月2、8・9日にかけ、兵庫・兵庫県立尼崎青少年創造劇場 ピッコロシアター 大ホールで行われる。

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