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「せかい演劇祭2024」開幕、初日を中島諒人演出「友達」ほかが飾る

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「友達」より。(撮影:鈴木竜一朗)

「ふじのくに→せかい演劇祭2024」が昨日4月27日に開幕した。

「ふじのくに→せかい演劇祭」は、“ふじのくに(静岡県)と世界は演劇を通じてダイレクトに繋がっている”というコンセプトのもと、毎年行われている演劇祭。演劇祭の“前半”には「友達」「楢山節考」「かちかち山の台所」が上演され、各作品の舞台写真と演出家のコメントが到着した。

「友達」は1967年に発表された安部公房の戯曲で、アパートで一人暮らしをしている男の元へ、ある“家族”がやって来て男の生活や人生を乗っ取っていく物語。今回は鳥の劇場・中島諒人の演出で、鳥取の鳥の劇場とSPACの共同制作により立ち上げる。開幕に際し中島は「今日大勢のお客さまが来てくださって、『友達』は“ブラックコメディ”となっていますが、皆さんが非常に小気味よくたくさん笑ってくださったのがよかったなと思います。それが導入となりつつ、後半も集中して観てくださって、作品のテーマを皆さんが感じてくださったようでとても嬉しいです」とコメント。

「楢山節考」では、1956年に発表された深沢七郎の小説を、瀬戸山美咲の上演台本・演出により、チェロの生演奏に乗せた三人芝居として立ち上げる。瀬戸山は会場となる静岡・舞台芸術公園の「楕円堂」について「楕円堂は他にはない特異な劇場で、最初は圧倒されました。その空間と格闘しながら、この『楢山節考』という、近代以前の日本の庶民の精神性を描いた物語を立ち上げました。胆力のある3人の俳優の言葉と身体、チェリストが鳴らす音、そしてスタッフワークの隅々まで、糸をピンと張ったような芝居です。70分じっくりとご覧いただけたら幸いです」と思いを語る。

昔話「かちかち山」を題材に、舞台芸術公園を舞台にしたツアーパフォーマンスが繰り広げられるのは。間食付きツアーパフォーマンス「かちかち山の台所」。本作の作・演出を手がける石神夏希は「観客の皆さん歩きながら『道を歩いている人たちもタヌキに見えるね』と話したり、お子さんに『今のどう思った?』とか『たぬき汁とばば汁どっちが悪いと思う?』『どっちがおいしいかな?』と声かけたりしていて、子どもの世代・その親やおじいちゃんたちの世代の中で、『かちかち山』についての色んな会話が生まれているのがすごくいいなと思って見ていました」と観客の反応について語った。

「友達」は本日4月28日まで静岡・舞台芸術公園 野外劇場「有度」にて、「楢山節考」は29日まで舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」にて、「かちかち山の台所」は29日まで静岡・舞台芸術公園ほかにて公演が行われる。またこのあと「ふじのくに→せかい演劇祭2024」は5月6日まで開催され、トーマス・オスターマイアー演出「かもめ」、メルラン・ニヤカム演出・振付・出演「マミ・ワタと大きな瓢箪」、宮城聰演出・台本によるふじのくに野外芸術フェスタ2024静岡 SPAC「白狐伝」が上演される。

中島諒人コメント

今日大勢のお客さまが来てくださって、「友達」は“ブラックコメディ”となっていますが、皆さんが非常に小気味よくたくさん笑ってくださったのがよかったなと思います。それが導入となりつつ、後半も集中して観てくださって、作品のテーマを皆さんが感じてくださったようでとても嬉しいです。

稽古で役者に話していたのは、初めは侵略される「彼」が観客に近い存在で、「家族」っていうのは敵なんだけれども、でもだんだんと最後の方では、むしろああやって色々な困難を乗り越えながらともかく生き延びようとしている、世界の不条理の中で生き延びようとしている彼ら「家族」こそが私なんだなというふうにお客さんに感じてもらうことができたらと言っていて。そういうコミュニケーションがまあまあできたんじゃないかなと思いますね。そして野外劇場の木々が姿を消すと闇になるし、姿を現すとなんか独特のエネルギーを出してきて、私たちが世界の中で、地球の上で生きているということをすごく感じさせてくれて。密室劇の「友達」が最後のところで世界と繋がっていくことが、この場所だからできるものになっていたかなと思います。

瀬戸山美咲コメント

今回、静岡県舞台芸術公園に2週間滞在して、会場である楕円堂であらためて作品と向き合うことができました。その成果をしっかりとお客さまに届けることができて、今ほっとしています。楕円堂は他にはない特異な劇場で、最初は圧倒されました。その空間と格闘しながら、この「楢山節考」という、近代以前の日本の庶民の精神性を描いた物語を立ち上げました。胆力のある3人の俳優の言葉と身体、チェリストが鳴らす音、そしてスタッフワークの隅々まで、糸をピンと張ったような芝居です。70分じっくりとご覧いただけたら幸いです。

石神夏希コメント

最初みんなすごく朗らかに楽しげに山道を歩いて行くんですが、だんだんみんな口数が少なくなっていって(笑)みんな疲れているのかなと思ったら、「お話の内容に考えさせられた」という感想で、最後には自分たちが生きている世界のこととか社会のことっていうのも考えつつ美味しいものを食べる、そういう体験をされたようです。私も皆さんのリアクションが新鮮で、思った以上に深く届いているのかなと嬉しく感じました。

地元の方たちが公開リハーサルにも来てくださったり、上演中も道で農作業されたりお散歩されたりしているのにお会いするんですけれども、あたたかく見守ってくださって、皆さんのその姿も演劇の一部のように自然と溶け込んでいるのがとてもいいなと。この作品と地域の生活の距離感みたいなものがすごく良くて、ご協力いただいている地域の方に感謝しました。

観客の皆さん歩きながら「道を歩いている人たちもタヌキに見えるね」と話したり、お子さんに「今のどう思った?」とか「たぬき汁とばば汁どっちが悪いと思う?」「どっちがおいしいかな?」と声かけたりしていて、子どもの世代・その親やおじいちゃんたちの世代の中で、『かちかち山』についての色んな会話が生まれているのがすごくいいなと思って見ていました。

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