ゴジラのブランド管理とビジネスの発展を担う、東宝「ゴジラルーム」とは何か
映画
ニュース

東宝本社にて、左から吉川哲矢、宮崎豪。右は「ゴジラVSキングギドラ」のゴジラ。
日本が世界に誇る「ゴジラ」シリーズを生んだ東宝には、「ゴジラルーム」と呼ばれる部署があるのはご存知だろうか。2019年に誕生したゴジラルームは、その名の通りゴジラにまつわるビジネスを担う部署で、いかにキャラクタービジネスを大きくするかだけでなく、ゴジラというブランドのリスク管理なども行っているという。
現在、第96回アカデミー賞で視覚効果賞に輝いた「ゴジラ-1.0」、そして最新作「ゴジラxコング 新たなる帝国」が続けて公開され、日本のみならず世界中でゴジラブームが巻き起こっている。映画ナタリーでは今こそ「ゴジラルームとは何か?」を掘り下げるべく、ルーム長の吉川哲矢と、「ゴジラxコング」の日本語吹替版制作の業務を担当した企画制作グループの宮崎豪に話を聞いた。
取材・文 / 松本真一 撮影 / 佐藤類
「ゴジラ戦略会議」と「ゴジラルーム」
吉川哲矢 東宝のライツ事業部の中にあるゴジラルームのルーム長と、兼務で戦略グループのリーダーをやっております、吉川と申します。
宮崎豪 同じくゴジラルームの、企画制作グループの宮崎です。「ゴジラxコング 新たなる帝国」では主に吹替版の制作に携わりまして、日本版主題歌制作も担当しました。
──ありがとうございます。今日はお二人が所属するゴジラルームについて聞きたいんですが、そもそもその前から東宝さんでは「ゴジラ戦略会議」、通称「ゴジコン」というチームもあると伺ってます。その成り立ちから教えてください。
吉川 日本では2004年の「ゴジラ FINAL WARS」から約10年間ゴジラ映画が公開されなかった時期があり、2014年に10年ぶりとなる、「モンスター・ヴァース」の1作目「GODZILLA ゴジラ」が公開されました。この作品が全世界で大ヒットしたことがきっかけとなって、社内で「ゴジラをもう1回盛り上げていこう」という流れができて、ゴジコンが組織されました。
──他社には集英社の「ドラゴンボール室」とか小学館の「ドラえもんルーム」といった部署がありますよね。宣伝部などでは扱いきれないぐらいビッグなキャラクターには、専門の部署ができるという。
吉川 そうですね。ただゴジコンは基本的に専任ではなくて、兼務という形で社内のさまざまな部署から人が集められてスタートしてます。ゴジコンの目的は、できる、できない関係なく、「ゴジラでこんなことやったら面白いんじゃない?」というアイデアベースで、みんなで意見を出し合っている組織ですね。
──「ゴジラ検定」といった企画や、新宿の東宝ビルにあるオブジェ「ゴジラヘッド」の設置などはゴジコンのアイデアから実現したと聞いてます。あと宮崎さんはゴジコンのメンバーとして、「ゴジハムくん」のリブートプロジェクトを企画したそうですね。
宮崎 そうなんですよ。でもそれこそ「ゴジハムくん」ができた2000年代は、ゴジハムくんのキャラクターデザインを決めるにもすごく時間が掛かったと。僕は伝聞でしかないんですけど、当時はまだゴジラについての正式な承認経路が明確に決まっていなかったみたいなんです。
──「1回持ち帰らせてください」的なことが多かったみたいですね。会社員ならこの面倒臭さがわかると思います(笑)。
宮崎 でもゴジコンができてからはいろんなプロセスが明確になって、そのおかげでビジネスが活性化したっていうのはありますね。
吉川 それから2016年の「シン・ゴジラ」の大ヒットも大きなきっかけになって「もっとゴジラに力を入れよう」と。そしてビジネスが大きくなってくると、ゴジラがいろんな形で利用されるようになるので、ゴジラというブランドのコントロールを専任でやっていかなきゃいけないということで、2019年にゴジラ専属のチームであるゴジラルームが立ち上がったという形です。
──なるほど。ちなみにゴジコンのメンバーインタビューやYouTubeを拝見したことはあるんですが、ゴジコンやゴジラルームのメンバーって、東宝社内の各部署から「ゴジラ大好き!」みたいな人が集まるんでしょうか。お二人はゴジラには詳しいんですか?
宮崎 僕はゴジラルーム配属になるまではほぼ観たことがなくて。ゴジハムくんの人形を持ってたので、幼少期に劇場で観たという記憶はあるものの、あんまり覚えてなかったです。(小声になって)実は「シン・ゴジラ」も当時は観てなくて。
吉川 ええっ?(笑)
宮崎 ヤバいですよね(笑)。ゴジラルームに配属だと言われて急いで全部観た、ぐらいの感じです。
──「ゴジラルーム長」って言われるとゴジラの生き字引きみたいな人を想像しちゃいますけど、吉川さんはTOHOマーケティング出身でもともとは宣伝の人だと聞いてます。ゴジラルームもゴジラ好き集団というより、宣伝のプロなどを集めた感じで。
吉川 そうですね。私も昔からのゴジラ好きかと言われると、そうではないですが、今はもちろんゴジラ好きですよ。ゴジラルームにはゴジラ好きのまさに生き字引と言っても過言ではない社員もいますし、ビジネスとして、どう拡大していくかいう視点でゴジラをとらえているメンバーもおります。メンバー構成については、宣伝というよりも、キャラクタービジネスに精通しているメンバーを集めている感じですね。
ゴジラの3大NG
──ゴジラルームは具体的にどういったお仕事をしているのか、もう少し聞かせてください。
吉川 大きく2つあって、1つはブランドの毀損がないか、いわゆるリスクのチェックという面と、もう1つは、「これから先、ゴジラをどうやって大きくしていくか」という長期戦略を考え、その長期戦略をベースに具体策を実行していく、この2つです。ゴジラルームのメンバーは現在14名いまして、グループが4つに分かれていています。僕が兼務している戦略グループは、先ほど申し上げたような長期戦略や新規ビジネス、ゴジラ・ストアの運営などを担当しています。宮崎のいる企画制作グループは、ゴジラルームでも映画だけではなく、プラットフォームにこだわらない形で映像コンテンツを作っていこうという流れがありまして、その様々な映像コンテンツを制作するチーム。商品とか企業コラボのほか、テーマパークでのアトラクションなどに関わるライセンスグループ。そして、自社商品の開発やゴジラ商品の流通先の拡大をしていくMDグループとなっております。
──なるほど。「ブランドの毀損がないか」というのは、例えば「こういうコラボCMを作りたい」とオファーがあった際に、監修をするということですね。
吉川 はい。実は社内用に「ゴジラ憲章」という、ブランドの約束と原則の取り決めがありまして、これはゴジラ映像だけでなく、商品化などさまざまな企画を進める際に、この憲章から著しく外れてないかとか、企画内容をチェックする基準になっています。オファーの時点でそこから著しく外れたものはお断りしていて、そこを通ったあとも、やっていいこと、やっちゃダメなことは細かくチェックしています。
──変な話、そこから外れるような……ちょっとふざけすぎたようなオファーもあるんですか?
吉川 もちろん、ありますよ(笑)。クリエイターの方も面白くてインパクトのあるものを作りたいでしょうから。
──そこはどれぐらいOK出すかが難しそうですよね。
吉川 でもそこまで厳しくしてないよね?
宮崎 そうですね。
吉川 我々も面白いことをやりたいなとは思ってるので。よほどブランドが毀損されるような使い方でなければ。わりと幅を持たせていると思います。
──最近、コラボ系で面白かったものというと?
吉川 ゴジラじゃなくてキングギドラですけど、堺雅人さんが出てる丸紅さんのCMですかね。
──ドラマ「VIVANT」内で流れて話題になったCMですね。あれは確かに武士やゾンビも出てくる映像で、「こんなキングギドラの使い方してもいいんだ」と思いました。言える範囲でいいんですが、監修をする際にどういうことをするとNGになるんですか?
吉川 ゴジラが絶対やったらダメだという3大ルールがありまして、まず1つ目に「捕食しない」。
──それは「人間を食べるシーンを画として見せてはいけない」ということではなく?
吉川 そうですね、基本的にはものは食べないっていうのがあって。
──そうか、ゴジラって食べ物からエネルギーを摂取しないんですよね。
吉川 あとは「完全に死なない」っていう設定もありますし。そして3つ目は「しゃべらない」。これは「ちびゴジラ」は除きますが。
──それは意外ですね。CMのキャラとしてしゃべってそうなものですけど。イラストに吹き出しつけてしゃべらせるとか。
吉川 過去に吹き出しを付けた作品などもあったのですが、今は全部NGにしてます。
新規ファン獲得とタッチポイントの増加
──あとは「この先どう大きくしていくか」というお話もありましたが、歴史の長いコンテンツだと、新規ファン獲得が難しそうです。
吉川 そうですね、ゴジコンができた2014年ぐらいから、とにかくファンの年齢層を下げようと。ゴジラファンの年齢層ってどうしても50代、60代が多かったので、まずは40代に下げよう、次は30代に下げていこうみたいな形でビジネスを広げている感じではありますね。今は20代をターゲットにしています。それとは別に、下の世代のゴジラファンも育てるっていうことは課題として持っていて、そこに向けたアプローチもしていってます。
──「ちびゴジラ」とかはそういう狙いということなんですね。
吉川 そうですね、「ちびゴジラ」は宮崎がずっと担当していて、4月3日からテレビアニメ「ちびゴジラの逆襲」の新作も始まりましたし。
宮崎 「ちびゴジラの逆襲」はまさに、これまでゴジラに触れてこなかった人の入り口になるような作品を目指して制作しています。
──声優もすごく豪華ですよね。実際、若い層からの反応はいかがですか?
宮崎 小学生のお子さんがいるご家庭とか、それこそ声優のファンの方々に観ていただけて、SNSなどでも反応をいただいてますね。従来のゴジラファンとは全然違う層も観てくれていると思います。
──従来のゴジラファン……というと、例えば「ゴジラ・フェス」の客層はコアなファンが集まるイメージなんですが、ファンの年齢層を下げるアプローチをする中で、変化はありますか?
吉川 始まったのが2017年からで、最初はけっこうコアなファンの方が多かったですけど、そこは変わってきています。「ゴジラ・フェス」はコロナ禍のオンライン開催を経て、2022年にリアルイベントに戻したんですね。そのあたりから子供のお客様が多くなりました。
宮崎 確かに増えましたね。
吉川 親子連れで来ていただく方も多いですし。会場にキッズエリアも作ったのですが、そこが子供でいっぱいになるぐらい。コロナ禍に、配信などでゴジラの旧作を観てくれたお子さんが多かったみたいで、そういうことの影響もあるみたいですね。
──ゴジラに限らず、若い人が昔のコンテンツにアクセスしやすい時代という影響もありそうですね。最近だと「ゴジラ-1.0」のアカデミー賞受賞も、新規ファン獲得には大きいのでは。
吉川 そうですね。すごく追い風になっていて、まだまだゴジラを大きくできると実感しています。
──新規ファン獲得も大変かと思いますが、ゴジラでキャラクタービジネスをやっていくとなると、映画が数年に1度しか公開されないというのもなかなかなハンデかなと思うんですが。
吉川 キャラクタービジネスをするうえで、映画のインパクトはとても大きいのですが、下がっていくのも速いんです。パッケージとか地上波を含めても、1つの映画のサイクルって1年から1年半ぐらいで終わってしまいます。そうなると、次の作品が出てくるまでの空白期間が、キャラクタービジネスをするのがとても苦しくなってしまう。そういう状況をこれから変えていきたいと思っています。
──特に今はコンテンツの消費って激しくて、サイクルが短くなっていってますよね。
吉川 そうなんです。そこに我々は左右されてきたんです。「シン・ゴジラ」から「ゴジラ-1.0」って実は7年の間が空いていて、そうなるとキャラクタービジネスってすごくやりづらいんですね。その間にハリウッド版の公開もあったのですが、日本版の映画が7年も空いてしまうという状況は、僕らも今後は解消していきたいっていう思いがあって、映画はこれからも更に拡大していくのですが、映画以外の映像コンテンツ、ゲーム、アトラクションなど、展開を大きく広げタッチポイントを増やしていくことで、映画がない年でも、さまざまな形でゴジラに触れられる状態を作りたいと思っています。
──では「ゴジラ-1.0」から「ゴジラxコング」までの間が短いっていうのはいいことですね。
吉川 現時点では「ゴジラ-1.0」はまだ上映してますし、これはこれで、ちょっと近すぎて準備するのが大変ですけどね(笑)。でも定期的に映画があるのは大事ですね。
──キャラクタービジネスで言うと、「ドラゴンボール」は海外でテーマパークを作ると話題になってましたけど、いつかゴジラもできるといいですね。
吉川 いやあ、作りたいですね。夢は「ゴジラランド」です。西武園ゆうえんちやユニバーサル・スタジオ・ジャパンでもアトラクションは実施したのですが、やはりゴジラとアトラクションの親和性はとても高いと思います。怪獣バトルを短い尺で、すごい迫力で、いろんな見せ方をするというのは、まだまだ可能性があるなと思っているので、そういった展開も今後増やしていきたいですね。
海外で話題のゴジラ・コング並走
──「ゴジラxコング 新たなる帝国」とゴジラルームの関わりについても聞かせてください。
宮崎 僕は主に日本語吹替の制作に携わりました。キャスティングも担当しまして、映画側のプロデューサー陣と話し合って決めていきました。あとは日本版主題歌の制作も担当しました。
──主題歌の「RISE TOGETHER feat. OZworld」ですが、伊福部昭さんが作曲した「ゴジラのテーマ」が公式にサンプリングされた曲は史上初だとか。
宮崎 これはずっとやりたいと思っていた企画でした。僕はゴジラルームに来るまでゴジラのことをあまり知らなかったんですけど、それでも特徴的なあの音楽はもちろん知っていました。僕みたいなゴジラに興味をあまり持っていなかった人に興味を持ってもらうためには、やはりみんなが知ってるものを使うことが重要かなと。もともとゴジラルームでゴジラの音楽を作りたいっていう話はしていたんですけど、70周年というきっかけもあり、ようやく実現することができました。公式初サンプリングですので、実力としっかりとゴジラに向き合ってくれる姿勢を兼ね備えたアーティストでないとと思い、この企画にチャレンジしてくれる方を探したところ、Yaffleさん、AIさん、OZworldさんからご快諾いただくことができました。
──アーティスト同士の「共闘」というのはゴジラルーム側から持ちかけた部分ですか?
宮崎 そうですね。今回の映画のテーマの部分でもあるので、1人のアーティストさんにお願いするよりは、誰かと誰かを掛け合わせたものがいいかなと。
──共闘と言えば、「ゴジラxコング」は日本より先に、12月4日に海外で映像が公開されましたよね。それが日本のめざといファンの間でも話題になってました。特に終盤で、ゴジラとコングが並んで走る姿が「B級映画っぽい」「バディ物なのか?」とか言われていて(笑)。ただ、最初の日本版予告にはその並走シーンがなかったのはなぜなんでしょう。そこまで担当されてるわけではないと思うんで、わかる範囲でいいのですが。
宮崎 たぶん多くの海外の人が求めてるゴジラってそういうことなんじゃないかなと思います。あまり深く考えずに楽しめるというか、スカッとするというか。シンプルに、そっちのほうが人気があるのでそういう見せ方になったのかなと思います。
吉川 “怪獣プロレス”が観たいというのもあるのかなと。
宮崎 海外と日本ではゴジラの捉え方が大きく違うんじゃないかなと思います。僕の主観ですが、日本人はゴジラをどこか神的な、人知を超えたもののように捉えていて、アメリカとか海外の方は、ゴジラをより生物的に捉えてる側面があるのかなと。なので日本人に対してはアメリカと違う見せ方になったのだと思います。
ゴジラルームから見たゴジラ、そして「ゴジラxコング」
──なるほど、ありがとうございます。続いて、これも担当が違うと思うんですが質問させてください。先ほどコラボCMなどでの監修についてのお話がありましたよね。「ゴジラxコング」に限らず、ハリウッドから「ゴジラ」を作りたいと言われたら、すり合わせが難しそうだなと思ってしまうんですが、そのあたりはどうですか?
吉川 東宝は本作では出資はしていないので、契約上はその権利は及ばないのですが、レジェンダリー・ピクチャーズとはすごく良好な関係を続けています。その関係性から、ゴジラや、そのほか怪獣キャラクターへの造型、脚本について指摘をさせていただいており、我々の意見も受け入れていただいております。本来は配給と宣伝だけなのですが、それ以上の関係性でやらせていただいていると思います。ハリウッド版の歴代監督は皆さんゴジラへのリスペクトがある方ばかりですので大きく方向性が違うとかそういったことはもちろんないですね。
──部分的に監修は入ってるんですね。あとこれは答えづらい質問かもしれないんですが、リブートもとの「キング・コング」ってゴジラより古い作品じゃないですか。「ゴジラvsコング」というタイトルに関して、「コングvsゴジラ」にしてほしい、みたいな話にはならなかったんでしょうか?
吉川 ……ゴジラが先、でしょうねえ(笑)。
宮崎 (笑)。
吉川 僕らは作品のタイトルまでは関与してないんで、はっきりしたことは申し上げられないですけど、「モンスター・ヴァース」の歴史はゴジラから始まっていて、ゴジラへのリスペクトを持ってくださっているので、そういったこともあるかもしれませんね。
──なるほど。まあ「ゴジラvs〇〇」という映画もこれまでいっぱいあるのでタイトル的にはしっくりきますしね。あとは「ゴジラvsコング」で、ゴジラが明確に勝った描写がありましたよね。観る前は「ビッグネーム同士だし、大人の事情でどっちが勝つとかは描かれないんだろうな」と思っていたので驚きました。あれも特に問題はなかったですか?
吉川 そこは特に問題なかったですね。
──コング側もゴジラにリスペクトがあるんでしょうね。
吉川 そうですね。
──最後に、ゴジラルームの方から観たゴジラの魅力ってどんな部分ですか?
宮崎 1954年からいろんな監督がいろんな映画やアニメを作ってきて、ゴジラの描き方が全然違う作品もたくさんあるんですけど、どれをとってもゴジラになっていることですかね。「ゴジラってどんな印象ですか」って人に聞いても、みんな少しずつ違った印象を持ってる。そこがいいと思ってます。それだけ違う印象を持ってるのに、みんなが共通したゴジラっていうものを思い浮かべられる。それがキャラクターとしては特殊だし、特別かなと思います。
吉川 僕は時代性みたいなものを映画に取り込んでるところがゴジラ映画らしさだと思ってます。初代「ゴジラ」からそうだし、あとは「ゴジラ対ヘドラ」で環境問題とか、「シン・ゴジラ」だと3・11(のメタファー)とか。それがただのエンタメじゃない、みんなそれぞれが考えるというか、ただ「面白いね」っていうだけじゃない作品になってるのがゴジラらしさだし。ゴジラの魅力はそういう考えさせられる部分かなと。破壊の描写とか、圧倒的な強さみたいなところも魅力ではあると思うんですけど。
──そんなお二人から見て「ゴジラxコング」はいかがでした?
吉川 これまでのゴジラ作品の中でも圧倒的に絵が明るいし、音楽も明るめで、ポップコーンムービーというか、何も考えずに観られる作品でしたね。純粋に楽しめました。
──さっき「考えさせられるのがゴジラの魅力」とは言ったものの(笑)。
吉川 矛盾してますね(笑)。でもこれはこれでハリウッド映画のよさだと思います。「ゴジラ-1.0」とは本当に真逆のよさがありました。
宮崎 そうですね。「ゴジラ-1.0」と同じ時代にこういう作品が生まれること自体が面白いし、どっちも素晴らしい。異なる2つの映画の主役がどちらも「ゴジラ」という同じキャラクターって通常ならあり得ないと思うんですけど、でもどちらも間違いなくゴジラである、というのがこのキャラクターのすごいところかなと。「ゴジラxコング」は、「ゴジラ-1.0」を観た人にも「あ、こっちもいいな」と思ってもらえる作品になってると思います。
吉川哲矢(ヨシカワテツヤ) プロフィール
1981年生まれ、滋賀県出身。東宝株式会社 エンタテインメントユニット ライツ事業部 ゴジラルーム長 兼 戦略グループリーダー。東宝の宣伝部にて「GODZILLA ゴジラ」「シン・ゴジラ」や「寄生獣」シリーズ、「進撃の巨人」シリーズの企業タイアップを担当し、2019年よりゴジラルームの責任者としてゴジラブランド全体を統括しながら、テレビCM、アトラクション、デジタルコンテンツなどゴジラビジネス全般を担当している。好きなゴジラ映画は初代「ゴジラ」。
宮崎豪(ミヤザキゴウ) プロフィール
1992年生まれ、兵庫県出身。東宝の配給、関西映画宣伝を経て2019年よりゴジラルームに所属。TVアニメ「ちびゴジラの逆襲」、現代アート企画「GODZILLA THE ART」、「ゴジハムくん生誕20周年プロジェクト」、2022年エイプリルフール企画「ゴジラVS阪神タイガース」を企画&プロデュース。好きなゴジラ映画は「ゴジラ対ヘドラ」。
映画「ゴジラxコング 新たなる帝国」
全国公開中の、ゴジラ70周年と「モンスター・ヴァース」シリーズ10周年を記念した作品。ゴジラとコングが共闘し、新たな脅威と対峙するさまが描かれる。「ゴジラvsコング」のアダム・ウィンガードが監督を務め、レベッカ・ホール、ブライアン・タイリー・ヘンリー、ダン・スティーヴンスらが出演した。
(c)2024 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.