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ゲーテ名作を豪華日替わりキャストで演じる朗読劇『若きウェルテルの悩み』開幕

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朗読劇『若きウェルテルの悩み』より (撮影:阿部章仁)

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ゲーテの同名作を原作とした朗読劇『若きウェルテルの悩み』が5月1日にTOKYO FMホールにて開幕、5月6日(月・休) まで上演中だ。

『若きウェルテルの悩み』は、詩人や劇作家として知られるゲーテによる小説で、青年ウェルテルが婚約者のいる女性に恋をし、苦悩する若き生涯を描く。

原作は多くの若者に影響を与え当時のヨーロッパで社会現象となり、「ウェルテル効果」「ウェルテル熱」の語源ともなった名作。ウェルテルが友人のヴィルヘルムに送った手紙の内容を語る形でストーリーが紡がれる名作を今作では、俳優、声優たちが日替わりキャストで朗読劇として演じる。

初日公演では、主人公の若者・ウェルテルを汐谷文康、ウェルテルが恋い焦がれるロッテを鈴原希実が演じた。

汐谷の明るい声色で演じられる、故郷を離れ新たな土地にやってきた希望にあふれるウェルテルが楽しげにヴィルヘルムへ綴る新生活の情景は、彼の洞察力と感情豊かな人柄を感じさせる。

そんなウェルテルが“天使”と称し、ひと目で恋に落ちたロッテも、鈴原の透き通るような第一声から一気に観客を魅了した。

また、友人のヴィルヘルムを高橋広樹、ロッテの婚約者・アルベルトを山中真尋のベテラン声優が演じたが、今作では何役も演じるふたりの、ときに面白おかしく抑揚をつける掛け合いに客席から笑い声が漏れる場面も。ウェルテルの晴れない気持ちが膨らみ続ける展開の中に、その一瞬で観客を和ませた。

しかし、物語はどんどんウェルテルの嫉妬やロッテへの憧れ、独占欲など渦巻く感情が抑えきれなくなっていき、冒頭でも「哀れなウェルテル」と表現されたように、最初の明るく爽やかなウェルテルから悲壮感漂う若者へと変わって行く。

感受性が強く叶わぬ恋に苦悩する感情的なウェルテルと、恋敵のウェルテルですら尊敬するほど非の打ち所がなく、心も広く人として完璧で、正論を言う冷静な婚約者のアルベルトとの会話の対比も面白い。描かれてはいないが、常にウェルテルを心配し気にかけてくれている友人ヴィルヘルムはどんな手紙の返事を送っていたのだろう?と想像も広がる。

そしてこの作品が大きな影響を与えたテーマ「自殺は弱さなのか?」を時代を越えて改めて問いかける、ゲーテが描くウェルテルの出した答えを噛み締めてほしい。

日替わりキャストとなる本公演は、小松昌平、村瀬歩、松田岳、畠中祐、市川蒼といったウェルテル役をはじめ、豪華キャストが出演。異なるキャストでまた印象がどう変化するのか、何人ものウェルテルやロッテを楽しめそうだ。

取材・文:能一ナオ
撮影:阿部章仁

<公演情報>
朗読劇『若きウェルテルの悩み』

公演期間:2024年5月1日(水)~5月6日(月・休)
会場:TOKYO FMホール

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/thesorrowsofyoungwerther/

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