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「あんのこと」河合優実が重要シーンの撮影前に佐藤二朗の手を握る「体温を感じたかった」

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「あんのこと」完成披露上映会の様子。左から稲垣吾郎、河合優実、佐藤二朗。

映画「あんのこと」の完成披露上映会が本日5月8日に東京・イイノホールで開催され、キャストの河合優実、佐藤二朗、稲垣吾郎、監督の入江悠が登壇した。

機能不全の家庭に生まれドラッグに溺れた少女・香川杏を主人公に据えた本作では、彼女がさまざまな人々と出会う中で希望をつかみかけた矢先、どうしようもない現実に行く手を阻まれてしまうさまが描かれる。河合が杏を演じ、佐藤が杏を救おうとする刑事・多々羅、稲垣が2人を取材するジャーナリスト・桐野に扮した。

河合は本作が実在する人物の物語であることに触れ「とても強い気持ちで大切に触らないとできないと思いました。でも入江さんも同じ思いなんだと思って。『覚悟を決めないと』という“気”みたいなものを脚本から受け取りました」と言葉を紡ぐ。そして演技について「最初はご本人に近付くようなイメージで、途中から香川杏というキャラクターにシフトしていく感じでしたね」と振り返った。

佐藤は、本編鑑賞前の観客に向けて「言えないことが多いんですよ……」と前置きしつつ「多々羅も桐野も、この不遇な少女を本気で救いたいという気持ちが一貫していました」と回想。横でうなずく稲垣が「この映画には河合優実さん、佐藤二朗さん、稲垣吾郎さんはいません。そう思わせたら(この映画は)成功なんです」と言うと、佐藤は「いいこと言う!」と反応し、観客からも大きな拍手が贈られる。続けて稲垣は「観終わったときに『僕らにもあり得ることかも』と思えます。急に絶望に陥ることはあると思うんですが、そんなときに救ってくれる社会が必要ではないかと思いました」と言葉に力を込めた。

入江は「モデルの女の子は20歳で、僕はおっさんだからわからない部分もある。だから現場では河合さんに委ねることが多かった」と述懐。稲垣が「でも客観性を持って杏ちゃんを見ているのがドキュメンタリーのようでしたよ」と評すると、河合も「“自分がそこにいる”ということ以外をすべて入江さんたちに委ねているような気持ちでした」と心境を明かした。

撮影における3人のコミュニケーションに話が及ぶと、佐藤は「こういう題材だからといって閉じすぎているとか、話さないようにしようとしていた印象はなかったですね。でも今日2人に会ったら『(撮影現場では)やっぱりこんなに楽しく話してはいなかったな』と気付きました」と打ち明ける。そして特に河合が撮影時よりも明るく見えたと明かす佐藤は「『やっぱり背負っているものが大きかったんだな』とさっき吾郎ちゃんとも話してたんですよ」と目を細める。さらに稲垣が「二朗さんも映画では今日よりも肥えてましたけどね(笑)」と話すと、佐藤は「1年半前に撮影をしたんですが、そこから別の作品の撮影で12kg痩せたんですよ。だから映画を観た人がSNSで『佐藤二朗太った?』ってつぶやくかもしれないけど、違うんです。“痩せた”んです!」とアピールした。

河合の印象について改めて問われると、佐藤はトンネルのシーンでの撮影を挙げ、「重要な場面だったんですが、撮影の前に河合さんは『このシーンを撮る前に体温を感じたかった』と僕の手を握ったんです。だから僕も絶対にいい場面にしたいなと思って。そんな気持ちにさせてくれて感謝してます」と真摯に伝える。しかし河合から「先にそれを言うと、皆さんがそれを踏まえて観てしまうから」とツッコまれると、稲垣が「それは不適切でしたね!(笑)」と河合の出演ドラマのタイトルをもじり、観客を笑わせた。

トークテーマが「人生の転機になった出会い」に移ると、河合は「事務所に入る決心をしたのが高3の夏。受験勉強をやめて映画を観に行ったら、DMで『この映画館で映画を観ていた人ですか? 僕の映画に出てほしい』とオファーが届いていたんです」と思い返す。「怖いじゃないですか。なので人がたくさんいる文化祭にその人を呼んで、初めて会って。『この人は大丈夫だ』と思えたので一緒に映画を作った。それが人生初の自主映画出演でした」と告白し、観客から驚きの声が上がる。稲垣は草なぎ剛、香取慎吾の名前を挙げ「新しい地図を含めると30年以上一緒にやっている。これはすごいことですね。ファンミーティングにはデビュー当時からのファンが親子3代で来てくれたりして、本当にありがたいです」としみじみ述べた。

「あんのこと」は、6月7日に東京・新宿武蔵野館、丸の内TOEI、池袋シネマ・ロサほか全国で公開される。

※草なぎ剛のなぎは弓へんに前の旧字体、その下に刀が正式表記

(c) 2023『あんのこと』製作委員会